六本木ヒルズライブラリー
【ライブラリーイベント】 開催レポート
慶應SFCのスタートアップシリーズ2016①
100年後も愛され続けるブランドへ-グラネス株式会社-
ライブラリーイベント
日時:2016年10月13日(木)19:00~20:30@カンファレンスルーム7
創立から25年あまり、その新しいスタイルの教育方針により、現在までに実に多くの若き起業家を輩出してきた慶應SFC(慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス)。その起業家・創業者をお招きしてお話を伺うシリーズ。2016年第1回は、Made in Japanにこだわり、質の良い商品を作り続けることで、未来の老舗企業を目指すグラネス株式会社代表取締役兼デザイナーの伊藤 妃実子さんにお越しいただきました。ファシリテーターは2015年に続き、SFCインキュベーションマネージャーの廣川克也さんです。
世界に誇れる日本の老舗企業
スタートアップと聞いて最初にイメージとして浮かぶのはシリコンバレーのスタイルではないでしょうか?起業をしたら大型の資金調達をし、企業の資産価値を最大化して、高値で事業を売却し、大金を手にして、それを元手にさらに別の会社を起業したりエンジェルになったり。世界の時価総額ランキングでは、1位から10位までがアメリカの企業が占め、さらにその10社中5社はappleやamazonなどの直近30年に設立されたベンチャー企業です。日本のスタートアップ業界や政府の方針や大学の教育などは、シリコンバレー型を手本としたベンチャー育成に取り組んでいます。一方で、世界の老舗企業ランキングというものがあり、この上位10社のうち7社が日本企業なのだそうです。さらに200年以上の歴史のある企業は世界で5586社あり、その中の3146社、全体の56%が日本の企業というデータがあるそうです。これは日本が世界に誇れるものであり、実は典型的なシリコンバレー型のスタートアップより、老舗企業におけるイノベーションとか、持続的企業を意識した経営とか創業というほうが、日本の風土や文化にあっているのかもしれないと廣川さんから問題提議がありました。
ファミリービジネスは三方良し
そして、この日のゲストスピーカー伊藤 妃実子さんは、老舗企業の研究を行っていた学生時代に社会起業家コンテストで優勝し、それをきっかけに起業。現在は、今回のタイトルにもあるように100年後も愛され続けるブランドに育てるべく、会社を経営されています。会社を設立した当時は大きくしたいという気持ちもあったそうですが、研究の一環で老舗の経営者の方と話すにつれ、 だんだんと長く続けられる企業にしたいという気持ちが強くなってきたとか。
日本では、老舗のファミリー企業というと、お家騒動などが大きく報道され、あまりポジティブなイメージがありませんが、実は世界の主要国においてファミリービジネスのGDPへの貢献土は実に60%にもなるそう。そして、世界でみてみると、ファミリーによって経営されている企業は70%であるのに対し、日本では95%がファミリービジネスで占められているそうです。日本ではあまり知られていませんが、世界的には、日本のこのような現状が高く評価されているのだそうです。海外で日本の老舗企業のケーススタディを紹介すると、とても評価が高いそうですが、どういう部分が評価されていると思うかという廣川さんの問いに、日本の少し暑苦しいと思われる程の社内の人間関係、人を大切にする部分でないかと伊藤さんは言います。実際、伊藤さんがファミリービジネスとして100年後に老舗と言われるようなブランドにしたいと思うようになったのは、社員や社員の家族や職人さんや自分を含めて自分の家族の全員が幸せ、ひいてはお客さんの幸せにつながるような三方良しのシステムになり得ると思ったからだそうです。
その一方で、長く同じ人が社長の座にとどまることによる弊害もあります。20歳で会社を立ち上げたときは、右も左もわからず、いろんな人に怒られながら成長してきたけれど、10年経つと自身が歳を重ねたこともあり、周りの人がだんだん自分に意見を言わなくなってくることを危惧されているそうです。時には現場で職人さんや従業員と同じ目線で手を動かし、技では叶わない職人さんの意見を聞いたり、怒られたりすることも大事だといいます。
日本では、老舗のファミリー企業というと、お家騒動などが大きく報道され、あまりポジティブなイメージがありませんが、実は世界の主要国においてファミリービジネスのGDPへの貢献土は実に60%にもなるそう。そして、世界でみてみると、ファミリーによって経営されている企業は70%であるのに対し、日本では95%がファミリービジネスで占められているそうです。日本ではあまり知られていませんが、世界的には、日本のこのような現状が高く評価されているのだそうです。海外で日本の老舗企業のケーススタディを紹介すると、とても評価が高いそうですが、どういう部分が評価されていると思うかという廣川さんの問いに、日本の少し暑苦しいと思われる程の社内の人間関係、人を大切にする部分でないかと伊藤さんは言います。実際、伊藤さんがファミリービジネスとして100年後に老舗と言われるようなブランドにしたいと思うようになったのは、社員や社員の家族や職人さんや自分を含めて自分の家族の全員が幸せ、ひいてはお客さんの幸せにつながるような三方良しのシステムになり得ると思ったからだそうです。
その一方で、長く同じ人が社長の座にとどまることによる弊害もあります。20歳で会社を立ち上げたときは、右も左もわからず、いろんな人に怒られながら成長してきたけれど、10年経つと自身が歳を重ねたこともあり、周りの人がだんだん自分に意見を言わなくなってくることを危惧されているそうです。時には現場で職人さんや従業員と同じ目線で手を動かし、技では叶わない職人さんの意見を聞いたり、怒られたりすることも大事だといいます。
持続可能性のために
最後に伊藤さんにグラネス株式会社の持続可能性へのヒントをお伺いしました。
1.大きくより長く続けるためには、売上よりも利益率を考える。
2.攻めるより、守る。
3.強さより、柔らかさを。
あせらず、ゆっくりと大きくないけれどしっかりと地に足をつけてブランドを育んでいる伊藤さんは、とても穏やかな口調で柔らかい印象でしたが、その裏に、優しいけれど強くきっぱりとした決意のようなものが感じられました。
最後の質疑応答の時間では、時間を過ぎるほど、次々と質問の手が上がり、実は昔から培われてきた世界に誇れる日本気質が生み出したファミリービジネスに、参加されたメンバーもとても大きな感心を寄せているようでした。
1.大きくより長く続けるためには、売上よりも利益率を考える。
2.攻めるより、守る。
3.強さより、柔らかさを。
あせらず、ゆっくりと大きくないけれどしっかりと地に足をつけてブランドを育んでいる伊藤さんは、とても穏やかな口調で柔らかい印象でしたが、その裏に、優しいけれど強くきっぱりとした決意のようなものが感じられました。
最後の質疑応答の時間では、時間を過ぎるほど、次々と質問の手が上がり、実は昔から培われてきた世界に誇れる日本気質が生み出したファミリービジネスに、参加されたメンバーもとても大きな感心を寄せているようでした。
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