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オーディエンスを惹きつける極意は「自分らしさ」を表現すること

~石倉洋子のグローバル・ゼミ(GAS)2018 第4回目セッション~

活動レポートグローバル政治・経済・国際キャリア・人
更新日 : 2018年08月21日 (火)

Session 4:スピーチ、プレゼンテーショントレーニング
講師:石倉 洋子(一橋大学名誉教授)
文/清水   写真/アカデミーヒルズ
開催日:2018年7月29日(日)



前回のゲスト、谷口智彦氏から具体的に修正すべき点を個別に教えて頂いたセッションから約1か月を経た7月下旬に開催された石倉洋子のグローバル・ゼミ(Global Agenda Seminar / GAS)Session 4。

前半は前回行ったスピーチを見直して改善し、再度スピーチを行うという宿題を出されたゼミ生たちによる発表から始まりました。

谷口氏から頂いた改善点とともに、石倉洋子教授からも個別にスピーチに関するフィードバックを受けていた受講生たちは、内容や表現方法を大幅に修正してプレゼンテーションを展開していきました。

広いテーマだったものが、より具体的なものに変わり、一般的な内容だったものが、より自分自身の経験やエピソードと結びつけられることによって個人の顔が見えるものになるなど、誰のスピーチもグッと耳を傾けたくなるようなものに変わっていました。

石倉教授も、皆さんの改善ぶりに感心されていた様子。




一方で、原稿を暗記せずにメモを見て発表した受講生が、原稿をすべて丸読みしているような感じを受けたことに関しては、それではオーディエンスを惹きつけることはできない、と指摘。原稿を暗記する必要はないとしても、少なくともアウトラインを頭の中に入れておき、オーディエンスの興味を失わないための努力の必要性を訴えます。
  
  

また、前回谷口氏から指摘をされた点について、石倉教授ならではの独自の視点から異なるアドバイスが展開されました。

それは、どちらが正しいかという問題ではなく、谷口氏と石倉教授が経験されてきたフィールドが異なるということにすぎません。

「要するに、自分独自のスタイルを確立することが重要です。自分の癖や使いがちな言葉などを客観的に分析して聞きづらいと思う部分を改善しつつも、自分が心地よくスピーチができ、自分らしさを表現することが大切なのです。」と受講生に伝える石倉教授。

自分が何を伝えたいかということを大事にしつつ、オーディエンスの立場に立って、どうすれば最初から最後まで自分のスピーチに対する関心を失わずにしっかり聞いてもらえるかをじっくりと考える必要がある、と説きます。

「自分らしさ」、「自分独自のスタイル」は一朝一夕には確立できません。それまでに色々な人のスピーチを見て研究し、自分自身も多くの場数を踏んで実践し、反省点を考えて改善を繰り返す---地道な努力を経て、ようやくたどり着くものなのだ、ということが伝わってきます。



     
      
セッション後半は、「民泊を日本で普及させるためにはどうすれば良いか?」というテーマをもとにグループディスカッションを行いました。

その場で決められたグループで、各自が調べてきたことを持ち寄り、限られた時間で活発に議論するゼミ生たち。発表時も各グループの個性が表現され、笑いが起こる場面もしばしば見受けられ、すっかり仲間として打ち解けているようです。

「スマートシティ」という大きなコンセプトを掲げ、それに向けた取り組みの一つとして民泊を広げていくというアプローチを取ったグループ。民泊が日本で広がらない理由を、供給側と需要側の両面から洗い出し、ロジカルに解決策に導いていったグループ。民泊の管理を「お寺」がやるべき、というアイディアから展開したグループなど・・・

質疑の時間では他のグループから鋭い質問が飛び交い、さらに石倉教授からの深い指摘に、チームメンバーは協力し合いながら、真摯に答えていきました。単なる思い付きのアイディアだけではない、熟慮に裏付けされた議論がなされたことが分かります。

今期のGASも残すところあと2回。次回のセッションでは、よりパーソナルな体験に基づいたアウトプットを出していく予定です。