六本木ヒルズライブラリー
南方熊楠の世界 ~Who is Minakata Kumagusu?
〈エントランス・ショーケース展示〉
更新日 : 2021年10月04日
(月)
今回の展示では、さまざまな学問研究で知られる南方熊楠の実像に迫る書籍をご紹介しています。
「知の巨人」として多くの顔を持つ反面、どこかつかみどころのない熊楠を、わたしたちはどのように理解すべきなのでしょうか。南方熊楠を知るための4つのキーワードをピックアップして、本展示の見どころをご紹介します。
▼学問と熊楠
熊楠の研究者としての側面は幼少期から始まり、小学生のころから『和漢三才図会』や『本草綱目』など興味のある和漢の本草書を書き写し、学問にのめり込んでいきました。そうした幼少時の読書は、民俗学のような人間の文化の多様性と、菌類(キノコ)など「隠花植物」へと彼の好奇心をいざないました。
熊楠は生涯在野の学者で、もっとも多くの時間を費やした研究領域は、菌類と粘菌です。アメリカへ渡った20歳の頃から最晩年まで、採集・図記・標本作製を続けました。そのかたわら、イギリス時代には大英博物館の図書館に通って、英仏独伊およびラテン語といったヨーロッパの諸言語から、漢籍や日本の古典までを渉猟する文献研究をし、博物学・人類学・伝説及び民俗研究などにまたがる研究ノートを、『ネイチャー』などイギリスの学術誌に投稿するようになりました。こうした英文での論考公刊は、26歳の年から65歳になるまで続けています。
そうしたイギリス時代の研究の結実と自身考えていた、1903年の英文論考『燕石考』は、ついに公刊することが出来ずに終わりましたが、のちには研究者たちの間でその前衛的な論考が高く評価され、熊楠の代表的な著作とされています。
熊楠は生涯在野の学者で、もっとも多くの時間を費やした研究領域は、菌類と粘菌です。アメリカへ渡った20歳の頃から最晩年まで、採集・図記・標本作製を続けました。そのかたわら、イギリス時代には大英博物館の図書館に通って、英仏独伊およびラテン語といったヨーロッパの諸言語から、漢籍や日本の古典までを渉猟する文献研究をし、博物学・人類学・伝説及び民俗研究などにまたがる研究ノートを、『ネイチャー』などイギリスの学術誌に投稿するようになりました。こうした英文での論考公刊は、26歳の年から65歳になるまで続けています。
そうしたイギリス時代の研究の結実と自身考えていた、1903年の英文論考『燕石考』は、ついに公刊することが出来ずに終わりましたが、のちには研究者たちの間でその前衛的な論考が高く評価され、熊楠の代表的な著作とされています。
▼書簡と熊楠
熊楠を知ることができる資料は論文だけにとどまりません。10代の頃から書き溜めていた日記や各方面の専門家と頻繁にやり取りしていた書簡などもおびただしい数があり、熊楠研究の重要な資料となっています。
本展示ではその一端を知ることができます。紙面いっぱいに文字を書き連ね、中には罫線を完全に無視して大胆にはみ出しているものもあります。熊楠の溢れんばかりの知識量に思わず圧倒されてしまいます。
▼神秘体験と熊楠
基本的には「科学的」な人であった熊楠ですが、自身の神秘体験を境に夢や幽霊といったスピリチュアルなテーマにも目を向けはじめます。
熊楠自身が体験したという幽体離脱のエピソードや熊楠を植物のありかまで導く夢のお告げについて、あくまでも科学的な視点でその現象を解き明かすべく奮闘しました。
このような体験は熊楠の精神的な危機状態から端を発したという研究もあり、豪快なイメージとは異なる繊細な側面も知ることができます。
▼伝説と熊楠
熊楠はその多才ぶりから、柳田國男に「日本人の可能性の極限」とまで称され、多くの伝説を残しました。しかしそれらの伝説には脚色された部分が多くあり、真偽を見分けることは専門家でも骨を折る作業のようです。
それほど人々の想像力をかき立てた背景には熊楠の輝かしい功績や研究に対する類まれなる野心だけでなく、時折見せるユーモアや猫好きという親しみやすい人柄を併せ持っていた点にあったのかもしれません。
今回の展示では南方熊楠の研究資料や当時を知ることができる写真だけでなく、日記や書簡から厳選した7つの箴言も掲示しています。
それらの言葉には熊楠の人となりを知るための重要なヒントが隠されています。
博覧強記でいながら奇想天外、さまざまな味わいを後世に残す南方熊楠の世界をぜひお楽しみください。
企画・監修:田村義也 氏(成城大学非常勤講師)
※エントランス・ショーケースはアカデミーヒルズ会場ご利用者とライブラリーメンバーのみご覧いただけます。
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