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国連(UNHCR)が挑む難民支援の仕事

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更新日 : 2015年07月08日 (水)

第2章 自分や家族が命の危険にさらされたら?


 
「生きる」ために難民となる人々

守屋由紀: 皆さんは、自分や大切な家族が命の危険にさらされ、その原因が自分達では解決できないものだとしたら、どうしますか? ほとんどの人は、生きるために、安全な場所を求めて逃げるはずです。難民が生まれる理由も同じです。

難民とは、自分の暮らす国で迫害を受ける、あるいは迫害を受ける可能性があり、やむを得ず故郷を離れ、他国に逃れてきた人達です。また、同じような理由で故郷を追われても、国境は越えず、自国内の別の場所に避難する人達を「国内避難民」と呼びます。自分の国の政府は、安全に暮らす権利を保障してくれないため、少しでも安全な国・地域に避難するのです。多くの人達は、まさに着の身着のままで故郷を離れ、時には何百キロ、何千キロという距離を、車や列車、ボート、あるいは何日も歩いて逃れることもあります。

「迫害」を分かりやすく言い換えるなら、「究極のいじめ」でしょうか。生きていることがつらくなるほどのいじめです。いじめの理由は様々です。人種、宗教、国籍、政治的意見の違い。あるいは、特定の社会集団に属しているがために、迫害を受けることもあります。

また、政府に対する反対活動をしていることが、その理由になることもあります。日本であれば、憲法で言論の自由が定められているため、「政府のやり方はおかしい」と言っても、捕まることはありません。しかし、世界のどこかの国では、小さな声でそう言っただけで捕まることもあります。自由を奪われ、暴力などにより肉体的・精神的に追い詰められる。あるいは、二度と牢屋から出してもらえなくなることすらあります。

迫害とは別に、いま、難民を生み出す最大の理由となっているのが、紛争です。同じ国・地域に暮らす人同士が、相手との「違い」を理由にして命を奪い合う。そうしたことが世界各地で起きています。紛争が起こるたびに普通に暮らす人達が巻き込まれ、多くの難民が生まれてしまうのです。
 
数字で見る難民問題

守屋由紀: いま、UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)が支援する人達は、全世界で4,290万人(以下、数字は2013年末時点)。難民は1,170万人、国内避難民は2,400万人。それ以外にも、350万人いるとされる「国籍を持たない人=無国籍者」などを含めれば、4,290万人となります。これを日本の総人口1億2,700万人に当てはめれば、実に3人に1人が非常に困難な状況に追い込まれていることになります。そして、とても悲しいことに、この数字はいまもなお増え続けています。

一方で、幸いにもすべての問題が解決し、故郷に帰ることができた難民は、2013年は41万人、国内避難民は130万人でした。しかしながら、全体から見れば、その数はごくわずかと言えます。

UNHCRのロゴマークは、平和の象徴・オリーブの枝の中に、人間を優しく包み込むように両手が描かれています。どこかの国や地域で難民が生まれた場合、UNHCRはこの両手のように、難民を受け入れる国や地域、他の国連機関などと協力しながら、取り急ぎの生活場所となる施設(難民キャンプ)、食糧、水、医療、教育などを提供し、人間らしい最低限の暮らしができるよう支援します。

しかし、最終的な目標は、難民の人達が平和で安全に、そして、家族と一緒に暮らせるようになることです。第一に故郷に戻り生活すること、第二に避難した国で生活すること、第三にそれ以外の国や地域で生活すること。こうした3つの目標、すなわち難民問題の解決を実現するため、継続的な支援を行っています。

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