オピニオン・記事

カフェブレイク・ブックトーク『「天の川」の先の先』

更新日 : 2008年11月28日 (金)

第8章 とっつきにくい"宇宙科学読み物"

『ホーキング、宇宙のすべてを語る』
澁川雅俊: さて、これまでライブラリーにある30点余りの宇宙科学読み物をご紹介してきました。科学読み物は概してスラスラ読めないものですが、宇宙ものもそうです。それはおおかたの読者にとって、日常生活ではあまり使われない用語がキーワードとして頻出し、それが分からないと書かれている内容が理解できず、安心して読み進められないからです。

「車椅子の理論物理学者」ということで有名なスティーヴン・ホーキング博士が数年前に『ホーキング、宇宙のすべてを語る』(スティーヴン・ホーキング、レナード・ムロディナウ著、佐藤勝彦訳、2005年、ランダムハウス講談社刊)を出しました。その本は、宇宙内部の構造を踏まえ、宇宙の大きさをどう計るかを追求している彼の仕事を一般の読者にも分かりやすいように書かれたものということで、日本でも大変評判になりましたが、読んでみるとちんぷんかんぷんです。

『宇宙への秘密の鍵』、『ソフィーの世界』
その彼が、最近娘と二人で著した『宇宙への秘密の鍵』(スティーヴン・ホーキング、ルーシー・ホーキング著、さくまゆみこ訳、2008年岩崎書店刊)が出版されました。この本は、少年と少女が自分たちの住む場所をよく知るために、その場所を含むこの広い、広い世界、すなわち宇宙の冒険に乗り出すという小説なのです。

その構想は、一人の少女が「私はだれ?この世界はどこから来たの?」と問い掛けながら、その答えをえるために西欧の思想史を旅するという『ソフィーの世界』(ヨースタイン・ゴルデル著、池田香代子訳、1995年日本放送協会刊)に似ています。

『宇宙への秘密の鍵』は児童文学のテキストとして書かれていますので、大人の私たちは10歳ぐらいの子どもの時のメンタリティでこの本を読む必要がありそうです。なおこの本の原著は2007年の出版ですが、いまその続編を準備中とのことです、それが待たれるところです。

ところでホーキンスはその本の序文で、「地球の問題は地球だけでは解決できない。だから宇宙に目を向けてほしい」と書いています。折しも地球温暖化問題が主要テーマであった北海道洞爺湖サミットが終わったところです。参加した国々の利益が優先し問題解決の糸口もつかめなかったようですが、国益などは宇宙という視座からすると"ちっちゃい、ちっちゃい"ことですよね。

※書籍情報は、株式会社紀伊国屋書店の書籍データからの転載です。

ホーキング、宇宙のすべてを語る

ホーキング,スティーヴン, ムロディナウ,レナード, 佐藤 勝彦【訳】
ランダムハウス講談社

宇宙への秘密の鍵

ホーキング,スティーヴン, ホーキング,ルーシー, さくま ゆみこ【訳】
岩崎書店

ソフィーの世界—哲学者からの不思議な手紙〈上〉 (〔普及版〕)

ゴルデル,ヨースタイン, 須田 朗【監修】, 池田 香代子【訳】
日本放送出版協会

ソフィーの世界—哲学者からの不思議な手紙〈下〉 (〔普及版〕)

ゴルデル,ヨースタイン, 須田 朗【監修】, 池田 香代子【訳】
日本放送出版協会

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