記事・レポート
「世界のアンドー」の発想力と実行力はどこから生まれたのか
更新日 : 2008年02月06日
(水)
第1章 放浪の旅で学んだ、考える力と生きる力
安藤忠雄。いわずと知れた世界が注目する建築家である。世界各国で仕事をする傍ら、東京湾のゴミ埋め立て地に木を植え、「地球の森」をつくるという「海の森プロジェクト」にも精力的に取り組んでいる。アーク都市塾での講演をもとに、たぐいまれな発想力と実行力がどこから生まれたのかを探る。(文中敬称略/文・フリーライター 太田三津子)
安藤忠雄が青春時代を過ごした1960年代は、日本の国の青春時代でもあった。安藤も小田実の『なんでも見てやろう』、五木寛之の『青年は荒野をめざす』を読み、世界を見て回ろうと、横浜港からナホトカに渡り、シベリア鉄道で一路ヨーロッパを目指す貧乏旅行に出る。今でいうバックパッカーだが、当時は、今のように日本の若者が気軽に世界を回れる時代ではない。相当な覚悟で出発したのだろう。
安藤には思ったことを即実行に移す行動力がある。
安藤忠雄が青春時代を過ごした1960年代は、日本の国の青春時代でもあった。安藤も小田実の『なんでも見てやろう』、五木寛之の『青年は荒野をめざす』を読み、世界を見て回ろうと、横浜港からナホトカに渡り、シベリア鉄道で一路ヨーロッパを目指す貧乏旅行に出る。今でいうバックパッカーだが、当時は、今のように日本の若者が気軽に世界を回れる時代ではない。相当な覚悟で出発したのだろう。
安藤には思ったことを即実行に移す行動力がある。
建築に興味を持ったきっかけは、中学2年のときの家の増築工事だったというが、通常ならば、取りあえず学業に専念して大学の建築学部を目指すだろう。しかし、大学に進む経済力がなかった安藤は、独学で建築を学ぶ。世界貧乏旅行も、世界の名建築を自分の目で観ることが主目的であり、1日15時間歩き続けたこともあったという。
安藤の行動には、強い目的意識と強靱な体力と意志力が感じられる。強靱な体力はボクシングで養われた。高校2年の時、自宅の近所のボクシングジムで 4回戦ボーイの試合を見て「これだったらできるんじゃないか」と4回戦ボーイの試験を受け、合格。1回試合に出ると、今の金額にして10万円くらいになる。建築家になる、世界の建築をこの目で見て回る、その夢を掴むための軍資金稼ぎである。
その後、建築家としての名声が高まったとき、著名な建築家のレンゾ・ピアノやノーマン・フォスターが、安藤が独学で建築を学んだこととプロボクサーであったことに驚き、かつ敬意を表したという。
「誰もが一流大学を出て、一流企業に入れるわけではない。誰にでもハンディキャップはあるが、自分で希望を見つけ、ハンディキャップを乗り越えて夢を実現することが大切だ」と語る安藤の言葉は、まさに実体験から出た言葉である。
1965年、世界を放浪する旅に出た安藤は、初めて水平線と地平線を見る。シベリア鉄道は一週間ひとりきり。言葉の通じない異国の地で考える時間だけはたっぷりあったと語る。ヨーロッパではまずパルテノン神殿から始まり、さまざまな建築を見て回る。さらに乏しい旅費を節約しながら、アフリカからインドのボンベイ(現在のムンバイ)へ。船で赤道直下を超えるとき、インドから乗船した僧侶と炎天下の甲板で座禅を組んで2時間で倒れたエピソードを披露しながら、「誰も助けてはくれない、自分で考えて生きていくしかないと強く思った」という。
強烈かつ孤独な体験のなかで、安藤は独力で考え、生きていく強さを身につけた。
安藤の行動には、強い目的意識と強靱な体力と意志力が感じられる。強靱な体力はボクシングで養われた。高校2年の時、自宅の近所のボクシングジムで 4回戦ボーイの試合を見て「これだったらできるんじゃないか」と4回戦ボーイの試験を受け、合格。1回試合に出ると、今の金額にして10万円くらいになる。建築家になる、世界の建築をこの目で見て回る、その夢を掴むための軍資金稼ぎである。
その後、建築家としての名声が高まったとき、著名な建築家のレンゾ・ピアノやノーマン・フォスターが、安藤が独学で建築を学んだこととプロボクサーであったことに驚き、かつ敬意を表したという。
「誰もが一流大学を出て、一流企業に入れるわけではない。誰にでもハンディキャップはあるが、自分で希望を見つけ、ハンディキャップを乗り越えて夢を実現することが大切だ」と語る安藤の言葉は、まさに実体験から出た言葉である。
1965年、世界を放浪する旅に出た安藤は、初めて水平線と地平線を見る。シベリア鉄道は一週間ひとりきり。言葉の通じない異国の地で考える時間だけはたっぷりあったと語る。ヨーロッパではまずパルテノン神殿から始まり、さまざまな建築を見て回る。さらに乏しい旅費を節約しながら、アフリカからインドのボンベイ(現在のムンバイ)へ。船で赤道直下を超えるとき、インドから乗船した僧侶と炎天下の甲板で座禅を組んで2時間で倒れたエピソードを披露しながら、「誰も助けてはくれない、自分で考えて生きていくしかないと強く思った」という。
強烈かつ孤独な体験のなかで、安藤は独力で考え、生きていく強さを身につけた。
「世界のアンドー」の発想力と実行力はどこから生まれたのか インデックス
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第1章 放浪の旅で学んだ、考える力と生きる力
2008年02月06日 (水)
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第2章 この家には建築家の強い意志がある
2008年02月06日 (水)
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第3章 便利さに浸っていると、自ら創造する力を失う
2008年02月07日 (木)
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第4章 日本も変わるべきとき。新しいことに挑戦せよ
2008年02月13日 (水)
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第5章 世界一の建築技術と土木技術に支えられて
2008年02月15日 (金)
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第6章 「海の森」は「地球の森」、地球にもっと好奇心を
2008年02月19日 (火)
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第7章 好奇心こそ、青春。青春こそ、実行力
2008年02月28日 (木)
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