六本木ヒルズライブラリー

「iPadマジック!」ブーム×共感でトレンドを作れ!開催レポート

更新日 : 2019年03月19日 (火)

「いま、わたしができること。 」

皆さんはYahoo! JAPAN上で行われた「3.11 企画 」東日本大震災復興支援プロジェクトをご存知ですか?3月11日に「3.11」を検索したひとりにつき10円を、東北復興にたずさわる団体に寄付するというもので、「いま、わたしにできること。」と題されたホームページには多くの賛同と支援が寄せられました。




この震災復興支援プロジェクトをプロモートされているのはヤフーでブランドマネジメント室室長を務める内田伸哉さん。内田さんはヤフーの社員でありながら、プロマジシャンを含めた複数の肩書を持つ気鋭のクリエーターです。

今回は、その内田さんが講師を務め、3月7日(木)にアカデミーヒルズライブラリーでメンバー向けに開催された講義の様子をレポート致します。

 
講義は内田さんの作品紹介から始まります。内田さんが手がけ、世に出されている作品は実に多数。その中でも代表作といえる「iPad Magic」は2010年の公開から世界中で200万以上の再生を記録したスマッシュコンテンツ。当日はこのiPad Magicを実際に実演で披露いただきました。

(画像クリックで「iPad magic」をご覧いただけます)



iPad Magic以外にも次々と紹介される内田作品。実に多彩です。「えっ、これもそうなの?」と参加メンバーから驚きの声があがります。驚きと共感で人の心をとらえる内田式クリエイティブ、その哲学について講義は踏み込んでいきます。

 
まずは「人の心を動かすには?」「トレンドをどうとらえるか?」「アイデアとはそもそもどういうものか?」というベースの部分から解説が始まります。講義が進むにつれ、情報化社会に突如現れるヒットメーカーが決して偶然などではなく、緻密な計算、図られたタイミング、そして、うんざりする程に繰り返される努力の上に君臨している事実を知ることとなります。

 
さらに内田さんは解説します。「まず、『すごい』と思うことに沢山接すること。大量の情報に触れ、『知っている』を増やすこと。そして、その『知っているすごいこと』に、『悔しさ』を持つこと。」悔しいという思いこそが、アイデアを具現化するエネルギーへと繋がります。「これはいいと思うアイデアも、世界という規模で考えれば1万人くらいはすでに思いついている。そんなものなんです。」 



 
しかし大切なのは、その先。「気づいたアイデアをどうするか、そこからです。もちろん、その「どうかするか?」がすごく大変なんですけど。」「1万人が考えている同じアイデアの中から勝ち抜く、そうしないとアイデアは何も生まずに埋もれていきます。」

では、埋もれないための秘訣とは何でしょうか?
「秘訣と言えるか分からないのですが、ここからは気合の世界です。」と内田さん笑います。「大事なのは、実行力。可能にする力のほうだと思ってます。」アウトプットされないアイデアなんて、アイデアとも呼べない、それが内田さんの見解です。


講義を通して実感するのは、内田さんが失敗や挫折も含めて、その全てを楽しんでいる事でした。内田さんにとって一番いけない状況は「何もしないこと」、そしてその次にいけない状況は「何かしても無反応」だそう。「炎上」は「無反応」より良いそうです。

 
「世の中に“驚き”を仕掛ける」という共通したアイデンティティを持つ内田さんの作品。2017年3月、銀座ソニービルの壁面に出された震災広告もその一つです。



津波の高さという「記録」を壁の赤線で可視化し、それを見上げる人の「驚き」を生みました。壁面に書かれたメッセージは「忘れてはいけない」という強い共感、「防災を考えなくてはいけない」という思いを人々に蘇らせます。驚きと共感で人の心をとらえる内田式クリエイティブ。その成り立ちを知ることは、アイデアの活かし方を学ぶ事でもありました。
 

【ライブラリーイベント】
iPadマジック! ブーム×共感でトレンドを作れ!
【文】城所  【開催日】2019年3月7日(木)