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日本元気塾セミナー「世の中にないモノを創る」技術集団

〜セブン・ドリーマーズの挑戦〜

更新日 : 2017年06月22日 (木)

世界一イノベ—ティブな会社になるために【後編】

世界初!完全オーダーメイドのカーボン・ゴルフシャフト


2014年2月から販売している「カーボン・ゴルフシャフト」
阪根信一: 私は元々ゴルフ愛好者で、数万円支払ってゴルフシャフトを買うことにくやしさを覚えるほど、ゴルフシャフトのつくりに不満を抱いていました。そこで、ゴルフボールの軌道に一番影響するといわれる、質の高いゴルフシャフトをつくろうと決心。「ゴルファーの夢の一打を実現し、生活をより豊かにすること」をテーマに製作しました。

それまでのカーボン・シャフトは、カーボンを研磨して作られているため、個体差が生じやすいのです。しかし、当社には人工衛星などに用いられるカーボンボディを製造する子会社がありました。その技術と当社のカーボン・シャフト設計技術と、独自のスウィング測定技術を組み合わせて、研鑽や塗装もいらない高精度のシャフトを可能としたのが、完全オーダーメイドの「カーボン・ゴルフシャフト」です。2012年に開発をスタートし、2014年2月から販売しています。

14本のコンプリートセットの一番安いもので168万円、1本12万円から高いもので1本で1,200万円程します。最近は特に海外で好調で、中国はじめアジア近辺で多く売れています。
自動折畳み機ランドロイドの発売前に、BtoCビジネスにおける、ブランディングやマーケティングの経験を積むためにはじめた、という側面もあります。

3,000万人の睡眠を救う「ナステント」


世界初のいびきや無呼吸症候群を解消する1回使い捨てタイプの医療デバイス「ナステント」
阪根信一: 「ナステント」は、世界初のいびきや無呼吸症候群を解消する1回使い捨てタイプの医療デバイスです。健康被害がない中等症以上の無呼吸症候群患者は、国内に3,000万人世界ではその何倍もいると言われており、かなり巨大なマーケットです。しかし、その中の約99%の人はストレスを抱えています。実は、私も重度の無呼吸症候群患者でワンデイコンタクトのように、簡単に持ち運べる商品をつくりたいと思っていたんです。
CEマーク(ヨーロッパの医療認可)、厚生労働省の認可を取得し、2014年7月にナステントの販売を開始し、2016年の12月までに100万本販売しました。

今年度中にフランス、オランダ、イギリス、ドイツなどヨーロッパ各国に拡大する予定です。また、中国のCFDAとアメリカのFDAの認可も年度内に取れる見込みなので、一気に海外展開を目指します。


やると決めたら“振り切る”覚悟を

阪根信一: ここで少し資金調達のお話をします。
大学院を卒業し、1999年にアメリカから帰国しました。11年間父の会社で勤務した後、当社を設立。技術者2~3名で細々と開発していました。
ついに商品を世に送り出すという段階となって、製造やマーケティングの費用が必要になりました。自己資金では到底賄えなくなったので、2014年1月から資金調達を始めたのです。
まずは、3つの事業の資金調達のため、シリコンバレーへ。3つの事業を同時進行していることがベンチャーキャピタルに懸念され、ここでの資金調達を断念。ヨーロッパでも同様の壁に当たりました。
ならば母国・日本で…と思い、30社余りを回った結果、ようやく「気概のあるハードウェアベンチャーはいいね」と言ってくれる日本の専門商社KISCOが現れました。資金が枯渇しかけた時もありましたが、この資金による助けのおかげで、2015年5月には15億円の資金調達に成功しました。

米倉誠一郎: 最初の資金調達は、絶対シリコンバレーだったのだと勝手に思っていたけど、違うんですね。YouTubeのように“わからないもの”に賭ける力はアメリカが優れていると思いきや、日本の専門商社が食いついたとは意外でした。
このKISCOは蜘蛛の糸の量産化をするスパイバーにも投資していますね。

阪根信一: そうですね。会社が危なかったときに救ってくれたのもその日本の投資でした。
2014年からの3年間で100億円の資金調達に成功し、事業の目途が経ちました。
ピンチと焦りの連続ですが、何とか計画通り進んでいます。
最近では、現代は尖れば尖るほど会社が伸びるいい時代だと感じています。
劇的に変わったことをすれば、SNS等の影響もあり、瞬く間に世界中に情報が広がります。イノベーションが重要なのは言うまでもないですが、やるならば思いっきり振り切って、とことん突っ切った方が非常に有利。世界中から注目され、資金を集められる時代になりました。


世界一イノベ—ティブな会社になるために

米倉誠一郎: 当分の間はランドロイドがメイン商品ですか?

阪根信一: 実は、4つ目、5つ目とテーマが進んでいます。4つ目は技術的にある程度完成しており、特許も出願済みです。5つ目はまだ製品の具体的なイメージを構想している段階なので、1円も使っていません。

米倉誠一郎: それにしても、ランドロイドの開発に12年とは頑張りましたね。

阪根信一: ゴールから逆算すると、この時期にこれをしないとダメという道筋が見えてくるのです。

米倉誠一郎: つまり、ランドロイドが何万台と売れて、家庭内で活躍するイメージからバックキャスティングするのですね。それで、今年はランドロイドカフェを開き、販売開始だったわけですか。

阪根信一: そうですね。具体的には、2030年には世界一イノベ—ティブな会社になっていること。数値目標としては売上3,500億円、経常利益700億円というゴールがあります。それを達成しようと思うと、テーマ数が必要です。そのうちの一つがランドロイド。細かく逆算すると、今年はランドロイドカフェを出店しなければならないという発想です。

米倉誠一郎: 面白いですね。世界一イノベ—ティブな会社をつくり、アップルか、グーグルか、セブンドリーマーズかと、世界の技術者が憧れる会社なんて最高ですよ。

阪根信一: そうですね。
イノベ—ティブレベルならば先進的な海外企業にも勝てると信じているので、実際に実行して、世界に発信していきます。日本からもっともっとイノベーションを起こせると信じています。


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「世の中にないモノを創る」技術集団セブン・ドリーマーズの挑戦
「世の中にないモノを創る」技術集団セブン・ドリーマーズの挑戦

阪根信一(セブン・ドリーマーズ・ラボラトリーズ株式会社)×米倉誠一郎(日本元気塾塾長)
世界初の「全自動衣類折りたたみ機=ランドロイド」開発秘話、そして世界一イノベーティブな会社を目指し、今後どのような未来ビジョンを描いているのかをお話いただきます。


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