書籍でたどるアート
ミルフルール:西洋美術の花園
花の画家たちの競演
現在、エントランス・ショーケースでは「ミルフルール:西洋美術の花園」と題して、植物画・花卉画(花の静物画)の展示をしています。 その精緻を極めた描写から、まるで目の前に本物の花があるかのような錯覚を覚える芸術。今回は、実際に展示されている書籍の一部をご紹介します。
植物学と植物画
カメラで写しただけでは見落としてしまうような繊細な植物の特徴を後世に伝えるボタニカル・アートの数々。中世の植物学者と植物画家たちが心血を注いで研究した作品に目を向けてみると、その精巧さと美しさに思わず引き込まれてしまいます。
レンズ越しではなく、生きた人間の目を通して描出される植物画の世界を覗いてみましょう。
図説 モネ「睡蓮」の世界
彼は屋外で描くことにこだわり、日の光の眩しさや透き通る空気、さらには常に流動する水の流れまでも逃すことなくキャンバスに写し取りました。
ドラマティックに描かれたそれらの作品はまさに、わたしたちが目で見て知ることのできるモネの感性そのもの。本書ではモネが生涯をかけて描いた「睡蓮」の魅力を余すことなくご紹介します。
静物画
静かな物への愛着 かつて中世ヨーロッパ美術における静物画とは宗教画や神話画などと比べて下位のものと捉えられ、「見たものを描くだけで知識を必要としないもの」と揶揄されてきました。しかし静物画は次第に民衆の暮らしや文化を知る手がかりとして価値を高め、さらにはその静かな佇まいの中に社会を風刺した痛烈な作品が登場したことで、徐々に発展していくこととなりました。 本書では大きな図版に詳しい解説を添えて静物画の魅力をご紹介します。
プラントハンター
本書では、無名ながら現代の植物学の礎を築いた「ハンター」たちの華々しい功績が紡がれていきますす。
ボタニカルアート
今なお絵の中で精彩を放つ植物たちの凛とした姿を収めた一冊です。
植物図譜の歴史
ボタニカル・アート芸術と科学の出会い 本書はボタニカル・アートが注目を浴びはじめた中世ごろの作品だけでなく、旧石器時代のプリミティブな絵画芸術から、近現代の科学的知見に基づく植物学書までの歴史を概観した学術書です。
ボタニカル・アートの歴史は世界各地に根を張り、現代まで息づいています。あらゆる画家や研究者たちによって描かれた作品を見較べることで、これからのボタニカル・アートの在り方が見えてきます。
花と果実の美術館
名画の中の植物 絵画作品に用いられるモチーフは、時と場所によっておのずと込められる意味合いが異なります。たとえば現代日本でも親しまれるモモの実は、古代日本神話において「魔よけ」の力が宿っていると信じられてきました。また中国においては「死」の象徴とされ、西洋においてはモモの葉を舌、実を心臓に見立て、「真実」の象徴として絵画に登場しています。
本書では名画の中のあらゆる花と果実に焦点を当て、それらが象徴する事柄について詳しく解説しています。
書籍を通して知を深め、自然への距離を身近なものにすることで、新たな花が開く季節をより愉しんでみてはいかがですか。
植物学と植物画
大場秀章八坂書房
図説モネ「睡蓮」の世界
安井裕雄創元社
ART GALLERY テーマで見る世界の名画 〈6〉静物画 静かな物への愛着
木島俊介、青柳正規集英社
プラントハンター
白幡洋三郎講談社
図説 ボタニカルアート
大場秀章河出書房新社
植物図譜の歴史
ウィルフリッド・ブラント八坂書房
花と果実の美術館
小林頼子八坂書房
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