自分をアップデートする5冊
春。それは始まりの季節です。
新たな出会い、新たな環境……変化を迎えるのは、学生や新社会人に限りません。先輩として、上司として、あるいはリーダーとして、むしろキャリアを積むにつれて、春の始まりには責任と能力がより求められようになるのではないでしょうか。
そんな時、必要になるのは、今一度学び直し自らを高めること。新年度が始まった今こそ、実践のチャンスではないでしょうか。心機一転、再成長したい!という方にお勧めの5冊をご紹介いたします。
Deep Skill ディープ・スキル
組織と人を巧みに動かす 深くてさりげない25の技術
どんな仕事も、人間関係と切り離すことはできません。そして大抵の場合、組織が関わります。他者とどのように関わるか、これは仕事をする上で最も本質的なスキルと言えるのではないでしょうか。本書がディープ・スキルと呼ぶそれは、単なるコミュニケーション術ではありません。人の考えを理解し、チームを動かす、組織力学なのです。新しい上司や取引先との出会いも多いこの季節こそ、ディープ・スキルを発揮する時。4000人を超えるリーダーをサポートしてきたベテランコンサルタントによる本書は、心強い味方となるはずです。
コンサルが「最初の3年間」で学ぶコト
知らないと一生後悔する99のスキルと5の挑戦
コンサルティング、それは「思考」を売る仕事——と言うと、アイディアを次々に思いつく才能が求められると思うかもしれませんが、違います。ビジネスを観察し、分析し、発展させる、コンサルに必要なのは「思考のスキル」。誰にでも身に着けることのできる「技術」なのです。本書はコンサル業界に入って3年に叩き込まれる思考法を、104の論点に分けてご紹介します。それはあらゆるビジネスに通用する、普遍的なスキル。異種業界の方も、もう「三年目」を過ぎた方も、必ずや自分を飛躍させる新たな視点が見つかるはず。
学び直しの「近現代史」
2022年、学習指導要領が改訂され、高校では「歴史総合」という必修科目が追加されました。これは18世紀以降の日本史を世界史と絡めて学ぶというもの。背景には、今日の国際社会において、戦争や経済的対立が表面化し、地政学の視点がますます重要となっていることがあります。多くの業種がグローバルな問題と切り離すことのできないこの時代、現代と地続きの近現代史を学ぶことは、ビジネスパーソンにとって必要不可欠ではないでしょうか。我々が直面する政治、経済、あるいは環境問題を歴史の中でとらえなおすために、格好の一冊です。
「データは苦手」からの卒業
管理職のためのやさしい数値化技術
DXが進む昨今、データ分析や統計の世界は避けては通れないものになりつつあります。「しかし、数字はどうも苦手で……」という方、まずは本書を手に取ってみてください。小難しい数式はありません。何を数値化することができ、それをどう利用するのか。著者が重視するのは、ビジネスを数字でとらえなおす効用を体感すること。膨大な情報が日々押し寄せる現代社会において、数値化の視点をものにすれば、物事をよりシンプルに、客観的に理解することができます。データに親しむ第一歩を、ここから踏み出してみてはいかがでしょうか。
「学びほぐし」が会社を再生する
企業とファンドの組織変革物語
最後にご紹介するのは、少々異なるアプローチからの本です。
本書は一つの企業が凝り固まった思考を脱し、自ら行動する組織に変わっていく様子を綴ったノンフィクション。ここには劇的な「変革」も、万能の「答え」もありません。変化には時間と労力がかかり、それでも少しずつ前進するためには、過去と向き合うしかないのです。あるいは、それを受け入れることこそ、最大の成長と言えるのではないでしょうか。経営者にとっても社員にとっても、重要なことは常に「変われない自分の思考」を認識すること。そこには、単なるスキルアップを超えた、リスキリングの本質があるのかもしれません。
その変化を日々キャッチアップするだけではなく、どんな変化にも対応できる思考法や本質的な対人能力、あるいは歴史から導くマクロな視点を身に着けることも必要なのかもしれません。そんな本質的な「学び直し」のためのきっかけとして、
こちらの5冊を手に取ってみてはいかがでしょうか。
Deep Skill ディープ・スキル
石川明ダイヤモンド社
コンサルが「最初の3年間」で学ぶコト
高松智史ソシム
学び直しの「近現代史」
週刊東洋経済編集部東洋経済新報社
「データは苦手」からの卒業 管理職のためのやさしい数値化技術
中野崇日経BP
「学びほぐし」が会社を再生する:企業とファンドの組織変革物語
安嶋明岩波書店
注目の記事
-
11月20日 (水) 更新
aiaiのなんか気になる社会のこと
「aiaiのなんか気になる社会のこと」は、「社会課題」よりもっと手前の「ちょっと気になる社会のこと」に目を向けながら、一市民としての視点や選....
-
10月22日 (火) 更新
本から「いま」が見えてくる新刊10選 ~2024年10月~
毎日出版されるたくさんの本を眺めていると、世の中の”いま”が見えてくる。新刊書籍の中から、今知っておきたいテーマを扱った10冊の本を紹介しま....
-
10月22日 (火) 更新
メタバースは私たちの「学び」に何をもたらす?<イベントレポート>
メタバースだからこそ得られる創造的な学びとは?N高、S高を展開する角川ドワンゴ学園の佐藤将大さんと、『メタバース進化論』を出版されたバーチャ....
現在募集中のイベント
-
開催日 : 12月17日 (火) 19:00~20:30
note × academyhills
メディアプラットフォームnoteとのコラボイベント第1回。近著『きみのお金は誰のため』が25万部超のベストセラーとなっている、社会的金融教育....
「そもそもお金って何?未来をつくるためのお金の教養」
-
開催日 : 11月28日 (木) 19:00~20:30
World Report 第10回 アメリカ発 by 渡邊裕子
いま世界の現場で何が起きているのかを、海外在住の日本人ジャーナリスト、起業家、活動家の視点を通して解説し、そこから見えてくることを参加者の皆....
「ハリス V.S. トランプ 米国大統領選挙結果を読み解く」