六本木ヒルズライブラリー

2022年 年間ベストセラー

更新日 : 2023年01月19日 (木)





みなさんは、昨年どれくらいの本を読みましたか?「リスキリング」が流行ワードに挙がった2022年、個人の学びはますます重要さを増しています。
そして「読書」は、やはり学びの基本。特に読書をよくされるライブラリーメンバーが選んだ本は、どんなタイトルなのでしょう?
新しい書籍が日々入荷されるライブラリーでは、ご自宅などでも心ゆくまでお読みいただけるよう、メンバーの方はご購入いただけます。
中でも数多くご購入いただいたタイトルは、すなわちメンバーの方々にとって「推し」のトピック。新年の指針となるような、7冊をご紹介いたします。



推しエコノミー中山淳雄 / 日経BPアニメやアイドルのファンに限らず、誰もが日常生活の中で耳にするようになった「推し」という言葉。芥川賞を受賞した宇佐見りん氏の小説『推し、燃ゆ』が2020年に発表されたことからもわかるように、エンタメ業界では数年前から「推し」が広がりはじめ、そしてコロナ禍によって、その変化は決定的なものとなりました。
長らくエンタメ業界の海外展開にかかわってきた著者はその本質を「ライブコンテンツ化」と指摘します。限られた時間を、どれだけ一緒に消費してもらえるか。継続的な関係性を重視することが「推し」の鍵なのです。

本書は鬼滅の刃やウマ娘など、具体的な「推し」ムーブメントの分析を通し、これからの日本のコンテンツがどのような強みを持ち、どのような可能性に満ちているかを解き明かします。エンタメを作る人も、楽しむ人も、本書を読めば「推し」を見る目が変わるかもしれません。

世界を変えた31人の人生の講義
デイヴィッド・M.ルーベンシュタイン / 文響社
人は誰しも、どこかで「リーダー」になることを求められる時が来ることでしょう。それは大企業の社長や政治家に限りません。自分が所属するコミュニティ、あるいは家族の中で、不意に周囲を引っ張る立場に立つことがあるはずです。
そんな時、「リーダー」の手本はどこにあるのか? 答えは本書の中にあります。原著のタイトルは、ずばり「How to lead(どのように導くか)」。ジェフ・ベゾスやティム・クックなど、世界的に有名な31人のリーダーとの対談インタビューが収録されています。

忘れてはいけないことは、その31人が全く異なる境遇で育ち、全く異なるタイプの人々であるということ。つまり誰もが、貧困、差別、逆境に立ち向かい、リーダーになる可能性を秘めているのです。
本書を読めば、リーダーになるため、そしてリーダーであり続けるために必要なこととは何か、ヒントとなる言葉がきっと見つかるはず。

上流思考

「問題が起こる前」に解決する新しい問題解決の思考法 ダン・ヒース / ダイヤモンド社
私たちは日々、様々な問題に直面します。職場で、家庭で、あるいは友人関係で。解決しなければならないことが不意に現れたとき、人はどうしても目の前にあるものを片付けることから始めてしまうものです。たとえば、台所のシンクに山積みの汚れた皿。あなたはこの問題にどう対処しますか?

本書のテーマである「上流思考」は、川の上流を目指すように、物事の原因、始まりにさかのぼって考える、ということ。言われてみれば当たり前のようでいて、案外これが難しいのです。先の例でいえば、汚れた皿を洗う前に、家庭内の家事の分担、タイミング、あるいは食事の傾向を考えてもよいかもしれません。重要なのは、再び同じような状況を起こさないようにすることなのです。
しかし、問題を前にしたら上流思考をする余裕もない…そう思う方は、既に下流思考に囚われているのかもしれません。思考を変え、余裕を生み出し、さらなる上流思考をするためのきっかけに、まずは本書を手に取ってみてはいかがでしょうか。

2030年のSX戦略
課題解決と利益を両立させる次世代サステナビリティ経営の要諦
坂野俊哉、磯貝友紀 / 日経BP
SX、すなわちサスティナビリティトランスフォーメーションという言葉をご存じでしょうか?
「持続可能な」ビジネスへの変革。これは、様々な環境問題が喫緊の課題となっている現代において、ただの流行りではありません。パリ協定への批准によって、日本企業は、法的にその要請に応えることが求められており、SXはある種の義務になりつつあります。
一方で、しばしば指摘されるのが、「持続可能性」と「利益追求」の両立が難しいということ。企業はSXをある種のハンデとして、いかにそのマイナスを最小化するのか、という視点でとらえがちではないでしょうか。

