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世界が見た日本「東日本大震災は日本をどう変えるか」

ジェラルド・カーティス教授が語る、日本の現在・過去・未来

ライブラリートーク政治・経済・国際
更新日 : 2011年06月23日 (木)

第5章 有権者は傍観者であってはいけない。積極的に政治を動かそう

ジェラルド・カーティス氏

ジェラルド・カーティス: きょうは皆さんが一体どう思っているのか、日本をどうしたらいいのか話を聞きたいと思って来ました。有権者は傍観者であってはいけないんです。積極的に政府を動かす方法を考えるときだと思います。

会場からの質問: 政府と東電の危機管理のなさ、意思決定が迅速に行われないという問題は、政治家と官僚機構と東電だけの問題なのでしょうか、それとも日本の組織に共通する問題なのでしょうか。

ジェラルド・カーティス: 東電の問題だけであればいいのですが、そうではありません。政治家と官僚の問題があって、それが今回はたまたま東電で現れただけで、もっと根本的な問題です。「官邸主導」と言いながら本当に官邸が主導できるシステムになっていない、アメリカのホワイトハウスのような国家安全保障会議をつくらない、何もない。これは40年間も政権を握っていた自民党の責任が非常に大きいわけです。

会場からの質問: 一般的な日本の大企業は、そうした点はきっちりできていると思いますか。

ジェラルド・カーティス: 企業は儲からないとつぶれるので、日本の大企業は結構敏感に動きます。例えばトヨタはグローバリゼーションしているし、総合会社も変化に敏感です。でも日本政府はグローバリゼーションしていません。TPPの話はあるけれど、全然できていませんね。民間と政府の違いはものすごく大きいと思います。

復興構想会議は結論を6月に出すと言っていますが、この構想会議には本当に担うべき役割はあるのでしょうか。政治家が何カ月もかけていろいろな意見や考えを吸い上げてコンセプトをつくったとして、何か政策につながるのでしょうか? これから復興対策本部をつくって、実際にやるといっていますが、そんな悠長なことをやっている場合ではないでしょう。

これが企業だったらつぶれてしまいます。しかし、残念ながら政府はつぶれません。国はつぶれるかもしれませんが政府はつぶれない、そこが違うんです。ですので「日本人だから」ということではなく、組織と構造とインセンティブの問題です。企業にとってのインセンティブは儲かることなので、反応が全く違うんです。だからもっと規制緩和して民間がいろいろなことができるようにすることが大事だと私は思います。

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