記事・レポート

常に進化し続けるトップアスリートの強さに迫る

~オリンピックの先にあるもの~

更新日 : 2010年08月09日 (月)

第5章 負けたら、やっぱり「チキショー」と思います(笑)

岡崎朋美氏

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石川牧子: トリノ・オリンピック(2006年)は大接戦でしたね。500mで僅差の4位。確か0コンマ……

岡崎朋美: 0.05ですね。

石川牧子: あと僅かでメダルを逸した。これはかなり悔しかったのではないですか。

岡崎朋美: 悔しかったですね。大差だったらしょうがないと思えるんですけど、本当にあとちょっとだったので、すごく残念でした。トリノは椎間板ヘルニアを患ってから6年目。すでに完治していたので、本当にメダルをとりに行ったんです。それが逆転されてしまったので。

石川牧子: 戦いに敗れたとき、スポーツ選手は「スポーツマンシップに則って」という言葉があるように、フェアに装いますよね。でも内心はどうなんですか。例えばライバルが「前の日に腹痛で倒れてくれないかな」とか「風邪ひけばいいのに」とか(笑)。

岡崎朋美: 痛いところ突きますね(笑)。トリノから、同じ日に2本滑るようになったんですけど、1本目、私は3位。銅メダルをとった選手は4位。タイムにかなり開きがあったんです。それが2本目になった途端、その選手は金メダルをとった選手よりも速いタイムを出したんですよ。2本目のトップタイムです。メダルは2本の合計タイムで決まるので、最終的には3位でしたけど。1本目と2本目のタイム差があり過ぎるので、「どうして彼女はこんなに良くなったんだ!?」って思いました。

石川牧子: 何があったのでしょう?

岡崎朋美: 何か魔法の粉薬かなと思ったりして(笑)。というのは、その選手の国と、もう1つある国の選手は、みんなとはちょっと違う、おかしな色のドリンクをいっぱい飲んでいたんですよ。だから「あれは何だろう?」って(笑)。

石川牧子: でもドーピングはクリアだったんですよね。

岡崎朋美: そうなんです。ドーピング検査で引っかかっていないということは、大丈夫だとは思うんですけど、ギリギリのラインなのかなって(笑)。

石川牧子: そういうドリンクって、「それ、ちょっと分けてくれません?」とは言えないですよね。

岡崎朋美: なかなか言えないですね……「それ何?」って今度聞いてみようかな。

石川牧子: すごく悔しい思いをして負けても、メダルをとった選手には「あなた、よかったわね」と言って握手するわけですよね。でも、心の中では?

岡崎朋美: 「チキショー」と思ってます(笑)。

石川牧子: ごめんなさいね(笑)。でも、岡崎さんからその言葉を聞きたかったの。だって、人間ですもの。いくらスポーツマンシップと言っても、その瞬間はやっぱり悔しいですよね。

岡崎朋美: そうですね。ただ、トリノで3位になった選手は、それまでは笑顔も何も全く見せていなかったのに、3位になった途端、私にものすごい笑顔だったんで(笑)。そこから、今もちょっと因縁の対決になっています。

石川牧子: その方も現役?

岡崎朋美: そうです。現役ですが、今回はやっぱり全然ダメでしたね。

石川牧子: そんなときの胸のうちは?

岡崎朋美: 「よし!」(笑)。

石川牧子: その選手、今回、ドリンクはどうしたんでしょうね。

岡崎朋美: そういえば、飲んでいなかったような気がする(笑)。

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