本書は2030年ごろまでの社会予測を通して具体的なSXの方法を紹介し、同時に、既にSXに取り組んでいる先進企業のトップへのインタビューも掲載しています。そこには、「持続可能性」とビジネスをトレードオンの関係で見直し、前向きに変革を行うための指針が満載です。
今こそ、今後十年の企業の未来が決まる分節点です。この一冊はきっと、心強いアドバイザーになってくれることでしょう。

超低リスクで軌道に乗せる「個人M&A」入門
会社を買って、起業する。
五味田匡功 / 日本実業出版社
「M&A」と聞くと、まず思い浮かべるのは大企業の買収、合併かもしれません。しかし、最近注目を集めているのが、個人によるM&A。ラーメン屋や美容室、あるいはECサイトを個人が買い取り、事業を継承するのです。
そのために必要なのは、可能性のある会社を見極め、かつ友好関係を結ぶこと。ともすれば、無料で会社を引き継ぐことさえ、難しいことではありません。もちろん、リスクはつきものです。買収した会社の業績を上げるためには、自分自身がコンサルタントとして経営を上向かせる必要があります。本書では、様々な倒産リスクも併記し、基本的なM&Aのマニュアルが一冊にまとまっています。

全く新しいことを始める起業よりも、低リスクな投資、副業として、注目を集める個人M&A。会社は起こすものではなく、買うもの。そんな新しい認識が広まりつつあるのです。複数の収入が求められる昨今ですが、意外と身近なところに、チャンスが転がっているかもしれません。

基本文法から学ぶ英語リーディング教本
薬袋善郎 / 研究社
結局のところ、言語を学ぶ一番の近道は文法を学ぶことなのかもしれません。本書は英語に全く触れたことのない方に向けて書かれた、英語を学ぶための一冊。最初から最後まできちんと読み通せば、初学者でも英語を読めるようになるのです。
また、会話のパターン、あるいはTOEICのような試験対策は学習済みで、実用的な英語は扱えるという方にもおすすめです。ある程度使えてしまう分、かえってきちんと英文を理解し、読み込むのが難しいと感じることもあるのではないでしょうか。自分が文法の何について知っていて、何が曖昧なのか。基本が網羅された教本だからこそ、自分の理解度がはっきりとわかります。

本書の方針は明確です。暗記と経験ではなく、構造とルールを理解することで、本質的な読解力を上げる。そうすれば、より深く、より確信を持って英語を読めるようになるでしょう。いまさら基本文法なんて、と感じる方にこそ、ぜひ一度、手に取ってみることをおすすめいたします。

永守流 経営とお金の原則
永守重信 / 日経BP
企業を経営する上で最も重要なことは何か——日本電産株式会社を設立し、「世界一のモーターメーカー」に育て上げた著者の答えはシンプルです。それは「お金」。お金をいかに守り、使い、生み出すのか。資金繰りは、中小ベンチャーでも、大企業でも、避けては通れないビジネスの柱。これを中心に考えることから、経営は始まります。

無数のベンチャー企業が生まれ、消えていく今、「起業」に必要なことについては多くの人が語る一方で、その企業を維持し、拡大するための経験は意外と共有されていないのではないでしょうか。
銀行との付き合い方、取引先の見極め方、株式上場というチャンス…経営には成功と失敗の分かれ道が無数にあり、その時々にぶれない視点を持つことが求められます。起業から海外展開に至るまで、企業経営の全てが余すことなく語られている本書は、経営者にとって必読の一冊です。

時代が大きく変わる中、個人も、企業も、自らビジネスを始め、運営していくノウハウが必要とされています。ライブラリーでもそういった「経営」や「お金」に関する本が多く手に取られたようです。2023年はいったいどのような一年となり、どのような書籍が求められるのでしょうか?
ライブラリーの書籍では、オールジャンルの新刊を取りそろえ、皆さまのお越しをお待ちしております。


推しエコノミー

中山淳雄
日経BP

世界を変えた31人の人生の講義

デイヴィッド・M.ルーベンシュタイン
文響社

上流思考

ダン・ヒース
ダイヤモンド社

2030年のSX戦略

坂野俊哉 、磯貝友紀
日経BP

会社を買って、起業する。

五味田匡功
日本実業出版社

基本文法から学ぶ英語リーディング教本

薬袋善郎
研究社

永守流 経営とお金の原則

永守重信
日経BP