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不況に強い!「一休.com」のビジネスモデルの秘密
~ECサイト最強ブランドの成長の軌跡と今後の展望
更新日 : 2009年12月02日
(水)
第1章 起業のアイデアがないまま、30代半ばで会社を退社
高級ホテル・高級旅館の空き部屋を"究極の在庫"と考え、ネットで販売する…。そんな斬新なアイデアで成功をおさめた「一休.com」。創業者の森正文氏はいかにしてこのビジネスモデルを生み出したのか。
創業時の営業方法から最悪を考えて行動する経営哲学まで、オンラインビジネスや起業に関心のある方、必読のレポートです。
ゲスト:森正文(株式会社一休 代表取締役)
モデレーター:神原弥奈子(株式会社ニューズ・ツー・ユー 代表取締役)
森正文: 僕は大学を卒業後、日本生命に入り、最初は中小企業向けの融資を約2年間しました。1984年頃でしたでしょうか、アメリカン・エキスプレスがリーマン・ブラザーズを買収するときに資金が必要になり、出資した日本生命がアメックスの筆頭株主になりました。
出資条件に「若い社員を送り込む」とあり、僕はリーマン・ブラザーズの年金などを運用する投資会社に行き、ファンドマネジャーの勉強をしました。日本生命に入った同期180人中、僕はTOEFLがビリから2番目。全然言葉が通じなくて、アメリカにいながらベルリッツに行かされるという(笑)、屈辱的かつ道楽な生活を2年送りました。
帰国して数年後病気で入院し、治った35歳頃に思ったのが、「人生は短い。自分で何かやろう」ということでした。心身ともに健康に働けるのは、残り20年から30年。何ができるのかを考えました。
「生きている実感を持てるものは?」と考え、一人で会社をやろうと決めました。でも文系なので、技術のこともB to Bもわかりませんし、一向に「これだ」というアイデアが出てきません。ただ「資金は1億円ぐらい必要だろう」と思い立ち、手元にあった預金3,000万円で、根拠もなく9,000万円分の株の空売りをかけたんです。
98年の3月ですが、1カ月で2,000万円がなくなりました。「自分は何ということをしてしまったんだ……。この1,000万円で一発取り返す方法はないか」といろいろ考えましたが、切りがないので「よし、1,000万でスタートだ!」と思い切って98年5月に日本生命を退社しました。
「自分も失業者か」と思いましたが、「ついに自由になった」喜びもありました。でも、日本生命の給料日である5月25日に貯金通帳を見たら、当たり前ながら1円も振り込まれていない。焦りました。
「俺は社長だ」と思っていたのは、最初の1カ月だけでした。たった一人の会社には仕事もなければ、やることもありません。資金があっという間に底をつき、母親に500万円、それから、「マルちゃん」の東洋水産の創業者、森和夫さんに500万円出していただきました。
森さんとは大学時代、東洋水産の工場でアルバイトをした時から懇意で、「会社をつくった」と挨拶に行ったら、「創業しても100万分の1の確率でしか成功しない。そんなにうまくいくものじゃないから、銀座で飲んで来いよ」と500万円を渡されたんです。
幾度も人から投資してもらいましたが、「お金って、こういうふうに渡すものなんだな」と、非常に感銘を受けました。そのお金を大切にしながら、会社をどうするか考え始めたのが98年の9月です。
事務所は一人であまりにも寂しいので、早期定年退職をした女性を経理に雇いました。しかし、午後2時ぐらいに出社するので怒ると、「売上高が0円で、水道・光熱費と新聞代を払うだけだから、2時に出社して3時前に銀行に行けば仕事が終わる」と言われ、悲しい気持ちなりました。
その頃、あるパーティで会った三菱商事の副社長に、「おたくの会社は、どうやって儲けているんですか?」と、学生も聞かないような質問をしました。その人は顔色も変えずに、「人と麻薬と武器以外はすべてを売り買いして収益を上げる」と言いました。
すごい会社だと思いながら、「待てよ」と、そのとき思いついたんです。どう頑張ってもこの人たちと僕は取引できっこない。でも、相手のブランド力を利用すれば、その会社はスーパーブランドに変わるんじゃないかと。
とりあえず投資の仕事は向かなかったけれど、会社の分析はできると思い、Yahoo!やeBayなどIPO(新規株式公開)をしたばかりのアメリカの会社の資料を取り寄せて自分なりに分析しました。
