六本木ヒルズライブラリー
【ライブラリーイベント】子どもの防犯からテロ対策まで
安全インストラクターに聞く、私たちができる“安全術”とは
開催レポート
ライブラリーイベント
日時:2016年11月14日(月)19:00~20:30@スカイスタジオ
近年日本にも沢山の観光客が訪れるようになりましたが、日本が世界でもっとも安全な国のうちの一つであるということも理由のひとつではないでしょうか?しかしながら、2020年開催予定の東京オリンピックでさらに多くの人が世界中から集まり、注目されることで、テロの脅威なども想定する必要があり、私たち一人一人が意識を高めて、安全対策を身につけておくことが大切ですね。
この日のライブラリーイベントは、年間200件近く、自治体や警察などから依頼を受けて、安全講習を行っている安全インストラクターの武田 信彦さんにお越しいただき、最近の安全を取り巻く状況と、もしもの時のための逃げる技について教えていただきました。
この日のライブラリーイベントは、年間200件近く、自治体や警察などから依頼を受けて、安全講習を行っている安全インストラクターの武田 信彦さんにお越しいただき、最近の安全を取り巻く状況と、もしもの時のための逃げる技について教えていただきました。
安全な国だからこそ成り立つ子供たちの「行ってきます!」
英国の経済誌The Economistによると世界一安全な都市の第3位は大阪、第2位はシンガポール、そして第1位は東京だそうです。武田さんは、海外に比べ日本の安全への考え方は世界でみても少し独特だと言います。私たちが聞きなれている子供たちの「いってきます!」「ただいま!」という挨拶は、日本では当たり前ですが、欧米ではあり得ません。なぜなら、欧米では、子供が子供だけで出かけたり、学校へ行ったり、留守番することさえ無いからだそうです。通学も親やスクールバスで送迎、遊びに行くにも親の送り迎えが一般的です。一方日本では、学校はもとより、いったん学校から帰って遊びに行ったり、塾に行ったりするのも子供たちが自分たちでいくのが当たり前になっています。このことから、日本は、自分の身は自分で守るという自己責任論が薄い国だということがわかるのだそうです。しかし、これは悪い意味ではなく、そうなった経緯はおそらく日本が長く安全な国であったからで、基本的には安全であるという認識の上で日常が成り立ってきたからにほかなりません。いっぽう欧米諸国は、自己責任論が強く、特にアメリカは厳しく、13歳未満の子供を家の中でさえも一人にしたり、子供だけにしたりすることは違法です。さらには、銃を装備してでも自分の身や自分の子供を自分で守ろうという考えも、めずらしくありません。
様々なギャップに揺れる防犯対策
このように防犯に対する考え方は、国によっても大きなギャップがあります。世界では自警団のようなものが街の安全を守るために見回っていたりしますが、この自警団も犯罪と敵対するため、過激な集団になる恐れもあり、賛否が分かれます。日本では、今のところボランティアによる「見守り」が主に行われていますが、これもボランティアの高齢化によりだんだん限界が近くなっているようです。
一例として、あるマンションの自治会では「元気にあいさつしましょう」という標語がありますが、住人のお母さんから「子供には知らない人に声をかけられたら逃げろと教えているので、あいさつはしないでほしい。」という意見があり、結局その自治会ではあいさつをしないことになったそうです。これもまた世代間もしくは立場のギャップにより生じた出来事です。このように防犯を取り巻く状況はそれぞれに事情や環境や年代や常識が違うため、武田さんが依頼を受ける自治体や警察でも、誰に向けてどんな防犯講座をすればよいか悩んでいるそうです。
一例として、あるマンションの自治会では「元気にあいさつしましょう」という標語がありますが、住人のお母さんから「子供には知らない人に声をかけられたら逃げろと教えているので、あいさつはしないでほしい。」という意見があり、結局その自治会ではあいさつをしないことになったそうです。これもまた世代間もしくは立場のギャップにより生じた出来事です。このように防犯を取り巻く状況はそれぞれに事情や環境や年代や常識が違うため、武田さんが依頼を受ける自治体や警察でも、誰に向けてどんな防犯講座をすればよいか悩んでいるそうです。
日本の安全神話は長く続いてきましたが、事情が変わりつつあります。その時に役に立つのは、自助(じじょ)と近助(きんじょ)という考え方です。ひとりひとりが日ごろから安全意識を持ち、知識を持っていれば身体が自然と動くものです。自分を自分で助ける自助を高めれば、近くで起こった犯罪を助ける近助も必然的に高まりまると武田さんは訴えています。
「治安対策の主人公は一般市民です。
ひとりひとりの安全意識は、誰かを助ける力にもなるのです。」
「治安対策の主人公は一般市民です。
ひとりひとりの安全意識は、誰かを助ける力にもなるのです。」
危険な時は、ダメージを与えず、逃げることだけ考える
後半は、実際に身体を使って、逃げる技について教えていただきました。
まずは丸めて筒状にした新聞紙を使って、人との安全距離を感覚的に理解するデモンストレーションがありました。会話ができても、手の届かない安全な距離を感覚的に身に着けることで、防犯になると言います。次に、手をつかまれたときにもう片方の手と腰を使ってつかまれた手をほどいて逃げる方法や、肩を組まれたときにすり抜ける方法などを教えていただきました。いずれも相手の手からすり抜けて逃げるということが大事で、下手に相手にダメージを与えることは絶対にしないほうが良いと言います。必要以上に相手にダメージを与えようとする行為は、新たな事件の呼び水になったり、被害者だったはずがいつの間にか加害者になってしまうこともあり得るので、まずは逃げるということを最優先に考えることが大事ということでした。
自然災害の多い日本では、いざという時のための避難や災害対策についての意識は高いものの、防犯や事件に対する防犯対策を日ごろから対策を考えている人は少ないかもしれません。これからは、災害対策とともに防犯対策もしっかりと考えていかなくてはいけないと思わせてくれるセミナーでした。
【スピーカー】武田 信彦 (安全インストラクター)
●もしもテロにあったら、自分で自分の命を守る民間防衛マニュアル
まずは丸めて筒状にした新聞紙を使って、人との安全距離を感覚的に理解するデモンストレーションがありました。会話ができても、手の届かない安全な距離を感覚的に身に着けることで、防犯になると言います。次に、手をつかまれたときにもう片方の手と腰を使ってつかまれた手をほどいて逃げる方法や、肩を組まれたときにすり抜ける方法などを教えていただきました。いずれも相手の手からすり抜けて逃げるということが大事で、下手に相手にダメージを与えることは絶対にしないほうが良いと言います。必要以上に相手にダメージを与えようとする行為は、新たな事件の呼び水になったり、被害者だったはずがいつの間にか加害者になってしまうこともあり得るので、まずは逃げるということを最優先に考えることが大事ということでした。
自然災害の多い日本では、いざという時のための避難や災害対策についての意識は高いものの、防犯や事件に対する防犯対策を日ごろから対策を考えている人は少ないかもしれません。これからは、災害対策とともに防犯対策もしっかりと考えていかなくてはいけないと思わせてくれるセミナーでした。
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