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「ガッツリ」にがっくり~すてきな日本語!?~

読みたい本が見つかる「ブックトーク」

カフェブレイクブックトーク
更新日 : 2011年08月01日 (月)

第3章 新語・珍語・迷語など流行語への讃歌

六本木ライブラリー ブックトーク 紹介書籍

澁川雅俊: 2010年の新語・流行語大賞が「ゲゲゲの~」に決まりました。この催しは『現代用語の基礎知識』を刊行している自由国民社が1984年から主催しています。それは珍語・迷語を含め、新語を流行語として、好ましくとらえているからでしょう。

そうした傾向は他にもあります。例えば『「お笑い」日本語革命』(松本修)は、たけし、さんま、とんねるず、ダウンタウンなどなどのタレントたちがさまざまな新語や新しい言い回しを操って視聴者の笑いを取ろうとする瞬間々々での、普通の人にはない、彼らの感性と言語能力のすごさについて語っています。現役のTVのバラエティ番組のプロデューサーである著者がお笑いの現場での新語発生の瞬間を活写しています。

その類書としてこんな本もあります。『新・にほんご紀行』(山口仲美)は、TVや広告などで使われている新しいコトバや言い回しなどを取りあげて、それらにおもしろさを発見しています。とりわけこの本では、小説や詩に使われているオノマトペ(擬音語・擬態語)に、コトバとしての豊かな表現力が備わっていることに驚嘆しています。

以上のような本からの連想で、コトバ遊び、あるいはアナグラムに思い至ります。例えばこんな本があります。『日本のことば遊び (新装増補版)』(小林祥次郎)です。これは、昔の人たちの豊かな心の余裕が生み出した洒脱で楽しいコトバ遊びのいろいろ、例えば「白樺はバカラシ」、「ダンスが済んだ」などなどを集めてそのおもしろさを解説しています。それらは現代の新語や珍語や迷語などとは違いますが、流行語にはそうした遊びの中から生まれてくるものもあります。また『築地魚河岸ことばの話-読んで味わう「粋」と「意気」』(生田與克・冨岡一成)には、魚河岸という異空間で400年にわたる江戸の粋と意気が生み出した、ちょっと風変わりな、それでいておもしろいコトバの数々が収められています。それらは本来、業界用語あるいは隠語なのですが、そうしたコトバの中からも新語・珍語・迷語などが生まれる可能性があります。

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