そしてeBayに、無謀にも「日本の未来をつくる若者として、おたくと組んでもいい」とメールしたんです(笑)。当然、断られましたが、「いいことを教えよう。ネットの法則で最初に始めた者はすごく優位なポジションにつく。我々より先に始めて、うちの会社に買収してもらったら?」と書いてあったんです。「これはいい」と思いました。
出資条件に「若い社員を送り込む」とあり、僕はリーマン・ブラザーズの年金などを運用する投資会社に行き、ファンドマネジャーの勉強をしました。日本生命に入った同期180人中、僕はTOEFLがビリから2番目。全然言葉が通じなくて、アメリカにいながらベルリッツに行かされるという(笑)、屈辱的かつ道楽な生活を2年送りました。
帰国して数年後病気で入院し、治った35歳頃に思ったのが、「人生は短い。自分で何かやろう」ということでした。心身ともに健康に働けるのは、残り20年から30年。何ができるのかを考えました。
「生きている実感を持てるものは?」と考え、一人で会社をやろうと決めました。でも文系なので、技術のこともB to Bもわかりませんし、一向に「これだ」というアイデアが出てきません。ただ「資金は1億円ぐらい必要だろう」と思い立ち、手元にあった預金3,000万円で、根拠もなく9,000万円分の株の空売りをかけたんです。
98年の3月ですが、1カ月で2,000万円がなくなりました。「自分は何ということをしてしまったんだ……。この1,000万円で一発取り返す方法はないか」といろいろ考えましたが、切りがないので「よし、1,000万でスタートだ!」と思い切って98年5月に日本生命を退社しました。
「自分も失業者か」と思いましたが、「ついに自由になった」喜びもありました。でも、日本生命の給料日である5月25日に貯金通帳を見たら、当たり前ながら1円も振り込まれていない。焦りました。
「俺は社長だ」と思っていたのは、最初の1カ月だけでした。たった一人の会社には仕事もなければ、やることもありません。資金があっという間に底をつき、母親に500万円、それから、「マルちゃん」の東洋水産の創業者、森和夫さんに500万円出していただきました。
森さんとは大学時代、東洋水産の工場でアルバイトをした時から懇意で、「会社をつくった」と挨拶に行ったら、「創業しても100万分の1の確率でしか成功しない。そんなにうまくいくものじゃないから、銀座で飲んで来いよ」と500万円を渡されたんです。
幾度も人から投資してもらいましたが、「お金って、こういうふうに渡すものなんだな」と、非常に感銘を受けました。そのお金を大切にしながら、会社をどうするか考え始めたのが98年の9月です。
事務所は一人であまりにも寂しいので、早期定年退職をした女性を経理に雇いました。しかし、午後2時ぐらいに出社するので怒ると、「売上高が0円で、水道・光熱費と新聞代を払うだけだから、2時に出社して3時前に銀行に行けば仕事が終わる」と言われ、悲しい気持ちなりました。
その頃、あるパーティで会った三菱商事の副社長に、「おたくの会社は、どうやって儲けているんですか?」と、学生も聞かないような質問をしました。その人は顔色も変えずに、「人と麻薬と武器以外はすべてを売り買いして収益を上げる」と言いました。
すごい会社だと思いながら、「待てよ」と、そのとき思いついたんです。どう頑張ってもこの人たちと僕は取引できっこない。でも、相手のブランド力を利用すれば、その会社はスーパーブランドに変わるんじゃないかと。
とりあえず投資の仕事は向かなかったけれど、会社の分析はできると思い、Yahoo!やeBayなどIPO(新規株式公開)をしたばかりのアメリカの会社の資料を取り寄せて自分なりに分析しました。
そしてeBayに、無謀にも「日本の未来をつくる若者として、おたくと組んでもいい」とメールしたんです(笑)。当然、断られましたが、「いいことを教えよう。ネットの法則で最初に始めた者はすごく優位なポジションにつく。我々より先に始めて、うちの会社に買収してもらったら?」と書いてあったんです。「これはいい」と思いました。
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該当講座
不況に強い!「一休.com」のビジネスモデルの秘密
~ECサイト最強ブランドの成長の軌跡と今後の展望~
森 正文(株式会社一休代表取締役)
高級ホテル・高級旅館の宿泊予約サイト「一 休.com」を中心としたEコマース事業を展開する森氏にビジネスモデル誕生の背景から成長の軌跡、新しい事業への取り組みと今後の展開までお話いただきます。
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