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海外旅行の王様、弁護士になる!

アークヒルズライブラリー シェアラウンジトーク
資格試験は社会人経験を活かして突破する!開催レポート

更新日 : 2018年11月16日 (金)

開催日 :2018年10月30日 
開催場所:アークヒルズライブラリー シェアラウンジ
文/城所


徹底して何かに打ち込んだ体験、みなさんはありますか?
 
学生時代の部活動、受験勉強、就職試験、もしくは恋愛。人生を振り返ればそれぞれに、それぞれの「何かに徹底的に打ち込んでいた時期」があるのではないかと思います。そして、その頃の情熱を今は懐かしく思い返したり、あの時にもっと頑張っておけばよかった、なんてちょっぴり後悔したりはしていませんか?
 
でも、そんな必要は無いようです。懐かしまなくても、ましてや悔やまなくても、人生はいつからでも、何かに徹底して打ち込み、何か新しいものを得る事が可能なようです。

 
今回、アークヒルズライブラリーでのシェアラウンジトークは、資格試験に徹底的に打ち込み、見事48歳で弁護士となったライブラリーメンバー 河野浩士さんにお話をいただきました。

 

【編集者から弁護士に】


河野さんは大学卒業後、編集の仕事に携わっていました。好きな事を仕事にし、特に旅行ガイドの分野で存在感を発揮。自身を「海外旅行の王様」と称した「王様シリーズ」では、自由気ままで型にはまらない人生の楽しみ方を旅先で実践。それは人から「羨ましい!」と羨望される類のものでした。ところが、デジタル化の波が出版業界と河野さんを襲います。

紙媒体の将来に不安を隠せない河野さん。ついに40代で一念発起し、司法試験に挑戦。見事平成20年に合格し、48歳で弁護士になるという偉業を成し遂げました。

河野さんを突き動かしたものは何でしょうか? そして、どのようにして国内最難関といわれる司法試験を突破されたのでしょうか? これが今回のシェアラウンジトークの主要2大テーマです。

 
河野さんは編集の仕事は天職だと感じていました。望んでいたものであり、特性にもあっていました。そんな中で、その特性を活かし、獲得できると感じた資格が司法試験でした。突拍子もないように思えますが、いえいえ、ちゃんと根拠はあります。当日はその根拠と根拠に沿った斬新な学習法が披露されます。

司法試験を始めとして「資格」に必要な技とは何か、コツの掴み方、効果的な学習方法、法律を知識として身につけるためのオリジナル資料作成術や、ひいては法律家に求められる人的資質など、次々と紹介されていきます。参加したライブラリーメンバーからは感嘆のため息が漏れ始めました。

 

【しかし一方で失うものも】


努力の甲斐あって合格した司法試験。しかしそれで失ったものも沢山あったと、河野さんは話を続けます。多大な時間と労力を要する資格試験の負の一面です。同じく資格試験を目指し勉強しているメンバーからは、資格の代償として、河野さんが失ったとするアレコレに、今度は深いため息が。それは、得た権威や知識とは違う種類の、しかし人生において大切なモノが時として失われるという、過酷な現実の露呈でした。

厳しい表情で真剣に話を聞くメンバー。一方、その立ち向かわなくてはならない現実を、実は最も知りたかったという声も。そして河野さんが伝えたかった事もまた、理想だけでは済まされないリアルでした。
 
トーク終了後の会場には、「羨ましい!」「私も頑張ります!」という高揚や興奮とは違う、地に足のついた、今と未来を同期させながら人生のプロジェクトを捉えようとする、そんな雰囲気が生まれているようにも感じました。
 

【挑戦はいつでも出来る。あとは「するか」「しないか」だけ!】


弁護士は最終ゴールでしょうか? いえ、少なくとも河野さんにとって、弁護士もやはり、人生の一過程のようです。今、河野さんは、弁護士になるまでと、なってから得た自身の学びを、後進や世間にどう伝えていくかを考え、弁護士業務の傍ら、執筆活動もされています。弁護士として活動を始めてから間もなく10年、河野さんの関心や挑戦は失われる事なく、さらにその先の未来を見据えていました。
 
静岡県に67歳で司法試験に合格し、弁護士として活動されている男性がいます。地元新聞の取材に「ずっと理系で生きてきて文系の仕事に興味があった。一度きりの人生、何かに挑戦したい」と司法試験に向かった動機を語っています。現行の試験がスタートした2006年以降、司法試験合格者の最高齢はなんと71歳だそう。もう年齢は言い訳にできません。
 
多様な私たちの多様な人生は、ひとつとして同じものはありません。たった一度の人生をどう生きるかは、まさに人それぞれです。挑戦し続ける人生もあるでしょう。一方、時間と自由をのんびり味わう人生もあるでしょう。生き方は自由ですが、ゆえにそっくりそのまま取り入れる事が可能な人生モデルは存在せず、かつ時間は有限です。

今回の河野さんのトークでは、参加者が自分自身を見つめなおし、自分にあった自分だけの人生とは何かを考え直す、そんなきっかけになったようです。