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都市・建築セミナー
都市計画の潮流~都市へのAMO的視点~

日時

2007年07月31日 (火)  19:00~21:00
終了しています

内容

都市計画に求められるものはこの50年間で本質的な変化を遂げた。かつては公共性の強い領域だったのに対し、今日では民間のマーケティング事業的な様相を徐々に強めている。公共主体の独占領域であった社会事業としての都市計画は、民間母体がより市場に結びついた都市ビジョンを展開する場へと移行しつつある。

この傾向に最初我々が気づいたのは、パリで行われたラ・ヴィレット公園都市計画の国際コンペに参加した1980年代末だった。90年代に入り、クライアントの構想に積極的に参加するかたちで画期的なストラテジーを編み出していったのが、アムステルダム沖スキポール空港都市(現空港の移転と新都市計画)、ハーヴァード大学都市再開発計画、リール都心再開発などである。また、これらのプロジェクトを進める中で、AMOというクリエイティブ・シンクタンクも生まれた。

都市計画とは何かという一般的な概念と、今日のグローバル化社会における都市計画の現実のありようとのギャップは、確実に広がりつつある。このギャップをまず正確に把握すること、そして現代の社会状況に即した都市計画とは何かを理解することが、現在の急務である。ここ数年、OMAではロンドン、リガ(ラトヴィア)、中近東アラビア湾岸諸国、カザフスタン等で巨大級スケールの都市計画を平行して進めている。社会背景、経済状況をはじめとする様々な要件を正確に理解し、その変化に敏速に対応しつつ、より長期的なビジョンをどのように提案していくか──どのプロジェクトも、都市計画の本質とつねに向き合いながら、時代に積極的に提案していくことを求められるプロジェクトである。

都市計画に焦点を絞ったOMAのレクチャーとしては日本初となるアカデミーヒルズの講演では、世界のさまざまな地域で、多種多様な都市計画プロジェクトに携わってきたレニエ・デ・グラーフが、現代の潮流を独特の視点で捉えつつ、OMAがどのような手法を使って時代主導型のプロジェクトを作り出してきたか、具体的に紹介する。また、アーキテクト集団のシンクタンクAMOがどのように生まれ、設計組織OMAとどうコラボレーションしているか、アウディ、イケア、EUなど、都市計画の分野でどんなプロジェクトを進めてきたかなども話す。

※本セミナーには同時通訳がついております。

講師紹介

ゲストスピーカー
Reinier de Graaf (レニエ・デ・グラーフ)
OMA(Office for Metropolitan Architecture)パートナー、AMOディレクター

1964年生まれ、国籍:オランダ
1996年よりOMA(オフィス・フォー・メトロポリタン・アーキテクチャー)在籍。

世界的規模の港湾再開発「デ・ロッテルダム」計画を皮切りとして、ヨーロッパ、中近東を中心に数々のプロジェクトを指揮してきた。現在はロンドンのホワイト・シティ地区総合都市計画、ラトヴィアのリガ港湾再開発、ラトヴィア初の現代美術館の設計計画を進めるとともに、中近東のドバイ、クウェート、ラス・アル・ハイマでそれぞれ大規模マスタープランに携わっている。

AMO:1998年、レム・コールハースが設立したリサーチ及びデザイン組織であり、建築設計組織OMAの対照的存在でもある。建築や都市計画の領域を飛び超え、めまぐるしく変化する現代社会の様々な課題を「建築的思考」によって捉えようというのが、AMOのアプローチであり、社会学、科学技術、メディア、政治といった領域を繋ぎ、既成概念に捕われない活動を展開している。

現在は、エルミタージュ美術館(サンクト・ペテルスブルク)の長期的キュレーション及び再開発計画、ファッションブランド・プラダのヴィジュアル・コミュニケーション・プロジェクトを推進しつつ、2003年から続くEU(ヨーロッパ共同体)のための研究調査と視覚的アイデンティティ促進プロジェクトも着実に進めている。異業種との連携をプロジェクトごとに構成しつつ、これまでクリエイティブなシンクタンクとしてコンサルテーションした相手先は、ユニバーサル・スタジオ、スキポール空港公団、ハーバード大学、コンデナスト(出版社)、ハイネケン、イケアなど。最近では、プラダの全世界店舗用デジタル技術システム、フォルクスワーゲンの未来戦略、オーガニック・ファストフードチェーンTMRWのビジネス戦略、アムステルダムの新デザイン財団プラットフォーム21の総合的運営戦略を作成している。

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モデレーター
塚本由晴 (つかもと・よしはる)
建築家

1965年神奈川県生まれ。1987年東京工業大学工学部建築学科卒業。1987~88年パリ建築大学ベルビル校(U.P.8)。1992年貝島桃代とアトリエ・ワン設立。1994年東京工業大学大学院博士課程修了 Harvard GSD客員教員。UCLA客員准教授を歴任。主な建築作品に《ハウス&アトリエ・ワン》(2006年)、《みやしたこうえん》(2011年)、《BMW Guggenheim Lab》(2011年)、《Rue Ribiere》(2011年)などがある。主な展覧会に「いきいきとした空間の実践」(ギャラリー間、2007年)、「Tokyo Metabolizing」(ヴェニス・ビエンナーレ日本館、2010年)。主な著書に『ペット・アーキテクチャー・ガイドブック』(2001年、ワールド・フォト・プレス)、『メイド・イン・トーキョー』(2001年、鹿島出版会)、『アトリエ・ワン・フロム・ポスト・バブル・シティ』(2006年、INAX出版)、『図解アトリエ・ワン』 (2007年、TOTO出版)、『空間の響き/響きの空間』(2009年、INAX出版)、『Behaviorology』 (2010年、Rizzoli)などがある。現在、東京工業大学大学院准教授。

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開催実績

Dominique Perrault (建築家/DPA Dominique Perrault Architecture)
塚本由晴 (建築家)
開催日 :  2007/07/26 (木)

募集要項

日時 2007年07月31日 (火)  19:00~21:00
受講料 5,000円
定員 150名

※定員になり次第締め切らせていただきます

主催
  • アカデミーヒルズ
協賛
会場 アカデミーヒルズ49(東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー49階)

※都合により40階に変更する場合、受講生には直接ご案内いたします。