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活動レポート
【メンバー限定 シーズナルパーティ】
World Trip ~ラオス人民民主共和国~レポート
活動レポート
アカデミーヒルズ ライブラリーメンバーの開催レポート
開催日:2020年1月30日(木)
文 / 蒼山 隆之(インタビュアー / 六本木ヒルズ ライブラリーメンバー)写真 / 雨宮あゆみ
2003年のオープン以来、組織を離れた個人が交流する機会を創出・企画してきたアカデミーヒルズライブラリー。その恒例イベント、メンバー限定のシーズナルパーティの様子を報告する。
ニューヨークタイムズにおける「世界で一番行きたい国」の一番に選ばれたことがあるように、すでに欧米では知名度の高い国・ラオス。正式名称・ラオス人民民主共和国は、アジア最後の秘境と呼ばれ、中国、ミャンマー、タイ、ベトナム、カンボジアの5ヵ国に囲まれた、ASEAN唯一の内陸国だ。乾季にはラオスの国花チャンパーが咲き乱れ、フランスの植民地時代の建物が残るノスタルジックな街並みに、ゆったりとした時間と静寂が流れている。
今回、ライブラリーではそんなラオスを紹介するパーティが開かれた。
第1部では、2019年のラオファッションウィークにて日本人デザイナーとして初めて参加した小野さんをゲストに迎え、ファシリテーターはラオスの情報を日本に紹介・発信しているLao Culture JPの阪本洋さんと辻亜希子さんが務めた。ラオスのファッションのポテンシャル、そして小野さんが実際に経験したファッションショーの舞台裏などが話題に上がった。
第1部
日本人デザイナーから見たラオスのファッションポテンシャル
ファッションデザインを学び、帰国後すぐに自身のブランドを設立
まずは小野さんがデザイナーになるまでの軌跡を伺った。小野さんは日本で縫製技術を学んだ後イギリスへ。その後、美術大学の中でファッションの勉強ができるアントワープ王立芸術アカデミーで学び、帰国後は国内のファッションブランドなどでキャリアを積むことを選ばず、自分のファッションブランドをスタートした。そのため、生地をどこから買えばいいかもわからなかったが、「自然と助けてくれる方が現れ、なんとかやってきました」と笑顔を見せた。
ファッションショーはこれまでニューヨークを始め、インド、ロシア、インドネシアなど数多くの都市で開催、また、国内でもau INFOBARのモデルの衣装デザインやサザンオールスターズのコンサートにおける衣装、LIXILのCM「キリギリスとアリ」編ではピエール瀧さんや山下智久さんのユニークな衣装を、芸能事務所フラームの所属女優陣(広末涼子、小雪、吉瀬美智子、有村架純など)のカレンダーの衣装など、名だたる企業や著名人からのオファーにも応えてきた。
日本人デザイナーが見たラオファッションショーの裏側
ラオスにはシンという巻きスカートがあり、その柄や色で個性に差が出るというお洒落な伝統衣装だ。そういった下地もあってか、色使いやエネルギーの高さに驚いたそうだ。
そしてその裏では、エアコンが効かない暑いバックステージで、数に限りあるアイロンは取り合いになる。スケジュールは全く決まっておらず、「いい意味でゆるかった」そうだ。来場者の熱気に包まれる会場は、狭いランウェイということもあってかモデル同士がぶつかりながらすれ違う様子も映し出された。
昔からオタク気質で漫画・ゲーム・アニメが大好きだった小野さん。ヴィジュアル系バンドのコスプレなどもしていたそうで、究極のコスプレ系である「Play Costume」というコンセプトのもと、日常で着ることができて自分が楽しめる衣装を作りたい、という思いから自身のブランド『モトナリ オノ』をスタートさせた。以来、世界各地で研鑽を積み、今回ラオスで日本人初のファッションショーを開催したわけだが、もちろん大きな反響があったことは言うまでもない。
