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活動レポート

日本元気塾セミナー
小さな一歩が世界を変える!
~「医療」×「教育」で世界に挑戦する日本人イノベーター ~

日本元気塾活動レポート

[アカデミーヒルズ スタッフの活動レポート]
日本元気塾セミナー
小さな一歩が世界を変える!~「医療」×「教育」で世界に挑戦する日本人イノベーター ~
開催日:2015年4月10日(金)19:00~21:00 会場:アカデミーヒルズ

文/大和陽子 写真/御厨慎一郎

日本元気塾セミナー第2弾!

今回はミャンマーで医療活動を行う小児外科医の吉岡秀人氏と、途上国で映像教育を提供するe-Educationの代表理事である三輪開人氏を迎えたセミナーの様子をレポートします。

MADE IN JAPANの「仕組み」が途上国を救う
特定非営利活動法人 ジャパンハート代表 吉岡秀人 氏


吉岡氏

「こんなに簡単に人が助かると思わなかった」
途上国で医療活動を続ける中、ある日、妻が言った一言が忘れられないと吉岡さんは言います。
逆にいうと、こんなに簡単に人が死ぬ、という現実があるのです。

1995年、初めてミャンマーへ行ったとき病院の床は土、壁は木。最悪な診療環境にも関わらず、患者が朝から晩まで途絶えません。重症の患者にも、手術ができないことを伝え帰ってもらうしかありませんでした。
「さあ、どうする?立ち止まるのか?」神の声が聞こえたような気がしました。

1996年、吉岡さんは日中は陽の光のもと、夜間は懐中電灯を灯しながら手術を開始します。
あのとき諦めていたら今も実績は0だったはず。今は年間2000件の手術を行います。

自分で出来ることには限界がある。もっと沢山の人を巻き込むにはどうしたら良いのだろうか?
思い悩む吉岡さんを「ちまちました、昔の方法で助けていてはダメだ」と笑う人もいたと言います。
でも、思いを持って協力してくれる人は必ずいる。
その信念のもと、参加を躊躇する理由を突き止め呼びかけたところ、多くの医療従事者が集まり、再来年には1000名を突破する勢いです。

今後の目標は「“利益”を受ける人が増える構造を作ること。」だと語ります。
MADE IN JAPANという称号はプロダクトに与えられるものだったけど、これからは仕組み・内容・人に与えられるようにしたい。
その先駆けとなるべく、吉岡さんの挑戦はまだまだ続きます。

実体験をもとに、途上国の子供にも学ぶ喜びを届けたい
e-Education代表理事 三輪開人 氏


三輪氏

e-Educationの活動は2010年バングラデシュからスタートしました。

狭いスペースに100名以上の生徒。圧倒的な教師不足でした。
また、生徒の学習方法も殆どが丸暗記と、間違ったものでした。

勉強ができれば良い仕事について、高い給与がもらえて、家族を養える。
だから学びたい。でも学べない。

どうにか子供たちの夢をかなえてあげたい。
そう考えた三輪さんたちは実体験に基づき、DVDによる学習方法を思いつきます。
子供たちの学習環境が劇的に改善した結果、なんとバングラデシュ版東大と言われるダッカ大学に1人合格したのです。しかも彼は奨学金を1円も使わず、自分で塾講師をすることで生計をたて、家族に仕送りまでして卒業。今はバングラデシュの教育を変えることを目指し、大学院で勉強しています。

2013年、ミャンマーへ入り、そこでジャパンハートの活動と出会います。
ミャンマーの病院は設備が整っていないため、入院中やることがなく不安にさいなまれ、笑顔が失われていく患者が多くいます。
患者の笑顔をつくりたい。そのために出来ることは無いだろうか?
やがて、入院中にDVDによる学習を進めることでIT技術が身に着けられるようにできないか?と思いつきます。
現在、①アクセサリー作り、②IT教育、③保健教育 を全ての入院患者へ届けられるよう活動を続けています。

