オピニオン・記事

業魂を繋ぐ~日本の老舗、名店

「商は信なり」を体現する老舗

更新日 : 2018年06月13日 (水)

第2章 老舗菓子屋が刻んできた革新の歴史

暖簾の重み、技と味へのこだわり

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澁川雅俊: 18世紀までに創業した老舗の中で最も多いのは「菓子屋(和菓子)」で、43舗あります。

最も古いのは、京都市北区、今宮神社の旧参道に構える一文字和輔。‘あぶり餅’で有名な老舗です。『京都老舗~暖簾のこころ』〔米原有二・藤田あかり著、中島光行写真/水曜社〕は、100年以上の歴史を持つ京都の老舗36店のガイド本ですが、『源氏物語』の成立以前、1000年に創業した一文字和輔の歴代当主が何を考え、何を伝えてきたのかについても紹介しています。

室町時代、1349年に創業した饅頭で有名な京都の老舗・塩瀬総本家については、『まんじゅう屋繁盛記~塩瀬の六五〇年』〔川島英子/岩波書店〕があります。宮中への出入りを許され、足利将軍家や戦国武将に愛された老舗ならではの多彩なエピソードを交えつつ、34代目の現当主が暖簾の重み、技と味へのこだわりを語っています。

小田原の‘ういろう’も、室町時代に創業した老舗です。『ういらう~東洋神秘思想と共に二千年』〔外郎まちこ/東京図書出版〕の著者は、創業家の子孫のひとり。私達がよく知るういろうは蒸し菓子ですが、創業の由来は中国で作られていた口中清涼・消臭等に使用する薬「外郎薬(透頂香)」にあったと、著者は語っています。

流行作家・西條奈加の連作短編集『まるまるの毬』〔講談社〕には、‘カスドース’という九州・平戸蔦屋の銘菓にまつわる作品が含まれています。カスドースは、南蛮貿易でポルトガルから伝えられたカステラを卵黄でからめ、糖蜜で揚げた平戸藩外不出の菓子。平戸蔦屋は1502年の創業以来、それを製造・販売しています。ちなみに、この短編集は親子三代で営む麹町の菓子屋「南星屋」を巡る時代小説で、諸国の銘菓に精通する店主が創る絶品菓子がたくさん登場します。

室町時代末期の1520年頃、京都で創業し、現在は東京・赤坂に本店を置く虎屋。その17代当主・黒川光博と、エルメス本社前副社長・齋藤峰明との共著『老舗の流儀~虎屋とエルメス』〔新潮社〕では、代々ファミリービジネスを営んできた両社のトップが、経営や事業承継に対する考え方や人づくりなど、老舗の舞台裏を熱っぽく語っています。なお、17代当主は『虎屋—和菓子と歩んだ五百年』〔新潮新書〕も書いており、こちらでは虎屋の歴史が詳しく語られています。


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【アペリティフ・ブックトーク 第44回】
業魂を繋ぐ~日本の老舗、名店 (19:15~20:45)
【アペリティフ・ブックトーク 第44回】 業魂を繋ぐ~日本の老舗、名店 (19:15~20:45)

ライブラリーフェロー・澁川雅俊が、さまざまな本を取り上げ、世界を読み解く「アペリティフ・ブックトーク」。
44回目となる今回は、様々な業種における“老舗”をテーマに、古くより続く事業を今に継ぐ仕組み・その展開を、関連書籍と共に紐解きます。


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