記事・レポート
活動レポート
イノベーションに憧れて
米倉誠一郎『創発的破壊』出版記念
サツの会社訪問記 ~ミシマ社編~
更新日 : 2011年09月14日
(水)
米倉先生の最新刊『創発的破壊』。もうご覧になりましたか?
日本のパラダイム・チェンジの方向性を導き出す、革命を創発させる内容に「ビジネス書を読んではじめて涙がでました」という読者からのリアクションがおこるなど、好評を博しているそうです。現在3刷を重ねる話題本の制作秘話をさぐるべく、出版元であるミシマ社を訪ねました。
[アカデミーヒルズ スタッフの活動レポート]
文/さとうわたる 写真/つだ
自由が丘の柿の木のある一軒家のオフィスで出迎えてくれたのは、ミシマ社代表の三島さんと編集チームの星野さん。『創発的破壊』では2人体制で編集を行ったそうです。
「新しい資本主義をつくるというテーマが、はじまりでした。途中、いまの3分の1くらいの分量で先生が「これで本が出来るか」とおっしゃり、全然足りませんよ!というやりとりがありつつ。なんとか書いてもらい、分量が足りてきたのは良かったのですが、今度は一冊の本としての流れが弱かったときも苦労でした。そのときは、一本軸が必要だと先生も感じていらしていたので、何度も打合せをしてました。ときに、先生から「おまえ考えろ!」って無茶ぶりをされたりしながら(笑)、最後の最後にタイトルが出てきました」(三島さん)
パラダイム・チェンジ、ジャパン・ウェイ、新しい資本主義、モデルJ、イノベーションJ・・・ 書名の候補が出ては消え、出ては消えするなか、『創発的破壊』に決まったのはかなりギリギリのタイミングだったそう。通常一冊の書籍が完成するまでに、早くて半年、大体1年くらいかかるそうですが、米倉先生の場合はなんと2年の月日を費やしたといいます。
「読みすぎて、分からなくなってしまいました。新しく入ってきた原稿もそこだけ読んでいると良いのですが、前後の関係を冷静にみれなくなっていたり。人生ではじめてこんなに一つの文章を何度も読んだというくらい、悪戦苦闘しました」(星野さん)
実際の細かいやりとりの話を伺っていると、米倉先生vs編集者とでもいう、静かなるも激しいバトルが繰り広げられていたそうで。
「パワフルですよね。お会いすると元気になれるし、気持ちがノリます。先生の講演を聞いた方達が口々にいう、”先生のパワー”。それをうまく伝えたい想いが編集者としてありました。本になった途端にそのパワーが薄まったり、つまらなくなるのはもったいないし、良くないと思うんです。そこをつなげるのが編集者の仕事で、勝負だったんですね。著者と編集者の粘りが、この本の広まりの最終型を決めるんだろうなと考えていました。口述筆記なしで、先生に「とにかく書いてください」とお願いしました。先生はそれを最後までやってくださった分、普遍性のある本が出来たんじゃないかと思います。最近の米倉先生の口癖は「弱小著者に弱小出版社でがんばっていこう!」とおっしゃってくれてますね(笑)」(三島さん)
「新しい資本主義をつくるというテーマが、はじまりでした。途中、いまの3分の1くらいの分量で先生が「これで本が出来るか」とおっしゃり、全然足りませんよ!というやりとりがありつつ。なんとか書いてもらい、分量が足りてきたのは良かったのですが、今度は一冊の本としての流れが弱かったときも苦労でした。そのときは、一本軸が必要だと先生も感じていらしていたので、何度も打合せをしてました。ときに、先生から「おまえ考えろ!」って無茶ぶりをされたりしながら(笑)、最後の最後にタイトルが出てきました」(三島さん)
パラダイム・チェンジ、ジャパン・ウェイ、新しい資本主義、モデルJ、イノベーションJ・・・ 書名の候補が出ては消え、出ては消えするなか、『創発的破壊』に決まったのはかなりギリギリのタイミングだったそう。通常一冊の書籍が完成するまでに、早くて半年、大体1年くらいかかるそうですが、米倉先生の場合はなんと2年の月日を費やしたといいます。
「読みすぎて、分からなくなってしまいました。新しく入ってきた原稿もそこだけ読んでいると良いのですが、前後の関係を冷静にみれなくなっていたり。人生ではじめてこんなに一つの文章を何度も読んだというくらい、悪戦苦闘しました」(星野さん)
実際の細かいやりとりの話を伺っていると、米倉先生vs編集者とでもいう、静かなるも激しいバトルが繰り広げられていたそうで。
「パワフルですよね。お会いすると元気になれるし、気持ちがノリます。先生の講演を聞いた方達が口々にいう、”先生のパワー”。それをうまく伝えたい想いが編集者としてありました。本になった途端にそのパワーが薄まったり、つまらなくなるのはもったいないし、良くないと思うんです。そこをつなげるのが編集者の仕事で、勝負だったんですね。著者と編集者の粘りが、この本の広まりの最終型を決めるんだろうなと考えていました。口述筆記なしで、先生に「とにかく書いてください」とお願いしました。先生はそれを最後までやってくださった分、普遍性のある本が出来たんじゃないかと思います。最近の米倉先生の口癖は「弱小著者に弱小出版社でがんばっていこう!」とおっしゃってくれてますね(笑)」(三島さん)
「ジャスミン革命は具体的に創発的に動きが起こる事で起きた革命なんですよね。『創発的破壊』は、そのジャスミン革命を定義づけた、はじめての本じゃないかなと思います。イノベーションと一環しておっしゃる先生の著書は、世代を超えて、これからの指針となる一冊です」
そう語る代表の三島さんは、米倉先生とは編集を担当した『ジャパニーズ・ドリーマーズ』(2002年)以来のつきあいとか。かつて「世界進出のため」と書いた辞表を提出し、革命の空気を感じたいがために、ポーランドやチェコ、スロバキアなどを旅した経験をもつ異色の(?)編集者さん。当日着ていたTシャツはチェ・ゲバラならぬ、チェ・ミシマTシャツ!というその熱き魂は、熱き男である米倉先生とのつながりを感じさせます。さて、そんな方が経営する会社とはどんなものなのでしょうか?
