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「政治と秋刀魚 日本と暮らして四五年」

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更新日 : 2008年11月11日 (火)

第14章 ボスが全てを握る時代は終わった

ジェラルド・カーティスさんと日経BP社の黒沢正俊さん
ジェラルド・カーティスさんと、書籍『政治と秋刀魚
日本と暮らして四五年』の編集者、日経BP社の黒沢正俊さん

ジェラルド・カーティス: もう1つ集票マシンの話をしましょう。豊後高田という町で佐藤さんの世話人をしていた県会議員に、どういうふうにやっているか知りたいのでインタビューしたいと言ったところ、夏に呼ばれたので行ったときの話です。まずびっくりしたのは、その県会議員がステテコと腹巻で縁側に座ってビールを飲んでいたんです。そこに運動員を4、5人ぐらい集めて、みんなでビールを飲んでいました。

私が「あなた方はどうして佐藤文生さんを支持しているのですか」と質問をしたら、笑われました。『俺たちは別に佐藤文生さんなんて関係ない。支持していないんだよ。俺たちはこの県議を支持しているんだ。彼が「文ちゃんを支持しろ」と言うからやっているんだ』と言うのです。これが自民党の集票マシンです。

佐藤文生さんは豊後高田に一度も選挙キャンペーンに行きませんでした。なぜかというと県議に「来るな」と門前払い、拒否されるからです。国会議員が町や村に行って直接選挙民に会って、それで好まれたら、「県議に頼まなくても票がとれる」となってしまう。そうすると、県議の存在価値がなくなるからです。

昔の自民党は、できるだけ国会議員は地方には行かずに、その村のボスに頼んでいました。文生さんがその地方の支持者の名簿を集めようとしたら、すごく抵抗があったのは、昔の日本の自民党政治だからです。もちろん、今それが全くないわけではないけれども、ほとんどそれが効かなくなっているのです。

ですから、そういう意味では小泉さんが、「自民党のやり方を変えないと、自民党はだめになる」と言ったのは非常に当たっていたと思います。ただ、ずっと選挙をやっている議員は、やり方をなかなか変えようとしないのが実状です。創造的破壊、この破壊された日本の政治が、これからどういうふうになるのか、これは、また別の機会に話します。

今日ここで話さないことや、今日の話よりももっと面白いことがこの本『政治と秋刀魚 日本と暮らして四五年』に書いてあるので、ぜひ読んでいただきたいと思います。

関連書籍

政治と秋刀魚—日本と暮らして四五年

カーティス,ジェラルド
日経BP社

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