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更新日 : 2015年06月17日 (水)

第9章 ベンチャーへの理解者・共感者を増やす方法とは?

川邊健太郎(ヤフー株式会社 取締役副社長 COO 常務執行役員)
川邊健太郎(ヤフー株式会社 取締役副社長 COO 常務執行役員)

 
会場からの質問(1): 世界を目指すメルカリが、最初の拠点として日本を選んだ理由を教えてください。

山田進太郎: C2Cでは、ユーザーの密度が、サービスを広げる際の重要なポイントになります。スマホの普及率が高く、定額でハイスピードの通信インフラが整備されている日本は、短期間で多くのユーザーを獲得できる可能性が高い。また、早くからモバイル端末が普及しているため、経験や技術を持つ人材が集めやすく、様々な検証も行いやすい。まずは、日本で洗練されたサービスと実績をつくり、その後、一気に世界を目指すという形で進めています。

何より、サービスをつくる上では、チームワークが重要になります。開発におけるクライアント側とサーバー側など個人の役割分担、ユーザーの意見をいち早くサービスに反映させる組織力。チーム活動が得意な日本人の強みを生かせる点も、大きなメリットだと思います。

会場からの質問(2): ヤフージャパンは遺伝子事業に参入されていますが、その背景について教えてください。

川邊健太郎: 名前にジャパンと入っているように、当社は日本に根ざした企業であり、日本が抱える様々な課題を解決できるサービスを生み出すという信念を持っています。いわゆる大企業ですから、なるべく大きな課題を解決するべきで、小さな課題は気鋭のベンチャーが小気味よく解決するべき、といった全体観を持っています。

日本の最たる課題と言えば、高齢化、それに伴う財政問題です。増加の一途をたどる医療費を抑えるには、対症的な医療から予防医療にシフトしていく必要があり、ヤフージャパンとしてはその面で貢献したいと考えました。正直なところ、利益重視というよりも、社会貢献の性質を多分に含む事業だと思います。とにかく、日本が抱える大きな課題の解決に貢献したいと踏み出した事業です。

会場からの質問(3): シリコンバレーには、リスクや失敗に対して寛容な文化があり、それが起業家やスタートアップの育成につながっています。一方で、日本はまだそうした文化がない。これを変えていくためには、どうすればいいのでしょう?

田中章愛: まさにいま、ソニーがチャレンジしていることです。米国には、挑戦する人をサポートするマインドがあり、イノベーティブな人たちがシリコンバレーのような特定の地域に密集しています。日本では、まだそうした人たちがバラバラの場所にいます。したがって、まずはイノベーターの密度を高めることが、起業に対する理解者・共感者を増やすための最初のステップになると思います。

山田進太郎: 僕は、ベンチャーの質をさらに高めていくことが、重要だと思います。「日本の大企業はベンチャーがつくったモノをあまり買わない」と言われていますが、それはベンチャーが生み出すプロダクトのレベルが低いからだと考えています。投資してほしいのなら、それに値するモノをつくり出すことがまずありきです。「どうすれば使ってくれるか、買ってくれるか」と必死に考え、様々な課題を乗り越えていく。それが起業家の本質的な役割ではないでしょうか。ですから、周りの環境がどうだといった話は、あまり関係がない。どのような環境においても、できることを最大限やる。それに尽きると思います。

川邊健太郎: 日本とシリコンバレーでは、様々な面で大きな差があるのは事実です。しかし、最も異なるのは、マインドです。失敗しても「次は必ず成功させる!」と言えるだけのチャレンジ精神と、それを理解し支える文化がシリコンバレーにはある。日本でも同様に、一人ひとりがチャレンジ精神を持つことが大切です。

その上で、自分が手掛けるビジネス、思いついたアイデアに対して、夢中になること。周囲のノイズが一切耳に入らないほど、夢中になる。1つの事を成すまで絶対に諦めない。私自身、常にそうありたいと考えていますし、ここに来られた皆さんも、ぜひそうなってほしいと思います。(了)



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