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活動レポート
自分と異なる価値観を持つ人との関係
身近なケースから考える/グローバルな視点から考える
活動レポートグローバル政治・経済・国際キャリア・人
更新日 : 2019年08月29日
(木)
Session 3:ディスカッション「多様性とは何か?」を考える
講師:石倉 洋子(一橋大学名誉教授)
ゲスト:田中 瑞人(NHK日本賞事務局長)
文/清水 香帆 写真/アカデミーヒルズ
開催日:2019年7月27日(土)
Global Agenda Seminar (グローバル・ゼミ/GAS)2019 Session 3では、アサイメントとして課された、自分の身近にいる「敵」とみなしている人と協働するためのアクションと結果を受講生が発表するところからスタート。後半は、世界中の教育コンテンツの国際アワードを主宰するNHK「日本賞」の事務局長を務める田中瑞人氏をお迎えし、受賞作品の鑑賞後に、多様性について議論しました。身近なケースと世界的な視点からの異なるアプローチから見えてきたこととは?
『自分が普段「敵」とみなしている人と 「対話(相談)する」、「コラボレーションを提案する」 等、何か協働するためのアクションを起こしてください。 そこから考えたこと、感じたことを1つのメッセージにcrystalizeしてください。』
これは、Session 3 までのアサインメントとして出された宿題です。あなたならどう取り組みますか?
ゼミ生たちから提出されたシートには、それぞれが置かれた環境によって全く異なるアプローチを取ったことが伺える内容が書かれており、石倉教授から選ばれた6名がセッションの冒頭でプレゼンテーションを行いました。
「信頼はコラボレーションの基盤。自分と相手の間に信頼関係がなくても、双方から信頼されている第三者を探し出し、第三者を通して協働することで目的を達成することができる。」
「自分と全く考え方が合わない同僚と協働するため、ゲームを使ったアプローチを考えた。まず、お互いに相手に変えてほしいことを3つ挙げる。サイコロを振って奇数が出たら、私がカードを取り、彼が挙げた改善点を実行する。一方で、偶数が出たら彼が変えるべき点を変える。ゲームの要素を盛り込むことでコラボレーションの糸口をつかむ。クリエイティブな発想を持つためのアイデアで、実際には実行していない。」
「自分は今まで上司に対して自分の主張をしてきたが、今回は相手の協力が無いと目的が達成できないことを誠実に伝え、一緒に考えて欲しい、と自分のこれまでのやり方を変えた」
実際にどういうシチュエーションで、どのような結果だったのか。メッセージが導き出される過程も具体的に語られたプレゼンは、受講生たちを大いに刺激し、質疑が活発に展開されました。
中には「相手とコミュニケーションを図ったが、折り合わないと思ったので諦めた」というものも。その結論に深く頷きながら、時には諦めるしかないこともある、と石倉教授は言います。
どんなに相手と自分が異なる意見を持っていたとしても、対話を続けなければ分断されたままになってしまう、というヨーロッパ某国の外相経験者のコメントを引用しつつも、一方で、協働しようと努力してもうまくいかないときもある、と石倉教授。
少し前までの世界では「多様な価値観を受け入れ、みんなでコラボレーションしましょう」という意見が多勢でしたが、今の世界は分断に向かっています。勝ち負けのある交渉、誰もが自分の主張を譲らないまま分断されていく世界・・・。
それでも対話をしないまま諦めてしまったらそこで終わってしまう。誰にも解が無いからこそ、自分が置かれた状況の中で対話を試み、その試行錯誤の経験の中からでしか得ることのできない自分だけの解。少なくとも対話を試みること、そして実際に試みから得た経験から学ぶことが重要だと石倉教授は説きます。
これは、Session 3 までのアサインメントとして出された宿題です。あなたならどう取り組みますか?