~チャレンジする方法は無数にある。思いを実現させる方法~
吉岡秀人(ジャパンハート)×三輪開人(e-Education)×米倉誠一郎(日本元気塾塾長)


会場からの質問に、包み隠さず返答いただきました

強い思いのもと活動されるお話に胸を打たれる方多数
鼎談では米倉塾長による、「そもそも最初の活動資金と、今の運営資金はどうしているのか?」という泥臭い質問からスタート。
両団体とも「基本は自腹です」との回答に、会場からは笑いと共に、志の高さにため息も漏れました。

米倉塾長:
それでよく人が集まりますね(笑)

吉岡さん:
東日本大震災からトレンドがかわって、自分から動く、手弁当をすることの意味に気が付いた人が多いのです。
その一方で、東北の支援はほぼ落ち着いてしまった。今は三陸から海外へ活動の場を移す医療従事者が増えたように感じています。

三輪さん:
このまま社会に出てしまっていいのか?やり残したことがあるのではないか?という思いでチャレンジする学生が多いです。
最近は、文科省の「飛び立て留学ジャパン」を通じて参加する学生もでてきました。
また、ミャンマーでは、日本人もいますが、現地の若者が中心となって活動しています。

米倉塾長:
これから活動を充実させていくために、どんなことをしようと思っていますか?

吉岡さん:
誰でも参加できる仕組みづくりが重要だと思っています。それはつまり個人に頼らない仕組みです。善意で疲弊するやり方からの脱却が必要なのです。
そのためには、NPOである必要もないと思っています。沢山の子供たちが助かるなら、寄付に頼る方法ではなく、Businessにしてもいい。

三輪さん:
私もそのご意見に賛成です。日本の皆さんには違和感を感じるかもしれませんが、諸外国のNPOでは結構普通にやっていますからね。

米倉先生:
チャレンジする方法、思いを実現させる方法は無数に広がってきたということですね!
日本人にはもっといろんな方法があることに気づいてもらいたいものです。


終了後のアンケートでは「実際にお話を伺って、心に響きました」「来る前までは、『何故日本ではなく海外支援なのか?』と思っていたが、全ては日本を含めた思想なのだと分かり、感動しました」など、大好評となりました。
次回はいよいよ元気塾4期でゼミを開講する隈研吾氏が登壇!
5月11日の日本元気塾セミナー詳細は下記よりご覧ください!

「日本元気塾 4期」募集開始!申込〆切は5月14日正午

「そもそも人間一人ひとりが元気でなければ、国が元気なわけがない」
一橋大学イノベーション研究センター教授である米倉誠一郎氏の熱い想いから、アカデミーヒルズで2009年よりスタートした「日本元気塾(にっぽんげんきじゅく)」。
2015年6月、待望の第4期が開講します!

一流講師から、直接生きた知恵を学び取る8ヶ月間。
応募〆切は5月14日正午、皆様のエントリーをお待ちしています。

該当講座

小さな一歩が世界を変える! 
~「医療」×「教育」で世界に挑戦する日本人イノベーター~
吉岡秀人 (小児外科医 / 特定非営利活動法人 ジャパンハート代表)
三輪開人 (NPO e-Education代表理事)
米倉誠一郎 (日本元気塾塾長/法政大学イノベーション・マネジメント研究科教授/ 一橋大学イノベーション研究センター名誉教授)

吉岡秀人(小児外科医・ジャパンハート)×三輪開人(e-eduication)米倉誠一郎(日本元気塾塾長)
社会的変革で途上国を変えようとする日本人イノベーターがテーマ。吉岡氏と三輪氏はミャンマーで出会い「医療」×「教育」で新しいイノベーションを引き起こそうとしています。“入院中の子供たちに映像による教育を提供する”ことにより子供たちに将来、未来、夢をもたらすことです。今までの各々の活動、そして新しい出会いがもたらした新たな取組みの可能性、社会的インパクトについて多面的に考えます。


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