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今だからできる失われた20年からの大転換

~日本のGDPを3%上げる、企業と人を成長させる新しい発想~

経営戦略キャリア・人マーケティング・PRオンラインビジネス
更新日 : 2012年01月31日 (火)

第5章 「買わせる」から「買いたいと思わせる」マーケティングへ

石黒不二代氏

石黒不二代: ソーシャルメディアの利用人口が増えるとともに、影響力も増しています。日本の企業は炎上を心配してなかなか本格的にやろうとしませんが、そんな心配をしている場合じゃないんです。

例えば車の「プリウス」という言葉がブログやクチコミ掲示板に出てきた回数を調べたところ、2010年8月~10月の3カ月で59,211件ありました。私たちが販売しているツール(BOOM RESEARCH)を使うと、書き込みの男女比率や、評判の良し悪しも分かります。企業がソーシャルメディアに参加しようとしまいと、すでに消費者はソーシャルメディアを使ってこれだけ会話しているのです。この事実を経営者は知っておく必要があると思います。

消費者の行動も、検索からソーシャルへという流れが起きています。例えば私にはFacebook上の友達がいます。本当の友達がFacebook上でも友達になるわけですが、その人が「何か欲しい」と言っているので、「何が欲しいんだろう。気になるな」と思ってクリックすると、私の知らないブランドのバッグの写真が出てきました。これまでは「ルイ・ヴィトンのカバンが欲しいな。検索エンジンで仕様を見てみよう」と能動的に探していたのが、ソーシャルメディアでは、友達から肩をポーンとたたかれて「へぇ、こんなのがあるんだ」と知って興味を持つわけです。ユーザーの行動が「もっと知りたい」という能動的な検索から、友だちからの受動的なクリックに変わりつつあるのです。これは企業にとって、新規顧客の開拓につながります。

こうした変化が起きているときは、投資しなくてはいけないと思います。ソーシャルメディアに参加するリスクは確かにあります。炎上するかもしれないし、1回やるととめられないので、手間もかかります。人員が割かれるので結構組織も変えなくてはいけません。そのうえ、成果が出るまでには時間がかかります。本当に面倒です。でもソーシャルメディアのクチコミを分析すると、それ以上にいろいろなことが分かります。効果測定もできるし、環境も分かるし、市場も分析できる、風評も生活者のインサイトも分かるのです。

生活者の生の声の中には、本当に重要なヒントがたくさん隠されています。ですからソーシャルメディアに参加するリスクより、この時代、この環境で参加しないほうがよっぽどリスキーだということを経営者にはぜひ知ってほしいと思います。

ただし、ソーシャルメディアに取り組む前に、1つ覚えておかなければいけないことがあります。それは、ソーシャルメディアのマーケティングは、今までのマーケティングとは着眼点が違うということです。これまでのマーケティングのゴールは「買わせること」でした。これに対してソーシャルメディアのマーケティングのゴールは「買いたいと思わせること」です。残念ながらソーシャルメディアでは「買わせる」という最終的なところまではいきません。しかしマーケティングで「ナーチャリング」と言って、消費者との関係を太くすることができるのです。これは重要なことなので、後でCRMに絡めながら詳しくお話しします。

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該当講座

academyhills + Hills Life presents 知の人、知の時間

今だからできる失われた20年からの大転換 ~企業と人を成長させる新しい発想~

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石黒不二代 (ネットイヤーグループ株式会社 代表取締役社長兼CEO)

石黒 不二代(ネットイヤーグループCEO)
インターネットの普及でグローバル化が進み、更にビジネス環境の変化が激しくなった時代に、日本企業と個人にとっていま求められる経営戦略と教育、そしてマインドセットとは何か?いま最も元気な女性起業家の一人といわれる石黒氏に伺います。


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