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世界が見た日本「東日本大震災は日本をどう変えるか」

ジェラルド・カーティス教授が語る、日本の現在・過去・未来

ライブラリートーク政治・経済・国際
更新日 : 2011年06月24日 (金)

第6章 今回の米軍の活躍が、基地問題の解決につながるとは思えない

ジェラルド・カーティス氏

会場からの質問: 震災直後に在日米軍の方々が東北に行き、大きな役割を果たしてくれたと思います。このことが、今後の日本における米軍の基地問題に何らかの影響を与えると思いますか。

ジェラルド・カーティス: いい質問ですね。確かにアメリカとの同盟関係の重要性をより意識する人が増えたと思います。「アメリカとの関係は大事だ、米軍が日本にいるということは日本にとって大事なことだ、基地があるのも大事だ」と感じたと思うのです。

ただ、問題があります。1つは普天間問題です。「これで辺野古への移設がやりやすくなったんじゃないか」と期待しているアメリカ人が結構いるのですが、私は全然関係ないと思います。どれほど日本人に感謝の気持ちがあっても、それで辺野古への移設が可能になるとは思いません。アメリカ軍基地の75%が沖縄にあるのがおかしいわけで、ポイントは「アメリカとの同盟関係は必要だ。だから沖縄だけでなく、我々の所にも基地を置いてもらっていい」という気持ちになるかどうかです。

東京電力の原発は福島と新潟にあって、東京の電力はそこから来ていますが、福島と新潟の電力は東電からではなく東北電力から来ています。電力は欲しいけれど危険は嫌だから自分の所には置きたくない、危険なものは福島と新潟に置いて電力だけ持ってくる——米軍もこれと同じで、日本にはいてほしいけれど自分の所ではなく、沖縄に基地を置いて東京を守ってもらう。発想は同じです。

このわがままな発想を変えて「米軍が必要ならば沖縄だけではなく、本州ももっと分担しよう」となるでしょうか? 私はならないと思います。英語でNIMBY(ニンビー)という言葉はご存知ですか? これはNot in my backyardの略で「あってほしいけれど私の所は嫌」という意味です。このNIMBYが米軍に対する日本人の気持ちとして非常に強いんですね。そういう意味で、今回の米軍の活躍が沖縄問題の解決につながることはないでしょう。

むしろ今回のことで、沖縄は日本政府にいろいろなことを求めにくくなりました。沖縄は辺野古移設を許さないにしても、日本政府からいろいろ資金援助してもらおうと仲井眞知事が頑張っていたのですが、3.11以降はそれがやりづらくなったのです。だから沖縄問題は沖縄問題として残ると思います。

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