ミッション&ビジョン

理事長のごあいさつ

「新たな知の拠点」をめざして

このたび、アカデミーヒルズの理事長に就任させて頂くことになりました。日本のいや世界最先端の都市拠点である六本木ヒルズ——そこに位置するアカデミーヒルズで、皆さんとともに新たな知的発信に挑戦していきたいと思います。

小泉改革を通して日本はいま、21世紀型経済社会に大きく生まれ変わりつつあります。私自身、この5年半は日本の改革を目指して政府の中で仕事をさせて頂きました。その間学んだ一つの重要なことは、日本という経済社会が依然として大きな潜在的力を有していること、それらを大きく開花させる重要なチャンスに直面しているということです。しかし一方で、その力が十分発揮されないような制度も残されています。そうしたなかで、21世紀に向かって私たちの生活・ビジネス環境をさらに意慾的に改善していく努力が求められています。

都市の魅力、そして期待される機能とは、一体何なのでしょうか。私は、リソース(人材、技術、資本)相互の「新しい結合」を生み出すこと、そこから新しい「ライフスタイルを提案」することであると考えます。
20世紀を代表する経済学者J・シュンペーターは、資本主義発展の原動力は「革新」にあると主張し、世界中から幅広い支持を得てきました。ただし、彼が本来主張した革新とは、より正確にいえば「新しい結合」という意味であったことが知られています。都市には、様々な分野の専門家、多様な技術に特化した企業が集積しています。これらのリソースの結合・組み合わせによって新しいビジネス機会が生まれます。このような都市が持つ集積とその出会いこそが、都市というものが生み出す力なのです。
また、そうした結合によって人々が求める新しいライフスタイルを示すことが、都市の機能です。ここでいうライフスタイルとは、極めて多様で幅広い概念です。仕事の仕方、住居のあり方、衣料を中心としたファッション、食のあり方・・・・。したがって、むしろ文化そのものと言ってよいのかも知れません。都市は、文化の発信地でもあるのです。
人々は都市に対し、人間の生き方を豊かにするすべての新しい提案、つまり「新結合」「ライフスタイル」を期待しています。

私は、そうした最先端の都市機能を担う六本木ヒルズの「知の拠点」として、アカデミーヒルズがあると認識しています。アカデミーヒルズ自体が、新しい時代の都市文化の創造を担っているのです。知の結合の拠点として、新しい知的ライフスタイルの発信地としての機能をしっかり果たせるよう、理事長としての役割を果したいと思っています。
私の好きな言葉に「未来の未来は現在にある」(The future of the future is the present)というものがあります。未来は、突然やってくるものではありません。現在の地道な活動の積み重ねが未来を作ります。希望のある未来のためには、今の私たちの活動が未来志向で建設的なものでなければなりません。そのような皆さんの活動を、アカデミーヒルズは知的にサポートします。

アカデミーヒルズで皆さんにお目にかかるのを楽しみにしています。

2006年12月

竹中平蔵

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