六本木ヒルズライブラリー

電通総研×Forbes JAPAN×アカデミーヒルズ ライブラリー
MOODMAN(DJ)×タナカマ(テンデイズ・ゲームズ)が語る
「雑談からビジネスまでつかえる(?)「アナろぐ」の魅力」
 開催レポート

ライブラリーイベント

日時:2016年8月30日(水)19:30~21:00
@アカデミーヒルズ オーディトリアム


左より倉成氏、DJ MOODMAN、タナカマさん、藤吉氏

電通総研内のクリエイティブシンクタンク電通総研Bチームは、「好奇心ファースト」を合言葉に、社内外の特任リサーチャー25人がそれぞれの得意分野を1人1ジャンル常にリサーチし、各種プロジェクトを支援しています。

その電通総研Bチームのプロジェクトから生まれたコンセプトをForbes JAPANで毎号ひとつずつ紹介する好評の連載「電通総研BチームのNEW CONCEPT 採集」。その番外編として、リアルイベントを電通総研、Forbes JAPAN、アカデミーヒルズライブラリーのコラボレーションで開催しています。

「電通総研BチームのNEW CONCEPT 採集」番外編第3弾のコンセプトは「アナろぐ」




第3弾となる今回のテーマは「アナろぐ」。Forbes2016年1月号で紹介されたこのコンセプトは、「アナログ」と「くつろぐ」を組み合わせた造語で、くつろぐのように動詞として使うのだそうです。

今や、音楽の愉しみ方はダウンロードからストリーミングへと変わり、「音楽を所有する」というかつての概念自体が消えつつあるという状況の中、どういうわけか究極のフィジカルコンテンツであるアナログレコードのみが市場を拡大しています。また、世界中でポケモンGOをはじめ、VRやARを駆使したテクノロジーゲームが話題沸騰の一方、アナログゲームの祭典「ゲームマーケット」の来場者は、2000年の第1回開催の400名から、16年春には11,000名へと3倍近くに拡大するなど、アナログゲームプレイヤーも確実に増加しています。世界の状況を見てみても、30年以上の歴史のあるドイツのアナログゲームの祭典、通称「エッセンシュピール」の来場者数も16万人を超え、増加傾向だとか。こんな不思議なアナログ現象をどうみるか?アナログを地で行くスピーカーがそれぞれ「アナろぐ」現象を解析したました。

「アナろぐ」コンセプトの生みの親、DJ MOODMAN のアナログ観


まず一人目の「アナログ」な人は、今回のテーマである「アナログ」と「くつろぐ」を組み合わせた「アナろぐ」というコンセプトの生みの親、電通のクリエイティブディレクターで、電通総研BチームではMusic担当のリサーチャー、そしてMOODMANの名で活躍するDJでもある木村 年秀氏。DJ MOODMANは、曲をかける際にはアナログとデジタルの両方の音源を使うのだそうです。デジタルは情報として頭に入り、アナログは作品として入ってくるというように、音の違いだけなくその存在感の違いに面白さを感じて、アナログとデジタルの両方を使うそうです。デジタルな生活は、便利ではあるけれど、時々週末にPCを開くのをやめてみたり、SNSをスルーしてみたりして「アナろぐ」ことにより、デジタルに浸ったアタマの違うところが刺激され、新しい切り口が見つかったりするのだそうです。

アナログなボードゲーム人気

そして、もう一人の「アナログ」代表は、アナログゲーム店を営むタナカマさんこと田中 誠氏。タナカマさんには、今のゲームシーンを読み解く10タイトルとして、10種類の話題のボードゲームをご紹介いただきました。日本発で世界的に大ブレイクしたゲームやクラウドファンディングから生まれたゲーム、1回しか遊べないプレミアムゲームなど様々ですが、蔓延する病原菌の特効薬を開発し、世界を救おうというミッションをプレイヤー全員で協力して達成する「パンデミック」や、一枚の絵札からから連想される親の「言葉」を頼りにプレイヤーがそれぞれの感性で親のカードを当てる「Dixit」など、いずれも勝ち負けを競うのではなく、プレイヤー同士の会話を楽しんだり、協力しあったりするコミュニケーションを促進するゲームであるというのが人気の理由と言えそうです。

タナカマさんにとっての「アナログ」の魅力は、デジタルゲームは最後までやって高得点を出すことが基本の楽しみ方であるいっぽう、アナログゲームはやっているそのこと自体が面白く、また、同じゲームでも誰とやるかによって全く違う面白さになったりという、ちょっと懐が深いようなところだと言います。

企業でもアナログ活用

これらのアナログゲームは、静かなブームとなり仲間同士で楽しむ人たちが増えているというほかにも、人事担当を中心に企業での活用も広がっているようです。例えば従業員研修時のアイスブレイクとしてアナログゲーム実施して、参加者の緊張感を解いたり、または、研修そのものとして活用するケースもあり、交渉力を鍛えたり、チームワークの向上を図ることに役立っているようです。さらには、採用の現場でもゲームを実施して、それぞれの取る行動などから採用の判断の一つとする企業もあるということなど、アナログゲームを取り巻く社会現象についてForbes JAPANの藤吉氏より共有いただきました。

タナカマさんの怒涛のような10タイトルの紹介は、このセミナーの多くの時間を占め、DJ MOODMANさんの音楽の話がもっと聞きたかった!というような感想もありましたが、タナカマさんのアナログゲームに対する並々ならぬ熱意のこもった紹介に多くの参加者は聞き入っていて、紹介いただいたボードゲームにすっかり魅了され、「やってみたい!」という気持ちをかきたてられたようで、セミナー終了後に会場で販売用として用意されたボードゲームを大勢の方が買い求めていました。

アナログゲームやアナログレコードは、タイムリーに経験してきた世代ですが、こうやって改めて知ってみると、確かに新鮮であり、すでにデジタルに慣れてしまった今だからこそ魅せられるということもあるのかなと思いました。先述の本場ドイツの「エッセンシュピール」2016が今年も10月13日~16日に開催されます。ちょっとのぞいてみたい気持ちにもなるセミナーでした!

【スピーカー】
木村 年秀(株式会社電通 クリエーティブディレクター)
田中 誠(テンデイズゲームズ店長)
藤吉 雅春(Forbes JAPAN副編集長兼シニアライター)
倉成 英俊(株式会社電通 電通総研Bチーム代表)