オピニオン・記事

アジア最貧国の闇と光を考える

日本元気塾セミナー ~映画「アリ地獄のような街」上映会~

更新日 : 2010年09月06日 (月)

第7章 自分で自分の未来を決められない子どもたち

関根健次氏(左)渡辺大樹氏(右)

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会場からの質問: 映画について伺います。ポジティブに夢や希望を与えるようなやり方もあったのではないかと思うのですが、なぜ文字通り「蟻地獄」のような辛く苦しい現実を描いたのですか?

渡辺大樹: バングラデシュの人々は、ストリートチルドレンを日常的に目にしています。いたる所に物乞いがいて、紙くずを拾って生活しているのを目にしているんです。でも、そういう姿を目にしていることと、関心を示すかどうかは別問題です。例えば私たち日本人は車で道を走っているとき、「どうして分車線に木が生えているんだろう?」とか「どうして横断歩道ってあるんだろう?」とか、風景化しているものについて考えませんよね。

バングラデシュの人々にとって、路上で生活する子どもは風景になってしまっているんです。子どもたちの裏にある現実に目を向けてもらおうと思ったら、それだけのショックを与えることが必要なんです。

ドキュメンタリーという形も考えました。でも事実を事実として描いても、「そんなの知ってるよ」という話で終わってしまいかねないし、ドキュメンタリーは、バングラデシュではインテリの人たちが観るものという意識があるんです。

映画という形でなるべく多くの人に見てもらいたかった、そして問題にしっかりと目を向けてもらいたかった。だから一つひとつの話はすべて現実にあったことですが、それに配役をつけてストーリーとしてつなげることで、現実を描くよりも、もっと衝撃的な形にしました。

会場からの質問: 先頃、バングラデシュを訪れました。旅行だったのでバングラデシュのいい部分しか見なかったように思います。悪事に利用されたストリートチルドレンが大人になって、子どものストリートチルドレンを捕まえて悪事に利用するという、負の連鎖のようなものがあるのでしょうか。旅行では見えなかった実情を教えていただけますか。

渡辺大樹: バングラデシュに旅行で行ったら、多分プラスの面しか見えないと思います。正義感ともてなしの心と笑顔に溢れるエネルギッシュな国ですから。しかも経済成長率はここ数年、約6%を記録し続けていて、とてもプラスの力があふれています。その一方で、映画のような現実もあります。子どもが死体を持たされて運んでいたというのも、実際にあった事件です。

私たちは自分がどういう人とつき合っていくか、どういう企業に入っていくか、どういう道を進んでいくかを、自分の考えで選んでいくことができます。でもバングラデシュのストリートチルドレンたちは、自分で自分の未来を決められません。もちろんストリートチルドレンのすべてが悪い大人にこき使われているわけではありません。子どもたちをサポートして教育を受けさせ、引き取ってくれるような人もいます。でも、それはすべて完全に運任せの状態です。

映画のような状況は一部ではありますが、現実に起きていることです。こうしたことに周りが気づいて、意識するだけで、状況の改善に少しでもつながっていくのではないかと思います。

米倉誠一郎: 日本人がこうして現地に行って、そこで新しい学校をつくって、人材と経済の循環をつくろうとしていることが、僕はうれしい。

一人ひとりが元気じゃないのに、国が元気になるわけがないんです。我々が元気になることが、次の連鎖につながるきっかけになるかもしれないと、きょうは改めて思いました。 皆さん、ぜひ周りの人にこの映画を観るようにすすめてください。新しくオープンするという焼き鳥屋に投資もしてほしい。渡辺大樹さんに、みんなで日本から熱いエールを送りましょう。きょうはどうもありがとうございました。(終)

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該当講座

アジア最貧国の闇と光を考える~映画「アリ地獄のような街」上映会~
渡辺大樹 (NGOエクマットラ顧問)
米倉誠一郎 (日本元気塾塾長/一橋大学イノベーション研究センター教授)

渡辺大樹(NGOエクマットラ顧問)×米倉誠一郎(日本元気塾塾長/一橋大学イノベーション研究センター長・教授)
バングラデシュのストリートチルドレンの現実を描いた映画「アリ地獄のような街」の自主上映セミナー。映画上映後には映画を制作したバングラデシュでストリートチルドレンの支援活動を行うNGOエクマットラ共同創設者(現在顧問)渡辺大樹氏をゲストに迎え、なぜこの映画を作ったのか、この映画で伝えたいメッセージ、バングラデシュの子どもたちに対する想いを、直接お伺いします。


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