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未来を変える人たち

発展途上国に明るい光を投げかけるBRAC(バングラデシュ農村向上委員会)の活動

更新日 : 2009年10月06日 (火)

第7章 ビジネスは、貧しい人を助けることもできる

ファザル・H・アベド氏(左)、米倉誠一郎氏(右)

会場からの質問: 年間予算規模のなかで寄付金と事業収入の占める割合、それと、寄付金は国内からなのか海外からなのか伺いたいと思います。もう1点、デフタ・パートナーズの原丈人さんがプロモートしているbracNetという通信システムの構築のプロジェクトをどう評価されているかをおたずねしたいのですが。

ファザル・H・アベド: BRACの2009年の予算は6億ドルです。その4分の1は6カ国からの寄付金です。アメリカではロックフェラー財団やビル&メリンダ・ゲイツ財団から、その他カナダ国際開発局、イギリス政府、オランダ政府からそれぞれ援助を受けています。政府による援助では、オランダ、イギリスおよびカナダ政府が最も大きな割合を占めています。

あとは、国連開発計画、ユニセフ、スウェーデン政府、マラリア、エイズおよび結核対策を援助するグローバルファンドからも援助を受けています。日本ユニセフ協会からの援助を受けたこともあります。

米倉誠一郎: その額は、全体の何パーセントですか。

ファザル・H・アベド: 残念ながら、ごくわずかです。日本政府からの援助は、直接バングラデシュ政府に提供されるので、NGOまでにはなかなか行き届きません。かつて、二国間協定に基づく援助は、ほぼ100%政府間援助でしたが、最近では、国外からの資金提供者は、必ずしも援助を受ける国の政府を通さなければいけないわけではないという傾向になってきています。しかし日本政府は、未だに国の発展を担うべきものは唯一政府だけだと思っているようです。

非営利団体および営利団体のそれぞれに、社会発展のための役割があるし、双方が貧困撲滅の実現に必要です。従って「ビジネスは利益目的だけである」とか「ビジネスは、貧しい人のためではない」というのは正しくないと思います。

私はビジネスを通して、どのようにして貧しい人々を援助することができるのかを証明することができます。それゆえ、私たちのビジネスは、ソーシャルビジネスと呼ばれることがありますが、私が強調したいのは「ビジネスは、貧しい人を助けることもできる」という点です。

米倉誠一郎: bracNetについてはいかがですか。

ファザル・H・アベド: 私たちは10年前、bracNetというインターネットサービスプロバイダ会社を設立しました。インターネットサービスがバングラデシュ全土に広がれば、教師に対し、より優れた研修を提供でき、また、子どもたちに国際観のある授業を提供することができます。

その後、原さんと丸紅等の外国の会社がbracNetに投資しました。パートナーシップによって、技術や能力を習得することができるので、私たちにとって非常に良いことです。bracNetは順調に成長しており、将来的には、バングラデシュ国内最大のインターネットプロバイダになることを期待しています。そして、すべての学校で、子どもたちがパソコンを使えるようになることも期待しています。

米倉誠一郎:  innovation begets innovation(イノベーションがイノベーションを呼んでいく)で新しいことをやって、ギャップが生まれたら、また次のことをやっていくことで、これだけインテグレートしたサービスがBRACという形で出てきたのですね。一度分断化されてしまった我々の社会の中にも、抱える問題を解決していくためのやや大きめのNPOやNGOという方法があるんだな、と考えました。若い人は、ぜひBRACにインターンで行ってください。

それから日本のODA、本当にたくさんのお金を使っているのですけれども、それが正しいところに流れているのかというのも、我々が検証しなければいけない時代になってきたと思います。BRACのような自立を支援する意味あるところに、我々の税金が使われるようにしなければなりませんね。アベドさん、今日は本当にありがとうございました。(終)


該当講座

未来を変える人たち
発展途上国に明るい光を投げかけるBRAC(バングラデシュ農村向上委員会)の活動
ファザル・H・アベド (BRAC創設者兼会長)
米倉誠一郎 (日本元気塾塾長/一橋大学イノベーション研究センター教授)

いま、ダッカが熱い。「BRICs」に続く新興国「NEXT11」の一つであるバングラデシュ。かつては最貧国と言われたバングラデシュでは、近年5%成長という目覚しい発展が続き、この10年間で貧困層が10%以上減少したといいます。そこでは、まさに現代社会が直面する新しい資本主義の形が追求されているのです。....


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