六本木ヒルズライブラリー

2021年 年間ベストセラー




終わりの見えないコロナに始まり、東京オリンピック、あるいは衆議院選挙……2021年もまた変化の多い年でした。新しい書籍が日々入荷されるライブラリーの新刊書棚からは、そんな世相が垣間見えるかもしれません。ご自宅などで心ゆくまでお読みいただけるよう、一割引きにて販売しておりますが、数多く購入いただいたタイトルは、メンバーの方々の「注目作」。
2021年の年間ベストセラーから、7冊をご紹介いたします。

医薬品業界のしくみとビジネスが
これ1冊でしっかりわかる教科書松宮和成 / 技術評論社
この一年ほど「医薬品」のことを考えた年はなかったのではないでしょうか。コロナ対策の柱として全国で始まったワクチン接種。コロナワクチンは各国企業がこぞって開発を競い合い、その在庫確保や管理方法は日夜ニュースに取り上げられました。
本書はそんな医薬品の裏側に迫る格好の入門書。国内製薬会社の配置図から、ドラッグストアにおけるビジネスの世界に至るまで、医薬品業界の必須知識を網羅しています。バイオベンチャーの事業戦略といった経営視点も充実しており、薬剤師のように業界で働く方だけではなく、「医薬品業界」に関心のある一般の方にもためになる情報が満載。
パンデミックに限らず、各国で高齢化社会という問題と向き合う人類は、今後ますます病と共に、そして「医薬品」と共に、日々の生活を送っていくことになるでしょう。そんな未来を知るための足掛かりとして、最適の一冊です。

運気を引き寄せるリーダー 七つの心得
危機を好機に変える力とは田坂広志 / 光文社
ドイツを16年にわたって率いたメルケル首相はまさにヨーロッパの「リーダー」として印象に残っています。日本においても、昨年は菅義偉首相の退陣から衆議院選挙へと、多くの人が日本の「リーダー」について思いを巡らせる一年となりました。
コロナによって経済、社会が大きなダメージを受けた今、必要とされる「リーダー」像とはどのようなものか? 著者が注目するのは、ずばり「運気」です。一見無根拠に思える概念ですが、心理学や量子科学の観点から再考する本書では、今までにない「運気論」が展開されています。
「肯定する力」や「瞑想」の技術をアップデートし、「強運」を確実に手にする。曖昧な精神論から、より具体的な思考法へ。その先に、困難な世界を切り拓くリーダーの真髄があるのです。経営者や指導者ではない方こそ、この一冊であなたの「運気」が変わるかもしれません。

M&A 失敗の本質人見健 / ダイヤモンド社コロナによって景気が落ち込み、経済成長もままならない日本。残念なことに、世界市場に後れを取り始めている業界は少なくありません。そんな時、好機となるのがM&A。他社の力を取り込み、自社の強みを磨く「合併と買収」です。
しかし、日本企業のM&Aのほとんどは失敗であることをご存じでしょうか。300件以上のM&A案件を手掛けてきた著者によれば、その原因にあるのは日本企業の古い価値観や行動様式。M&Aありきの曖昧な目的、自己保身、経営者思考の欠如……本書では数多くの実例から、失敗の本質を明らかにします。
経営戦略から人事育成のレベルに至るまで、本書には日本企業の陥りやすい「躓き」が一つ一つ指摘されています。とはいえ、悲観することはありません。注意すべきポイントを把握し、M&Aの要である「自己変革」を恐れなければ、必ず「真の成功」が待っています。まずは、その第一歩として、本書を手に取ってみてはいかがでしょうか。

教養としてのお金とアート
誰でもわかる「新たな価値のつくり方」山本豊津、田中靖浩 / KADOKAWA
昨今話題を呼んでいるNFTをはじめとして、「アート」と「お金」の関係はますます緊密になっています。ビジネスマンの基礎教養としてアートの重要性が高まっているだけではなく、アーティストの側から見たお金との関係もまた、無視できないものになっているのです。
歴史をたどれば、ルネサンスの芸術家たちを支えたのも富豪たち。アートは常にお金によって支えられ、想像以上の価値を生み出す一つの「投資」となっていました。公認会計士と東京画廊の代表、まったく異なる二人が語り合う本書は、知識としてのアート、経営のためのビジネス論を超え、芸術と価値の本質に迫ります。
ビジネスパーソンの間で語られる「アート思考」とは一体何か。市場に組み込まれたアートが向き合うべき「価値」と「評価」の違いとは。芸術からイノベーションの鍵を引き出す本書は、アートを全く知らないという方にもおすすめです。

