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大人のための読書論

~書物語り、ブックトークより~

カフェブレイクブックトーク
更新日 : 2016年02月17日 (水)

第10章 好調な読書エッセイとブックガイドの出版

 
澁川雅俊: 書評は、本来一点の新刊書について、著者が何を問題にしてその本を書いたか、その本は読者にどのようなインパクトを与えるかなどを論じています。この1年半の間に書評集や書評論に関してはめぼしい本が出されませんでしたが、エッセイとブックガイドは数多く書かれました。
 『小泉今日子書評集』が挙げられます。ベストセラーとまでは行かなかったまでも、すべての全国紙の書評欄に取り上げられています。これは2005年から10年間読売新聞に寄稿した彼女の書評集ですが、その論調はエッセイです。NHKの少し前の大河ドラマで皇女和宮役を演じ、その後数々のTVドラマに出演している女優の小橋めぐみも『恋読』を出しています。タレントや俳・女優の読書エッセイは最近よく出されますが、亡くなった児玉清がその走りで、彼の『すべては今日から』(2012年刊)が最近文庫化されています。またサラリーマンから旅とレジャーの文筆家に転進した宮田珠己は、旅と同じ目線で本を読み、本を読むのと同じ目線で旅をする彼のスタイルで、『旅するように読んだ本』を出しています。

 
 ブックガイドでは、まず関西の出版社苦楽堂が、『次の本へ』と『続・次の本へ』を出し、面白い本を見つけ読んだものの次に何を読もうかと思いあぐねている若者たちを応援しています。経済小説を得意としている作家橘玲は、『読まなくてもいい本の読書案内』という逆説的な標題を掲げ、複雑系、進化論、ゲーム理論、脳科学などの分野の知の最前線について書かれた本を紹介しています。それは「人生には限りがあるのだから、アナクロな思考法で書かれた本は読まんでいい」ということのようです。

  
 特定のテーマで書かれたものには『小森収ミステリー評論集』やハヤカワ文庫SF『海外SFハンドブック』が、また作家の堀江敏幸と角田光代が『私的読食録』などという旨いもの本ガイドを出しています。珍しいところでは、音楽誌の編集者が書いた『音楽ファンのためのブックガイド読書夜話』があります。

関連書籍

小泉今日子書評集

小泉今日子
中央公論新社

小橋めぐみ
KADOKAWA

すべては今日から

児玉清
新潮社

旅するように読んだ本

宮田珠己
筑摩書房

次の本へ

苦楽堂
苦楽堂

苦楽堂【編】
苦楽堂

小森収
論創社

海外SFハンドブック

早川書房編集部【編】
早川書房

私的読食録

堀江敏幸 : 角田光代
プレジデント社

読書夜話音楽ファンのためのブックガイド

日販アイ・ピ−・エス
日販アイ・ピ−・エス

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