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もっとも書物らしい書物—西洋中世写本の魅力に触れる書籍案内
〈エントランス・ショーケース展示〉
更新日 : 2023年09月28日
(木)
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今回は「もっとも書物らしい書物—西洋中世写本の魅力に触れる書籍案内」と題し、手書きから印刷、そしてデジタルへと変遷してきた「書物」の歴史を辿る展示企画です。
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羊皮紙に手書きされた写本は、15 世紀の終わりまで西洋における基本的な書物のかたちでした。活版印刷が普及するにつれて写本の制作は急速に減少してゆきますが、重要で長く保管される文書類は、19 世紀まで羊皮紙に手書きされることがありました。現在でも羊皮紙の制作はなされていますし、また中世写本の研究や蒐集は盛んにおこなわれています。
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西洋中世の手書き写本の特徴は、赤や青のインクで文字が彩飾され、ときには欄外にさまざまなモチーフの挿絵が描かれていて、カラフルに視覚に訴えかけてくる点にあります。こうした装飾は、写本を美しく飾るための付随的な作業というよりも、大型のイニシャルや挿絵を用いることで文の始まりや章の区切りを明示して、文章を読みやすくするためになされています。
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西洋中世写本の魅力のひとつに、ページの余白にさまざまな絵や文様が描かれている点があります。これらのなかには、本文の内容とは無関係な「落書き」のように見えるものもありますが、落書きにしては丁寧に、しかも本文の転写とほぼ同時に熟練の絵師によって描かれているので、本文を視覚的に補足する、あるいは逆に風刺する意図的な挿絵と解釈できるものもあります。
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ルネサンスの三大発明のひとつである活版印刷術は、15 世紀のうちにヨーロッパのほぼ全域へと広がり、版画技術との協働によって写本にはない長所と独自の美を作りだし、改良を重ねて 20 世紀前半まで書物の基本的な姿となりました。
そして 20 世紀後半には、書物の世界でもデジタル化が進み、しばしば「第2グーテンベルク革命」と形容されました。
そして 20 世紀後半には、書物の世界でもデジタル化が進み、しばしば「第2グーテンベルク革命」と形容されました。
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しかし、私たちはほんとうに、「もの」としての書物の時代から次の時代に移行したのでしょうか? 書物の歴史を辿ることは、これからの書物と人間の関わりについて考えるきっかけを与えてくれます。
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