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ソーシャルメディアがもたらす「情報透明化社会」とは?

~メディア学者ジョン・キムさんにお話いただきました~

ライブラリートーク

【ライブラリートーク・レポート】
「逆パノプティコン社会の到来」
~北アフリカのソーシャルメディア革命に見る完全透明化社会への潮流~
スピーカー:ジョン・キム(慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科准教授)
2011年4月27日(水)開催

スピーカーのジョン・キムさん(慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科准教授)
スピーカーのジョン・キムさん(慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科准教授)
2011年1月25日にエジプトで起きた反政府デモは、1万人を超えていたと言われています。チュニジアのジャスミン革命に触発された形で起きたこの一連の連鎖デモは、市民が民主主義を勝ち取るために、Facebook、ツイッター、ウィキリークスのなどのソーシャルメディアが多く使われ、世界中に衝撃を与えました。

今回のライブラリートークでは、これらのソーシャルメディアがこれからの私達の社会にどのような影響をもたらすのか、メディア学者のジョン・キムさんにお話いただきました。

キムさんは、今回のウィキリークスやフェイスブック革命などから「逆パノプティコン社会」が到来しているのではないかと話します。
パノプティコンとは、中心が監視施設となっており、そこから周囲の全てが監視できるようになっている、円形の建物のことです。監視施設を中心に、囚人棟が放射状に配置され、全てが見渡せるように設計されています。「逆パノプティコン社会」とは、看守塔にいるのは市民であり、監視されるのは政府であるという構図です。

ディスカバーブッククラブと六本木ライブラリーのコラボレーション企画として開催
ディスカバーブッククラブと六本木ライブラリーのコラボレーション企画として開催

ソーシャルメディアの台頭により、従来の力の関係性が変わってきていることを示します。情報の独占は長らく、政府や大企業によって行われてきましたが、情報が透明化することによって、その権力や権威は弱くなるとキムさんは話します。ソーシャルメディアによって市民による新しい権威が構築されているのではないでしょうか。

今回の東日本大震災でも、既存のマスメディアでは放送されない情報がツィッターを通じて流れたり、Ustreamで解説する研究者に注目が集まるなど、ソーシャルメディアを通じて個人が発信した情報が広がりました。政府からの情報についても注目が集まるなど、国民の情報への関心が高まったように感じます。キムさんが話す「逆パノプティコン社会」に日本も近づいているのかもしれません。

キムさんから、昨今のソーシャルメディアに関わるニュースや事例をご紹介いただくことによって、現代社会における情報の威力について、そして情報透明化社会の表と裏を知ることが出来ました。詳しく知りたい方はキムさんの著書『逆パノプティコン社会の到来』(ディスカヴァー21) を是非ご覧ください。

次回のディスカバーブッククラブとのコラボイベントは2011年5月20日(金)に『ダ・ヴィンチコード』の翻訳家、越前敏弥さんにお越しいただき、楽しい翻訳の世界をテーマに開催します。そちらもお楽しみに!

関連書籍

ジョン・キムのハーバード講義 ウィキリークスからフェイスブック革命まで逆パノプティコン社会の到来

ジョン・キム
ディスカヴァー・トゥエンティワン

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