六本木ヒルズライブラリー
百物語 ~真夏に背筋がゾクッとする噺
〈エントランス・ショーケース展示〉
更新日 : 2019年07月03日
(水)

今回のエントランス・ショーケース展示は「百物語 ~真夏に背筋がゾクッとする噺」と題して、江戸時代から現代に至るまで、人々の間で語り継がれてきた怪談をご紹介しています。

○ 百物語
冷房装置がなかった時代、納涼といえば怪談でした。部屋に蝋燭を点し、その周りで怖く、恐ろしい噺を語り合うエンターテイメントです。怪談を百話終えると、物の怪が本当に現れると例えられていました。その時に語られた物語を編纂した『諸国百物語』(1677年)や『御伽百物語』(1706年)がいまに伝えられています。
幽霊、妖怪、怪物に関する日本人の関心は、はるか平安時代にまで遡ります。『古事記』や『今昔物語』の頃から、人の怖いもの見たさはかわりません。

○ ラフカディオ・ハーン
「耳なし芳一」や「のっぺらぼう」など、誰もが知っている怪奇物語を書いた小泉八雲(出生名:ラフカディオ・ハーン)。彼は江戸時代に集められた百物語を愛読していました。そこには日本の民間伝承だけでなく、中国の怪異物語や今で言う都市伝説も含まれていました。

○ 京極夏彦
数多くの妖怪時代小説を書いている現代小説家。しかし、「あやかし」が現れるのは過去の時代にとどまりません。現代人を恐怖に陥れる妖怪たちに対し、立ち向かうのはなんと京極夏彦をはじめとした実在の妖怪研究家たちで……(『虚実妖怪百物語』)

○ 柳田國男
岩手県遠野地方の民間信仰や異聞怪談を収集した民俗学の大家。『遠野物語』には山の神、山女、雪女、天狗、河童など、日本人が日々の生活の傍らに感じ取っていた妖怪たちの「気配」が満ち満ちています。

今年も昨年に劣らぬ猛暑が予想されていますが、暑さをしのぐ方法は冷房だけではありません。展示では「ひやっ」とするような怪談を取り揃えておりますので、ぜひ間近でその涼しさをお楽しみください。
※エントランス・ショーケースは会員制ライブラリー施設内にありますので、閲覧をご希望の際には必ずメンバーズ受付へお立ち寄りください。
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