記事・レポート

常に進化し続けるトップアスリートの強さに迫る

~オリンピックの先にあるもの~

更新日 : 2010年08月17日 (火)

第6章 パートナーと出会って、心配事がなくなった

岡崎朋美氏(左)石川牧子氏(右)

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石川牧子: トリノ・オリンピックでの悔しい思いが、今年(2010年)のバンクーバー・オリンピックへとつながるのですね。この4年間というのはいかがでしたか。

岡崎朋美: トリノは「集大成」という気持ちで臨んだので、発奮材料を見つけるのにちょっと時間がかかりました。最初の2年間は、どうやって自分をもう1度奮い立たせるかということでスパンを置きました。そのときにパートナーと出会って結婚したのですが、自分にプレッシャーをかけるという意味で、いいタイミングだったと思います。

バンクーバーまであと2年。「五輪行きの切符を手にしなければ」「彼を連れて行かなければ」という思いでやりました。

石川牧子: 2つ質問があります。1つは「気持ちを奮い立たせるのに腐心した」ということについて。なぜ「諦めよう」とか「もういいや」と思わなかったのか。

もう1つは結婚についてです。結婚すると女の人はどうしてもパートナーの世話のことなどを考えるために、試合や選手生活のことは二の次になりがちかと思うのですが、そこら辺の両立はどうだったのかということです。

岡崎朋美: 諦めなかったのは、やはり100分の5秒で負けたという悔しさですね。その穴を埋めたいという気持ちで続けました。

もちろん、本当に誠心誠意やって敗れたので、そのときはそれが自分の能力というか、実力だったとは思います。でも、まだまだ速くなれるとひらめいたところもありまして。その証拠というか、バンクーバーの1年前に自己ベストを更新しているんです。だから「進化できる」「やればできる」と。

石川牧子: しかしながら一方で、どうしても年齢とともに体力は落ちますよね。

岡崎朋美: 練習の疲れが次の日にも残るようになったというのはありますね。疲れをとるために人の手も借りなければいけないので、マッサージをうけにトレーナーさんのところに行くなど、練習以外にもやらなきゃいけないことが増えたというのは事実です。若いときは一晩寝れば、すぐ復活していたんですけど。

石川牧子: そういう中で、結婚なさったわけですよね。そうすると、「虚心坦懐に練習だけしていればいいというわけではない」という中に、失礼ながら、ご主人のことも考えなければならないというのも増えたのではないですか。

岡崎朋美: 結婚する前に、「バンクーバーを目指す」ということについて了解を得ていたんです。そうすると生活拠点は彼が東京、私は山梨になるので「別居だよ」という話もしたんですけどOKだったので。だから、何の問題も心配もなく過ごせました。

石川牧子: では、逆の質問をしますね。監督やトレーナーさん・マネジャーさんなど、いろいろな方のサポートはありますが、戦うのは一人ですよね。これまで一人だったのが、別居生活ではあっても、結婚してご主人というパートナーを得て、精神的にもいろいろな意味でもわかってくれる人ができた、という違いはありましたか。

岡崎朋美: 彼と出会う前は、監督に「私は本当に結婚できるんですかね?」とかいうことを相談していたんです。休んでいるときに「これからどうなんだろう」みたいなことを、ふと考えたりして。

石川牧子: そういう不安材料がなくなった?

岡崎朋美: そうですね、何か考えることがなくなったという感じです。

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