ゼミ生たちから提出されたシートには、それぞれが置かれた環境によって全く異なるアプローチを取ったことが伺える内容が書かれており、石倉教授から選ばれた6名がセッションの冒頭でプレゼンテーションを行いました。
「信頼はコラボレーションの基盤。自分と相手の間に信頼関係がなくても、双方から信頼されている第三者を探し出し、第三者を通して協働することで目的を達成することができる。」
「自分と全く考え方が合わない同僚と協働するため、ゲームを使ったアプローチを考えた。まず、お互いに相手に変えてほしいことを3つ挙げる。サイコロを振って奇数が出たら、私がカードを取り、彼が挙げた改善点を実行する。一方で、偶数が出たら彼が変えるべき点を変える。ゲームの要素を盛り込むことでコラボレーションの糸口をつかむ。クリエイティブな発想を持つためのアイデアで、実際には実行していない。」
「自分は今まで上司に対して自分の主張をしてきたが、今回は相手の協力が無いと目的が達成できないことを誠実に伝え、一緒に考えて欲しい、と自分のこれまでのやり方を変えた」
実際にどういうシチュエーションで、どのような結果だったのか。メッセージが導き出される過程も具体的に語られたプレゼンは、受講生たちを大いに刺激し、質疑が活発に展開されました。
中には「相手とコミュニケーションを図ったが、折り合わないと思ったので諦めた」というものも。その結論に深く頷きながら、時には諦めるしかないこともある、と石倉教授は言います。
どんなに相手と自分が異なる意見を持っていたとしても、対話を続けなければ分断されたままになってしまう、というヨーロッパ某国の外相経験者のコメントを引用しつつも、一方で、協働しようと努力してもうまくいかないときもある、と石倉教授。
少し前までの世界では「多様な価値観を受け入れ、みんなでコラボレーションしましょう」という意見が多勢でしたが、今の世界は分断に向かっています。勝ち負けのある交渉、誰もが自分の主張を譲らないまま分断されていく世界・・・。
それでも対話をしないまま諦めてしまったらそこで終わってしまう。誰にも解が無いからこそ、自分が置かれた状況の中で対話を試み、その試行錯誤の経験の中からでしか得ることのできない自分だけの解。少なくとも対話を試みること、そして実際に試みから得た経験から学ぶことが重要だと石倉教授は説きます。
セッション後半は、身近なケースを扱った前半とは打って変わってグローバルな視野で多様性を議論しました。
サプライズゲストとしてお越しくださったのは、NHKによって1965年に設立された教育コンテンツに特化した国際コンクール「日本賞」の事務局長、田中瑞人氏。
受賞作品を鑑賞しながら、田中氏に作品のポイントを解説いただきつつ、議論が展開されました。
田中氏によると、世界にはあらゆるコンテストがありますが、教育価値に特化した賞は、ほかに例を見ないといいます。戦後、日本が世界に貢献できることの一つとしてNHKが立ち上げたこの賞は、世界から300もの作品がエントリーされ、世界各国から選ばれた12人の審査員が1週間議論をして部門別最優秀賞、そしてグランプリ日本賞が決まります。エントリーされる作品はその地域の文化や価値観を反映しており、日本賞に集まる作品たちが多様性を体現しているのです。
セッションでは下記の2つの作品を鑑賞し、議論しました。
オランダのジャーナリストが巨大プラットフォームInstagramの内幕を描くドキュメンタリー「#Followme」。
そしてケベック州のある小学校で女性教師が生徒に「差別を体験する」授業を行う様子を追ったドキュメンタリー「A Lesson in Discrimination(特別授業 差別を知る~カナダ ある小学校の試み」です。
セッションでは、特に2つ目の「A Lesson in Discrimination」の鑑賞後の議論が白熱しました。
本作品は日本賞の審査員の間でも、大きく意見が割れて論争を巻き起こしたといいます。「背の高い子は、背の低い子よりも劣っている」ことが事実だと伝え、背の低い生徒に特権を与えていくことで、差別する側、される側を子どもに体験させる授業は、日本では問題になりそうです。
ゼミ生からは「この授業の倫理的な是非は自分には分からないが、同質の人しかいない環境にいる人たちは異質な人の存在を知らないので、このような体験をさせることは意義があると思う。」という声があがりました。一方で「実際に差別されることの痛みを感じさせることは重要だが、果たしてそれが将来、誰かに差別的なことをしないことに繋がるかは疑問だ。なぜなら差別をする側は相手が傷つくことを知っていて差別するからだ。」という発言もありました。
田中氏も教育コンテンツは、そのとき子どもに与えるインパクトだけでなく、その後の人生に与える長期的な影響も考えないといけない、と指摘します。
「違い」と「差別」はどう違うのか?「違い」はどこにでもあるのに、それがどう差別につながっていくのか。
「差別」という言葉は特別な響きがあるが、差別をする人のモチベーションとして「自尊心」を守るためだと考えると、日々の発言や態度が差別的になることは日常的に起こっている。
議論が深まれば深まるほど、「多様性」を考えることの難しさを痛感していく参加者たち。
最後のグループディスカッションでは、「誰もが得意なことに違いがあるように、異なる評価軸を使えば色々な違いを見出すことができる。違いとは状態であり、違いを軸にどう行動していくかは私たち次第」と発表したグループに、石倉教授も深く頷きます。
「違い」や「多様」とは状態を表すものであり、「差別」は人間が取る行動である。そのことを皆さん確信した様子です。
難しい議論の後は、懇親会に場を移してゼミ生と石倉教授は各自の学びをシェアし合いました。
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