自身の体験について講演。多くの若きデザイナーの卵たちに刺激を与える活動を
シンガポールや、ヨーロッパなどにファッション留学してデザイナーとなるパターンもあるが、ラオス人のデザイナーはとても少ないのが現状である。そこで小野さんはデザイナーを目指すヤングデザイナーに向けた講演を行ったという。今まで自分がやってきたことや、どういう思いがあったか、どういう人と出会ったかを参加者と共有したとのこと。
ラオスには専門学校がまだ存在しないため、ファッションの勉強をする環境が整っていない。そんな中で小野さんのリアルな体験談やデザイナーとしてのあり方を見せたことは、デザイナーの卵たちに刺激と希望を与えたことだろう。
ラオスの可能性と新たな展望
ラオスはファッションに関して様々なポテンシャルを秘めている。たとえば素材については、ラオスシルクという非常に質感の良いシルクが存在し、安価で販売されている。シルクに色を入れる技術は植物や昆虫から取っており、織の柄が丁寧に作られていて、小野さんは非常に刺激を受けたという。ただし、ラオスシルクは手織りのため一枚織るのに1週間から一ヶ月かかる。「これはしっかり利益が生まれる産業にはなりにくいなというのが感想で、ラオスがこれからファッションの分野で伸びていくためには、ファッション専門学校の創設や、技術者の育成など課題が盛り沢山。靴を履いていない地域に靴を売りに行くような感覚を覚えました」と小野さんは語る。
親が子供に織物を教えていく風習がまだ残っているラオス。この先、大量生産に向かうのか、こういった伝統を守っていくのか、今後の変化が注目される。
トークセッションの後はQ&Aコーナーが設けられ、参加メンバーからの質問に小野さんが答えた。
———服づくりにおける素材へのこだわりやプロセスについてお聞かせください
自分は素材よりもパターンから入るデザイナーで、シルエットを決めた上で素材を選ぶ傾向にあります。基本的には直感で、街を歩いている人を見てインスピレーションを得ることもありますね。
———日本とラオスにおける気候風土文化の違いや彼らのファッションセンスや美的感覚について聞かせてください。
シンに代表されるような伝統衣装が好まれていましたね。日本で言うところの甚兵衛のような素材のシルクのワンピースをみなさん着ていました。街で売っているものも日本と同じような柄、色のものが並んでいましたよ。
今もなお残る美しい自然と伝統文化、のどかな国民の平均年齢は驚異の23歳。
今後の計り知れないラオスの成長を予感させつつ、第一部は大盛況のうちに終了した。
第2部
ラオフードとビアラオで乾杯!
第2部は、ラオスのフードとドリンクを楽しみながらの交流パーティが行われた。
ラオス日本大使館の大使による乾杯の挨拶の後、ベトナム料理とタイ料理の中間のようで、なおかつとてもヘルシーなラオス料理の数々が会場を彩った。サイ・ウア(ラオス風豚肉ソーセージ)、ラープ・ガイ(ミント・ハーブ入り鶏肉サラダ)にモック・バー(バナナの葉っぱで蒸す魚肉)といったラオスの伝統料理・ラオフードに加え、今回は東南アジアで一番美味しいと評判のラオスのビール・ビアラオが振る舞われた。また、ライブラリーメンバーの小林義幸さんからはラオス南部産の乾燥バタフライピーから精製された「青の炭酸水」が差し入れされた。
バラエティ豊かなラオフードやドリンクに舌鼓を打ちつつ、恒例のクイズ大会も開催。優勝チームにはラオスゆかりの賞品も贈られた。
参加メンバー同士はもちろん、小野さん、lao culture JPのお二人との交流も活発にされ、盛況のうちに終わったラオスナイトとなった。
参加メンバー同士はもちろん、小野さん、lao culture JPのお二人との交流も活発にされ、盛況のうちに終わったラオスナイトとなった。
(了)
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