六本木ヒルズライブラリー

CLIMATE CHANGE 気候変動 
~それについて話すとき、わたしたちが語っていること~
〈エントランス・ショーケース展示〉

更新日 : 2020年03月25日 (水)




今回のエントランス・ショーケース展示は「気候変動」と題して、人類全体が今まさに直面している気候変動を、哲学、政治、生物といった様々な視点から紐解きます。


 
▼ 哲学 認識 世界像

気候変動と一言で言っても、それが示すものは人知を超えるほど大きく、複雑です。この問題について考えることは、わたしたち人間に、新しい思考、新しい知覚の獲得を促します。
 
しかし、なぜ気候変動について考えることは困難なのでしょうか。陰謀論やフェイクニュースに惑わされないために、そもそも「理解する」とはどういうことか、という地点に立ち返る必要があるのかもしれません。(『Being Ecological』)
 




▼ 政治 社会 民主主義

気候変動は地球規模の経済問題であると同時に、政治や社会設計そのものをめぐる問いをわたしたちに突きつけます。国の違いや格差を超え、全人類が一丸となって問題に取り組むためには、困難な「合意」の道を探すしかありません。
 
様々な議論を呼び起こし、気候変動のアイコンとなった少女、グレタ・トゥーンベリ。自閉症と診断され、いまだ選挙権を持たない未成年にとっての「気候変動」とは何なのか。彼女の活動を通して見えてくるのは、環境と人権の関係です。
(『グレタ たったひとりのストライキ』)
 




▼ 生物 環境 生態

気候変動とは環境の問題であり、人間もまた環境の一部に他なりません。細菌の活動から雲の動きまで、全てのつながりを一つの「エコシステム」としてとらえたとき、人はどのように生きることができるのでしょうか。
 
熊野の知の巨人、南方熊楠はかつて生物学と民俗学をつなぎ合わせ、人間と自然の分断を超えたビジョンを示しました。そこには現代の環境問題に求められる、地球規模のまなざしがあります。(『南方熊楠 地球思考の比較学』)
 




▼ 資源 開発 保護

気候変動を止めるため、確かに配慮は必要です。しかし、環境保護をすればすべてが解決するわけではありません。ことあるごとに求められるようなった「持続可能性」、それがかえって新たな問題を引き起こしうることも。
 
人と自然を繋げるための環境保護が、逆に分断を引き起こし、人の支配を引き起こしてしまう……日本やアジアにおける事例の反省から、今なお、よりよい環境国家の在り方が模索されています。(『反転する環境国家 「持続可能性」の罠をこえて』)
 





猛暑に暖冬、そして相次ぐ台風の被害。このところ、わたしたちが気候変動について考えない年はないと言ってよいでしょう。身近な問題を、多様な視点から捉えなおす機会として、ぜひ足をお運びいただければ幸いです。
 

<企画・監修>
若林 恵(黒鳥社 コンテンツ・ディレクター)


 


※エントランス・ショーケースは会員制ライブラリー施設内にあります