六本木ヒルズライブラリー

【ライブラリーイベント】開催レポート
NewsPicks×アカデミーヒルズ ライブラリー
働き方改革2.0 第3回:兼業副業編

ライブラリーイベント

日時:2017年10月16日(月)12:00~13:00@カンファレンスルーム7

 誰もが100年生きうる時代に、ビジネスパーソンの働き方・生き方はどう変化するのでしょうか? NewsPicksとアカデミーヒルズがコラボで展開するワークスタイルの未来を語る全3回シリーズの「働き方改革2.0」。第3回はハピキラFACTORY代表取締役・SONY勤務の「副業女子」の正能茉優さんにお話いただきました。

正能さんは、1991年生まれの26歳。大学在学中の2012年、地方にある商材をプロデュース・発信するハピキラFACTORYを起業、大学卒業後は大手広告会社に就職し、現在はソニーに勤務しながら自社の経営も行っています。大企業の正社員でありながら起業家という2つの顔を持つ新しい働き方をされています。

「オンリーワン」になるために!


 ミレニアル世代の正能さんは、バブル時代によくあった「24時間戦えますか?」的な仕事だけに時間を割いて仕事で成功すれば人生100点という価値観ではなく、「仕事もプライベートも、自分も家族も友達も、それぞれ70点でもいいから全部大切にしたい。人生の構成要素をバランスよくすることで120点の人生を送りたい!」という価値観の持ち主。その実現には自分の「1時間当たりの価値を最大化する」ことが重要で、そのためにはナンバーワン、ファーストワン、オンリーワンのどれかの存在になることが必要だと話します。

正能さんは、そもそも「かわいい」を切り口に地方にある魅力的な商材を女性・若者目線でプロデュース・発信して地方を元気にする会社「ハピキラFACTORY」を学生だった2012年に立ちあげて女子大生社長としてキャリアをスタートされました。しかし、自分のキャリアプランを考えたときに、「元女子大生社長はオンリーワンじゃない!女子高校生社長も出てきているので女子高生には負ける。オンリーワンのポジションになるのは、“〇〇なのに社長”という働き方が必要」という結論に至り、社長だけど普通の社員として働くという副業・兼業の道を選んだそうです。

起業、兼業、副業は特別なことじゃない!


 こう語ると学生時代に起業した特別な人の選択肢のように聞こえますが、正能さんはこうした働き方は、「やりたいと思えば誰にでもできるし、今後多くの人に必要なことになってくるだろう」と言われます。かの『もしドラ』で有名なドラッガーも、「企業よりも個人の寿命の方が長くなる中で、1つの会社に属しているだけでは不十分。1つの会社にいる時から、第二、第三の人生の用意が必要ではないでしょうか。これからの世代だけでなく、誰もがこうしたパラレルキャリアを考えるべき時だと感じています」と言っているそうです。

大切なのは「タイムマネジメント」!


 正社員としてソニーに勤務をしながら、ハピキラの代表としての仕事もしているという正能さんは、どのように日常を送っているのでしょうか?

<可能性ボタンの連打>
  ハピキラFACTORYのクライアントとのやり取りは、必ずしもタイムリーにできないこともあります。そこで、「いかに可能性ボタンを連打していくか」という感覚で、朝、ランチ、夜の会食の時間の効果的な使い方を設計しているそうです。新しいチャレンジをするために考える時間をしっかりとりながら、週2回はハピキラFACTORYメンバーとリアル・リモートでの定例ミーティングを継続しているそうです。

<出社前出社>
「無理をするのは苦手」だからこそ、ちょっとした工夫が散りばめられています。1つは、朝の時間を有効に使う「出社前出社」。「朝7時20分に起きて、ソニーの出社前に最寄駅の品川駅で朝ごはんを食べながら、ハピキラFACTORYのクライアントとミーティングをすることが多いですね。一息ついてから9時半頃に出社しています。」とのころ。そしてランチタイムにハピキラFACTORYのクライアントと会社周辺でミーティングをすることも。「午後はソニーで働いて、17時半くらいにオフィスを出ます。定期的に生け花教室にも通ったり、もちろん飲み会にも参加します。そういう意味で、仕事だけのではなく生活の楽しみも大事にしたいです。」と、ムダのないタイムマネジメントを実行されています。

<人生配分表>
  正能さんが大事にしているのが「時間のバランス」です。自分の人生(時間)を何に費やすかをGoogleカレンダーでアクティビティごとに色分けをして、可視化しているそうです。つまり「人生配分表」。例えば、彼氏の時間は7%。「少なすぎる!」と驚かれることもあるものの、1週間で換算すると12時間弱。4時間のデートが週3回と思うとしっかりと時間を確保されていますね。仕事が大好きで放っておいたらいくらでも働いてしまうという正能さんは、お祖母様が体調を崩されたことをきっかけにこの配分表を活用し始めたところ、家族や友人との時間もバランスよくマネジメントできる様になったそうです。


兼業・副業のメリット


  ハピキラFACTORYを経営する中で感じているメリットは、企業で社員として働くことにより安定収入があるため、すぐにお金になることにこだわらなくてよく、将来やりたいことから逆算して今やってみたいことにチャレンジできることだと言います。また、副産物としてソニーで働いていることで、信用が得やすいという面もあるそうです。
  逆にソニーへの貢献(ソニーのメリット)として、1つは会社が個人にしてほしい経験を会社以外の場所で先に修業できること。特に経営に携わる活動をしていると業務の設計や全体像の把握をできるようになり、それはソニーの仕事にも活きていると言います。2つめは、自分の会社の活動での人脈をソニーでも活かすことできることだそうです。

会社中心から自分中心へ

 社内から「自分の知らない働き方をしている人」と思われ、驚かれることも多いそうです。そんなときも、自分の考えや働き方をしっかり説明していくことが必要だと言います。「え?なぜそのような働き方をしているの?」という反応は怒りではなく驚きの表れ。だからこそ、会社や同僚へ、パラレルで働いているからこそ貢献できるように自分を現在進行形でアップデートしていくことも必要だとお話くださいました。

会社中心から自分中心へ。
自分の考えや働き方を明確にして、会社と調整していくという新しい組織との関係を実践している正能さんは、とてもパワフルでその人柄に魅力を感じました。先進企業では副業を許可する動きも出てきています。参加された方々は、副業・兼業に興味がある方やそうした方を活用したい経営者が多かったようです。まだまだ実践している人が少ないパラレルキャリアの働き方のロールモデルとして、自分や自分の所属している組織の働き方を考える上で、大変刺激をいただきました。
【ゲストスピーカー】正能 茉優(ハピキラFACTORY 代表取締役)
【ファシリテーター】小野 晶子(株式会社ニューズピックス Community Manager)