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おとな絵本

好きな本がみつかる、ブックトーク

カフェブレイクブックトーク
更新日 : 2014年01月07日 (火)

第9章 好きになれば、こども絵本も、おとな絵本も



●こども絵本のリテラシー

絵本を総体的にとらえると、その内容は森羅万象にわたっています。それは活字テキストと絵画(テキスト)を用い、テーマを象徴的に表現しています。そして象徴的であるがゆえに短編的創作物です。その文字言語表現について、こども絵本は子どものリテラシーに対応しています。絵画的表現はリテラシー対応ほど顕著ではありませんが、概して幼児~低学年児童向けには具象的な表現で、抽象的な絵画が付けられるのはヤング・アダルト以上を対象とした絵本です。

‘こども’絵本は非常に多く、本の世界にその領土を確立しています。しかし‘おとな’絵本は〈ニッチ〉な本の群れで、数も非常に少ないうえ、一見「趣味本?」「アート本?」あるいは「〈けれん〉本?」と疑わせるようなものも少なからずあります。しかし少ない中に、〈絵本ならでは〉の読み物を見つけ出すことができます。

柳田邦男は『砂漠でみつけた一冊の絵本』で、「人生の体験を経た大人だからこそ絵本を通じて生きることを深く問いかけることができる」と書いています。さらに穂村弘は『ぼくの宝物絵本』(白泉社)で「未知の輝きをもった絵本に出会うと、脳から液が出る」などと述べています。その〈向き向き〉にかかわらず、絵本を愉しんでいる(読む、見る、推奨する…)大人たちは少なくありません。「眼は口ほどにものを言い」とは意味がちょっと違いますが、絵は、活字テキストで言い表しきれなかったことを明示的に表現することができ、活字言語表現は絵画的表象が明晰でないメッセージを確実にすることができるようです。つまり絵本は、〈画文共鳴〉の優れた創作物で、読み手は絵本読書から活字読書への成長の過程で得たスキルを自在に操り、‘こども’であれ‘おとな’であれ絵本から、さらに未知な何かを読み取ることができるようです。(了)

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