六本木ヒルズライブラリー

長期休暇の使い方を変える6冊

更新日 : 2025年04月22日 (火)





今年もゴールデンウィークが近づいてきました。旅行や趣味など、まとまった休みを活用して、普段はできないことをしたいと思う方も少なくないでしょう。しかし長期休みは稀であるがゆえに、意外と慣れないもの。行動と休息のバランス、準備期間を計算に入れる……計画を立てるだけでも、コツがいります。そこで今月は、「休み方」のヒントとなる書籍をご紹介いたします。観光地やホテルを検索する前に、まずは自分にとって必要な「休み」を考えてみる、そんな機会になるかもしれません。既に予定がある方もない方も、長期休暇の新しい可能性が見えてくる6冊です。
 

休暇のマネジメント
28連休を実現するための仕組みと働き方
高崎 順子/KADOKAWA
長期休暇の手本といえば、フランスの「バカンス」。学生だけでなく、大人も含めた社会全体がひと月ほどにわたって休みをとる文化ですが、実はこれはフランスが国として制度を作り、努力の末に作り上げた休暇システムなのです。本書はその歴史や統計から見えてくる「バカンス」のメリットなど、長期休暇の重要性を社会的に分析します。

そして、日本に置き換えた時、どのような「バカンス」が効果的で、実現可能か、法令の解釈まで視野に入れた実践的な方法を提案。社会を構成する一人としての、個人のワークライフバランスに留まらない「長期休暇」の意義が見えてくるはずです。

家から5分の旅館に泊まる
スズキナオ/太田出版
正直、長期休みはとにかく寝ていたい……日々労働に追われる現代、そんな風に思う社会人は決して少なくないでしょう。本書は「疲れ果てた人のための」旅のエッセイ集。見知らぬ土地へ行き、知らない人と言葉を交わしますが、そこに大きなドラマや癒しがあるわけではありません。ただ、一時普段の自分から解き放たれる時間が生まれるのです。

そのためには、必ずしも遠い地に行く必要はなく、「家から5分の旅館」にも知らない世界が広がっています。本書を読めば、より良い休みにしなければ、というプレッシャーから解放され、あなたがあなたと静かに向き合う、ちょっとした時間の使い方が見えてきます。

いちからはじめる
松浦弥太郎/小学館
私たちの人生を支配するもの、それは「習慣」です。朝のルーティーン、日課の仕事、そして、毎週の決まった休み方。そこには安定というメリットと同時に、惰性という落とし穴が潜んでいます。そんな日々に区切りをつけるチャンス——長期休暇をそんな風に捉えてみるのはいかがでしょうか。習慣に流されていた日々を見直し、新たな趣味でも、仕事のためのスキルアップでも、「いちからはじめる」気持ちで臨んでみる。

本書は「いちから」をキーワードに、日々挑戦するという生き方を提案します。全ての時間の密度を上げる。つまり、「休み」もまた、よりチャレンジングなものにすることで、人生は変わっていくのかもしれません。

歩く
マジで人生が変わる習慣
池田光史/NewsPicksパブリッシング
長い休みがあっても、特にやりたいことがない。そんな方は、ひとまず「歩く」ことから始めてみてはいかがでしょうか。
散歩中に良いアイディアが浮かぶ、という話はよく聞きますが、実際、歩行することで思考や身体のパフォーマンスが向上することは科学的に実証されています。本書は文化、科学、そして経済において、「歩く」ことがどれほど人間に影響を与えるのかを探求する一冊。

休暇の使い方が今一つ思い浮かばないのなら、まずは歩いてみることで、何か良案が生まれるかもしれません。あるいは歩いた先に、知らない場所、知らない道、知らない人との出会いが生まれ、ささやかでも確かな変化が起きるはずです。

ゆるストイック
ノイズに邪魔されず一日を積み上げる思考
佐藤航陽 /ダイヤモンド社
大谷翔平選手や藤井聡太名人など、あまりに優秀な令和のヒーロー像と自分を比較したとき、果たして自分に休んでいる暇はあるのだろうか……向上心があり、真面目な人ほど、そんなことを考えることも多いのではないでしょうか。

本書は答えます。もちろん休んでもいい、ただ、「ゆるストイック」であれ、と。すなわち、周囲に左右されず、自分で決めたことを淡々と積み上げるべし。それは一見「すごいこと」をしているように見える大谷選手たちが日々実践している、新しい生き方です。必要ならば、長期休暇は積極的に取るべきもの。ただ、それをどのように自分の成長につなげるのか、意識していく必要があるのではないでしょうか。 

いつか行ってみたい
世界の絶景温泉&癒しのサウナ
パイ インターナショナル
自分にとっての「休み」の意味をじっくり考えたら、後は休暇の計画を思う存分楽しみましょう。旅行の選択肢は数限りなくありますが、たとえば世界各地の温泉やサウナはいかがでしょうか。

サウナは日本でもブームが落ち着き、趣味の一つとして定着して久しいですが、海外の「整い方」を知る人はまだそれほど多くないかもしれません。アイスランドにノルウェー、トルコにイタリア……本書は豊富な写真を通じて、世界各地のお風呂文化をご紹介します。実際に訪れる場所を探すためにはもちろん、読んで旅することもまた、休みの過ごし方の一つ。絶景での「整い方」を、ぜひご覧あれ。

日々、仕事や家事に忙殺され、気づいたら長期休暇当日を迎えていたり、計画が膨らんで予定を詰め込みすぎてしまったり、長期休暇を「ほどよく」楽しむことの難しさは、誰しも一度は経験したことがあるのではないでしょうか。そんな時、まず考えるべきなのは「休み」の意味。自分の人生のために、どのようにその時間を活かしたいかが決まっていれば、悩むことも少なくなるはず。ご紹介した6冊をそのきっかけに、改めて「休み」と向き合ってみてはいかがでしょうか。
 

休暇のマネジメント 28連休を実現するための仕組みと働き方

高崎順子
KADOKAWA

家から5分の旅館に泊まる

スズキナオ
太田出版

いちからはじめる

松浦弥太郎
小学館

歩く マジで人生が変わる習慣

池田光史
NewsPicksパブリッシング

ゆるストイック ── ノイズに邪魔されず1日を積み上げる思考

佐藤航陽
ダイヤモンド社

いつか行ってみたい 世界の絶景温泉&癒しのサウナ

パイ インターナショナル(編)
パイ インターナショナル