サクッとわかるビジネス教養
行動経済学阿部誠 / 新星出版社
みなさんは、行動経済学をご存じですか? 1970年代に生まれた新しい学問分野ですが、ノーベル賞を受賞した研究者はすでに三人。個人の心理を対象にした経済学のことです。しかし、実はこれ、「マーケティング」のこと。行動経済学とは、消費者としての我々が、どのような判断をもとに意思決定をして、行動するのか、学問的に解き明かそうとするものなのです。
つまり、行動経済学をご紹介する本書は、「マーケティング」における秘密が盛りだくさん。人は損得を合理的に見分けられない? 人の行動を管理する「デフォルト」の力! などなど、営業職にも企画職にも生かせる、様々な視点が分かりやすい図解と共に語られています。
行動経済学は人間の非合理的な判断を把握し、人間を良い方向に導く学問です。顧客を誘導するマーケティング手法に留まらず、部下のマネジメントや自分自身の自己実現にも役立ちます。本書には必ずあなたに「効く」、ビジネスの実践的なヒントがあるはずです。

売上1000億円超! 海外営業のプロが教える
世界基準のビジネス英語表現原一宏 / アルク
本当にビジネスで使える英語とは何か。TOEICのような資格試験では点数が良いのに、意外とビジネスの現場では英語が通じない、という経験のある方は、少なくないのではないでしょうか。本書はまさにそんな方のために書かれた、どこまでもリアルで実践的な英語学習本。
30年間の海外営業をこなしてきた著者は、あくまで日本育ちです。それゆえ、身近な失敗談や共感できるエピソードも多く、それが現場で役立つフレーズと単語に紐づいて紹介されています。基本的な単語から、実際の商談を経験しなければ出会わないようなイディオムまで、世界基準のビジネス英語が本書には満載です。
海外に出張せずとも、オンラインで英語を話す機会が増えつつある昨今。苦手意識を克服し、英語力を武器にするために必携の一冊になるかもしれません。

モダンExcel入門
データ分析&可視化の新しい教科書村井直志 / 日経BP
統計、分析、可視化。近年はデータをいかに管理し、経営に役立てるかが、ビジネスにおいて大きな差を生み出す要因となっています。しかし、専門知識や特別なアプリケーションが必要なのでは? そんな不安を一蹴するのが、本書の紹介する「モダンExcel」です。
プログラミングスキルは必要ありません。普段から使っているExcelを応用するだけで、簡単にデータ分析はできるのです。モダンExcelでデータを可視化する「経営ダッシュボード」を作ってしまえば、データの絞り込みや更新も全自動。経営管理がこれまでになく効率化できることでしょう。
本書は練習のためのサンプルデータもダウンロードが可能。基本的な操作方法を学ぶうちに、ご自分の業務に応用できる機能が、きっと見つかるはずです。モダンExcelの可能性に触れてみてはいかがでしょうか。


ある意味、コロナが日常となった2021年。この混乱を抜け出した先で、どのように行動し、発展していくのか、未来を考えるために必要な実践的な本が多く手に取られたようです。2022年はいったい、どのような書籍が我々を導いてくれるのでしょうか。
ライブラリーの書籍では、オールジャンルの新刊を取りそろえ、みなさまのお越しをお待ちしております。


医薬品業界のしくみとビジネスがこれ1冊でしっかりわかる教科書

松宮和成
技術評論社

運気を引き寄せるリーダー 七つの心得

田坂広志
光文社

M&A 失敗の本質

人見健
ダイヤモンド社

教養としてのお金とアート

山本豊津、田中靖浩
KADOKAWA

サクッとわかるビジネス教養 行動経済学

阿部誠
新星出版社

世界基準のビジネス英語表現

原一宏
アルク

モダンExcel入門

村井直志
日経BP