記事・レポート
アジア最貧国の闇と光を考える
日本元気塾セミナー ~映画「アリ地獄のような街」上映会~
更新日 : 2010年08月02日
(月)
第3章 夢を語ることで仲間が集い、エクマットラができた
渡辺大樹: 実はダッカ大学に入ったのには、言葉を学ぶ以外に下心もありました。バングラデシュには観光ビザで行ったのですが、長期滞在するためには学生ビザが一番いい、という下心です。言語の勉強とビザという2つの目的のために、ダッカ大学に入学したんです。
でも大学での一番大きな収穫は、後にこの映画『アリ地獄のような街』を撮ることになる監督や、今一緒に活動している仲間たちと出会えたことです。
米倉誠一郎: 監督さんは、バングラデシュ人なら誰もが知っている大スターらしいですね?
渡辺大樹: 監督のシュボシシュ・ロイは、今は役者はやっていないのですが、10年前に政府がつくった大きな映画で子役を演じたんです。それでバングラデシュ国民助演賞を受賞し、1998年の福岡映画祭に選ばれて日本に来たこともあるんです。当時のバングラデシュの人間なら、彼のことをみんな知っていますね。
米倉誠一郎: その彼とダッカ大学で出会ったんですね。
渡辺大樹: そうなんです。日本人が大学の構内を「私、あなた、1、2、3」ってつたないベンガル語を口にしながら歩いていると目立つんですね。それで「お前、何やってんだ?」と声をかけられて。
英語とわずかなベンガル語と日本語を織り交ぜてコミュニケーションして、「実はタイでスラムの少年に衝撃を受けて、ここ、バングラデシュで何かしたいと思っているんだ」と話しました。そんな話をしているうちに、ロイや、格差や貧困問題、子どもたちの問題などに対して何かするべきだと考えている学生や、実際に行動を起こしていた学生と出会っていったんです。
米倉誠一郎: そのとき、すでにエクマットラはできていたのですか?
渡辺大樹: いえ、全く。私と彼らとの出会いの中で、できていったんです。議論すると価値観の違いがいろいろ出てきたんですけど、最終的には意気投合して、「じゃあ、一緒にやっていこう」と。私がバングラデシュに行って、彼らと出会って8カ月後の2003年8月にエクマットラ(バングラデシュの民間活動団体)を設立しました。
米倉誠一郎: エクマットラの意味を教えて下さい。
渡辺大樹: エクは数字の1のこと、マットラというのは、ベンガル文字の上に通っている線のことです。いろんな発音のいろんな形の文字が、一本の線のもとに集まっている。人間社会も自分の国の問題に対して目を向け、貧困層も裕福層も、それぞれできることを国に対してやっていく。そうした1つの共有できる価値観を持てたらいいんじゃないか、それに近づけられる活動ができたらいいんじゃないかと考えて、「皆が共有できる一本の線」という意味で、エクマットラと名づけました。
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http://www.academyhills.com/note/opinion/10071403GenkiAri.html
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第1章 スラムに生きる少年との衝撃的な出会い
2010年07月14日 (水)
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第2章 既存の組織に頼らず、自分の目で見て、自分の頭で考える
2010年07月23日 (金)
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第3章 夢を語ることで仲間が集い、エクマットラができた
2010年08月02日 (月)
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第4章 映画で、国の問題に興味を示さない一般人の関心を引く
2010年08月11日 (水)
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第5章 現地人の目を覚ますために、当初は日本からの寄付を断った
2010年08月20日 (金)
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第6章 エクマットラの目標は、人材と収益のサイクルを生むこと
2010年08月30日 (月)
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第7章 自分で自分の未来を決められない子どもたち
2010年09月06日 (月)
該当講座
渡辺大樹(NGOエクマットラ顧問)×米倉誠一郎(日本元気塾塾長/一橋大学イノベーション研究センター長・教授)
バングラデシュのストリートチルドレンの現実を描いた映画「アリ地獄のような街」の自主上映セミナー。映画上映後には映画を制作したバングラデシュでストリートチルドレンの支援活動を行うNGOエクマットラ共同創設者(現在顧問)渡辺大樹氏をゲストに迎え、なぜこの映画を作ったのか、この映画で伝えたいメッセージ、バングラデシュの子どもたちに対する想いを、直接お伺いします。
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