「和」の世界~新しい趣味・教養と出会う7冊~
新年といえば「ことはじめ」。年も変われば、気分も変わるもの。新たな事に挑戦するにはうってつけの機会です。今回ご紹介する書籍は、「和」の世界への扉を開く7冊。趣味として、あるいは教養として、様々な日本の伝統文化の入門書を選書いたしました。
歴史ある「和」の素晴らしさを知っていても、どこか敷居の高さを感じている方も多いのではないでしょうか。まずは本を通してその世界を覗いてみる、そんな年のはじまりにしてみるのもよいかもしれません。
知っておきたい 歌舞伎 日本舞踊名曲一〇〇選
日本が誇る「伝統芸能」、その筆頭に上がるのは、やはり歌舞伎ではないでしょうか。大衆向けの「娯楽」でありながら、歴史の中で磨き上げられた技術は一つの「芸術」です。また、同じような題材をとりながらも、芝居ではなく踊りとして作られる日本舞踊は、「芸者」や「舞子」を通して、海外にも人気な伝統芸能と言えるでしょう。
本書は歌舞伎や日本舞踊で演じられる名曲を厳選し、その曲となった題材の解説や聞きどころをまとめています。観賞の副読本としてはもちろん、古典の基礎教養を養う上でも間違いのない一冊です。
金継ぎの技法書
基礎から、色漆の活用、見立て、仕上げのテクニックまで
皆さんは「金継ぎ」をご存じでしょうか。欠けたり割れたりした器を漆で繋ぎ、金粉などで飾る伝統的な修復技法、その始まりは室町時代の茶の湯文化にまでさかのぼります。壊れた「痕」をあえてわかるように残す美意識は、日本独自の詫び寂びの感性の中で培われたものです。
本書は、これまで体系化されてこなかった金継ぎの技術を初めてまとめた画期的な一冊。繊細な工程を一つ一つ解説し、必要な道具の作り方も収録しています。入門書としてだけではなく、より広く、深く金継ぎを理解するために、ぜひ本書を手に取ってみてはいかがでしょうか。
有名老舗の元職人が教える
はじめての和菓子作り
練り切り、求肥、きんとん、どら焼き……和菓子は食べる芸術です。美味しいだけではなく、一つ一つが工芸品のような美しさを備え、時候にあわせた細やかで多様な愉しみがあります。お店で買うのも良いですが、手作り和菓子に挑戦してみるのはいかがでしょうか。
本書はあんの作り方から、最後の仕上げの手捌きまで、豊富な写真と45年にもわたる和菓子職人のノウハウが詰まっています。本を眺めるだけでもうっとりするような美しい和菓子の世界が広がります。食べたら消えてしまう儚い美、そんな和の世界を自分の手で作り出してみませんか?
書道の疑問100
数ある「道」の中で、「書道」は比較的間口の広い「道」と言えるかもしれません。かつて習い事で書道教室に通っていたという方も、大人になってから今一度趣味として取り組みたいという方も、決して少なくないはず。自宅でも気軽に取り組めるからこそ、ふとした疑問や心配が生まれることも多いのではないでしょうか。
どんな紙を使い、どんな筆を選べばよいか、適した見本、上達のコツ……本書を開けばきっと答えが見つかります。実際に筆はとらない方にも、書道の奥深さを言語化し、理解するための、またとない一冊となるはずです。
ビジネスエリートが知っている
教養としての日本酒
いまやSAKEとして海外でますます人気になりつつある日本酒。世界的なブームを受けて、日本国内でも日本酒の新たな波が来ています。しかし、身近過ぎて、かえってよく知らない、という方もいるかもしれません。仕事の宴席でも、プライベートでも、日本酒について知っていれば、食事の席はぐっと面白く、またお酒もおいしくなるはずです。
本書は基本的な日本酒の作り方から、地域ごとの味わいの違い、海外の人に魅力を伝えるための英語表現に至るまで、日本酒の教養が満載。読書を通して和に酔いしれる、格好の一冊です。
14歳からの 文楽のすゝめ
文楽、あるいは人形浄瑠璃という呼び名の方が馴染みがあるでしょうか。語りを担う「太夫」、演奏をする「三味線」、そして三人の操手によって動かされる「人形」、この三位一体がなす人形劇が文楽です。江戸時代から連綿と続く伝統芸能ですが、演目の主題は友情や恋愛、現代人にも響く人生のヒントばかり。
本書は文楽の成立の歴史や有名な題目を紹介しつつ、チケットの取り方やオススメの席など、初めての方に向けた情報が充実しています。人形の細やかな動きもわかる美麗な写真も多数掲載。こちらを機にあなたも文楽デビューしてみませんか?
推し短歌入門
「推し」アイドルの美しさ、あるいは「推し」キャラクターの愛らしさ、それをあなただけの和歌で表現する。一見意外に思える本書のテーマですが、そもそも短歌は自分が心を動かされる物事、あるいは想い人に向けて詠むものです。それゆえ、「推し」への想いを三十一文字に託すのはごく自然なこと。むしろ表現したいと思う何かがあることは、短歌上達の何よりの近道です。
本書は技法を難易度別にまとめつつ、新旧の有名な歌人の歌も解説。「推し」という現代の感覚を通して読むことで、短歌の基礎教養が楽しく身につく一冊になっています。
知っておきたい 歌舞伎 日本舞踊名曲一〇〇選
松本幸四郎 (監修), 鈴木英一 (著), 竹内有一 (著), 阿部さとみ (著), 前島美保 (著), 重藤曉 (著)淡交社
金継ぎの技法書: 基礎から、色漆の活用、見立て、仕上げのテクニックまで
工藤かおる誠文堂新光社
有名老舗の元職人が教える はじめての和菓子作り
伊藤郁KADOKAWA
書道の疑問100
「墨」編集部 (編集)芸術新聞社
ビジネスエリートが知っている 教養としての日本酒
友田晶子あさ出版
14歳からの 文楽のすゝめ
竹本織太夫 (監修)実業之日本社
推し短歌入門
榊原紘左右社
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