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活動レポート

能から学びとるビジネス感度

<異分野から学ぶビジネスエッセンスシリーズ>

日本元気塾活動レポート

アカデミーヒルズ スタッフの活動レポート
開催日:2018年6月7日(木)
文・写真/福岡

「異分野」からの学びとは?

不確実性の高まる現代。ビジネスで活躍するためには、論理的で理性的な情報処理スキルだけでは、誰もが同じ答えに行き着き、差別化を生み出すことができなくなってきていると言われています。


そこで、これからのビジネスパーソンには、遠く離れた「異分野」から学ぶ力が必要となるでしょう。遠い世界の知識や、そこで日々葛藤する他者の経験を、自分でどう咀嚼し、アウトプットに結び付けていくのか?また、他の参加者の学びからも学べるものがあるのでは?
新感覚の大人の学び方を体感するビジネスパーソン向けワークショップ講座が開講しました!!

テーマは“能”!!



シリーズ第1回のお題は、650年の歴史をもつ“能”です。

能と言えば、古来より伝わる格式高い伝統芸能・・

650年もの長い歴史の中で、ある時は為政者に重宝され、衰退期にも市井で細々と舞い続けるなど、長い歴史においてその火を絶やすことのなかった能には必ずや人を魅了する何かがあるのでしょう。
今回、女性能楽師・宮内美樹さん(能楽観世流シテ方能楽師)をお迎えし、能から何が学びとれるのか、独吟や舞を鑑賞しながら、参加者同士のディスカッションを通して考えました。


6年間の師匠宅での内弟子修業!

宮内さんが能の門戸を叩いたのは、32歳の頃。
国家公務員としての人生を歩まれていたある日、ふと仕事の関係で能を鑑賞したのがきっかけだったとのこと。何が何だか分からない世界観をもっと知ってみたいという好奇心から一転、能の世界へ飛び込んだそうです。観世流という流派に入門した宮内さんでしたが、32歳という年齢は、プロを目指すには絶望的に遅いと言われたそうです。門下生は男性ばかりの男社会で、師匠の自宅に6年間住み込という厳しい鍛錬の日々を堪え抜いたとか。

その稽古スタイルは師匠の一挙手一投足から盗み取るという究極のOJT!師匠に質問・意見をするなどもってのほか。師匠の家族の家事をこなしながら、門下生としての自分は家族の飼うペット以下の位置づけだったと話します。

自我を押し殺す!

そこまでして宮内さんが得たものは、一体何だったのでしょう?
「自分を徹底的に殺すことを会得したのだと思います。能では自我は禁物。自意識を打ち消し、無意識状態でこそ良い舞ができることがあるほど。自分の地位なんかを気にしていてははじまりません」と語る宮内さん。
自我を押し殺し、空虚な器となった自分に<新たな自分>を招き入れる。世阿弥の言葉に「離見の見」という言葉がありますが、無私になることで、自分を少し上の方から客観的に見つめる目を持つことができるそうです。意識が客観的になり、幽体離脱のように自身の意識が独り歩きするような感覚だとか。

2つのお題でグループワーク!

ここからは参加者とのグループディスカッション。4~5人一組となったグループの皆さんで「一体、能から何が学びとれるのか?」「そこから企業や組織は何が学べるか?」について話し合いました!ふだんは話し合うことのないような切り口のテーマに議論は白熱したようです。
ディスカッション後には、各グループで話し合われた事を発表してもらいました。

まとめ

今回参加頂いた皆さんから、口々に「奥深い気付きを得た」「こんな豊かな場があること自体が素晴らしい!」といった感想を頂きました。他者の経験を、他者と議論しながら自らの学びに転換していくプロセスを経ることで、自然と深い議論に導かれる新たな学び方を楽しまれたのかもしれません。

ビジネスは、ある意味で全てが結果に集約されてしまう一元的な世界。多くの皆さんに正解のない多様さの中に、奥深い気付きを得て頂けたようです。 アカデミーヒルズでは、今後も「異分野から学ぶビジネスエッセンス」シリーズを企画してまいります!
次回をご期待ください!