「ミシマ社はいろんな方のおもしろい本、うちしかつくれない本、を作っていきたいと思っていて、"小さな総合出版社”と銘打って、ノージャンルでやっています。本の作り方をよく聞かれるのですが、(ルールや指針みたいなものが)1個あるとすると、「思いや魂をつめこむ」こと。著者とはすさまじくよい本をつくる。デザイナーさんにはすさまじくいいデザインしてほしい。また、ミシマ社の理想は、著者、出版社、本屋、読者が一直線につながることでもあります。読者に一番近い距離にいるのが本屋さんなので、本屋さんが面白い!と思ってくれるのも大切です。そして、本が面白いといってくれる人が増えれば良い。それだけなんです」
ビジネス書、レシピ本、プロレス本とジャンル問わず、まったく新しい視点だったり、面白い切り口をもつ書籍ラインアップに加えて、書籍に封入される手書きの書籍案内、顔に”ミシマ”と書かれたほがらか系のキャラクター。既成の枠にとらわれないミシマ社は、イノベーティブでありつつも、「本」がもつ本来の可能性を信じて出版をつづける、原点回帰の会社でした。
そう語る代表の三島さんは、米倉先生とは編集を担当した『ジャパニーズ・ドリーマーズ』(2002年)以来のつきあいとか。かつて「世界進出のため」と書いた辞表を提出し、革命の空気を感じたいがために、ポーランドやチェコ、スロバキアなどを旅した経験をもつ異色の(?)編集者さん。当日着ていたTシャツはチェ・ゲバラならぬ、チェ・ミシマTシャツ!というその熱き魂は、熱き男である米倉先生とのつながりを感じさせます。さて、そんな方が経営する会社とはどんなものなのでしょうか?
「ミシマ社はいろんな方のおもしろい本、うちしかつくれない本、を作っていきたいと思っていて、"小さな総合出版社”と銘打って、ノージャンルでやっています。本の作り方をよく聞かれるのですが、(ルールや指針みたいなものが)1個あるとすると、「思いや魂をつめこむ」こと。著者とはすさまじくよい本をつくる。デザイナーさんにはすさまじくいいデザインしてほしい。また、ミシマ社の理想は、著者、出版社、本屋、読者が一直線につながることでもあります。読者に一番近い距離にいるのが本屋さんなので、本屋さんが面白い!と思ってくれるのも大切です。そして、本が面白いといってくれる人が増えれば良い。それだけなんです」
ビジネス書、レシピ本、プロレス本とジャンル問わず、まったく新しい視点だったり、面白い切り口をもつ書籍ラインアップに加えて、書籍に封入される手書きの書籍案内、顔に”ミシマ”と書かれたほがらか系のキャラクター。既成の枠にとらわれないミシマ社は、イノベーティブでありつつも、「本」がもつ本来の可能性を信じて出版をつづける、原点回帰の会社でした。
関連情報
9/28(水)には、米倉教授「創発的破壊」2時間講義を行います。
米倉誠一郎(日本元気塾塾長/一橋大学イノベーション研究センター長・教授)
ビジネスも、政治も、これまでの延長線上ではなく、全く新しいものを生み出すためには発想の転換が必要です。今必要なことは、日本や世界の歴史的な転換点で何が起きたのか、を知ること。そこには必ず、日本の未来をつくるイノベーションのヒントがあるはずです。
本セミナーは、米倉教授が「創発」をテーマに語る“日本元気塾のオープン講座”ともいうべき2時間講義。新しいイノベーションはどこから生まれるのか、大きなパラダイムチェンジ(思考の枠組みの大転換)のきっかけはどこにあるのかを探ります。
創発的破壊 未来をつくるイノベーション米倉誠一郎
ミシマ社
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