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ディベート「自分と異なる考えの正当性を主張する」

自分自身の価値観とは反対の立場も理解する

活動レポートグローバル政治・経済・国際キャリア・人
更新日 : 2019年10月07日 (月)


  
Session 4:ディベート「自分と異なる考えの正当性を主張する」
講師:石倉 洋子(一橋大学名誉教授)
文/小林 麻実  写真/アカデミーヒルズ
開催日:2019年9月7日(土)

"Working Across Differences(価値観の異なる人と協働する)"を全体テーマとして開催されている2019年のグローバル・ゼミ(GAS)。 第4回目となるSession4では、あえて自分自身の価値観とは反対の立場も理解できるように、"ディベート"を参加者全員で実践しました。


ディベートのテーマは、「A. 上場企業に、社外取締役を2名置くという規定は、企業の多様性を進めることにプラスになっているか?」と、「B. 日本企業は定年制を廃止すべきか?」の2題。

参加者は、当日まで自分がどちらの課題の、どの立場について論述することになるかわからないため、それぞれについて賛成、反対の両方のロジックを事前に作成してこなくてはなりません。

ところが、「自分の主張を論理的に組み立てる」部分はともかく、「主張をサポートするものとして、計4通りのエビデンスを幅広く用意しておく」という準備が十分にはできていない方も多く、なかなか効果的なディベートを行うことに苦戦しているように見受けられました。

加えて、石倉洋子・一橋大学名誉教授が指摘したように、「まず大切なのは、最初に課題を肯定するグループが、課題の言葉を定義することです。課題A.ならば"多様性"とは何を意味するのか、"進める"とはどんな指標を用いて測るのか、等を言わなければなりません。 課題B.においても、そもそも"定年制"とは何なのか、それを"廃止する"とはどのようなことなのかを定義して、共通な議論の土台を作ることが必要です。」という点も難しかったようです。
何について話しているのか、を自分たちで決めつけるくらいでなくては、議論を始めることができません。そのような定義がなかったため、課題A.も課題B.も、自分たちの主張を一方的に話し、相手方の主張はなんとなく突っつく・・、といった形になってしまいました。

それでもたとえば、課題A.について「プラスになっているかいないか? が設問なのだから、十分ではないとしてもプラスになっている、ということはイエスだ」と繰り返したチームもあったように、興味深い議論が展開されていきました。

「このようなディベートであろうと、日常の仕事での意思決定であろうと、いつだって時間は足りません。そしていつだって、準備を十分にしておくことはできない。だからこそ、自分のあらゆる限りの考えを使って、できるだけ準備しておくことに時間をかけるべきです。」と石倉教授。これは毎年のGASで参加者がもっとも驚くことの一つなのですが、石倉教授ご自身が、常に誰よりも準備に時間をかけているのです。。

論旨のストラクチャーはシンプルにすること、図に描いて考えることの重要さを石倉教授が強調された後、AIを使ったスマート・ホーム等、高齢者のサポートについての議論にセッションは移っていきました。

次回は最終回。グループに分かれ、プロジェクトの提言を行います。今回のセッションでの学びがどのように生かされていくのか、注目です。

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