六本木ヒルズライブラリー

地図の向こうに世界が見える

~ 世界と歴史を知る6冊 ~

更新日 : 2021年02月10日 (水)





人類が文字よりも先に発明した表現手段、それは地図です。現存する最古の世界地図は紀元前600年頃のバビロニアで作られ、それから何千年にもわたり、数多の地図が作られてきました。
時代が経つにつれ、どれほど「正確」な地図が作られても、そこには何を省略し、何を記号化するかという製作者の意図、さらには世界の「見方」が反映されています。百の地図があれば、百の世界の見方があるのです。
今回はそんな「地図」にまつわる六冊の本をご紹介いたします。


地図の博物図鑑ベッツィ・メイソン 、グレッグ・ミラー 地形図、市街図、軍用地図、それからテレビドラマに映る小道具の地図まで、300点を超える古今東西の地図を載せた地図図鑑。一枚の地図が作られるまでに、どのような発明、努力、技量が必要だったのか、地図作りの裏側まで取材した本書は、あらゆるものを地図にしてきた人類の歴史を次々と明らかにしていきます。地図好き必見の一冊です。

宇宙を回す天使、月を飛び回る怪人
世界があこがれた空の地図エドワード・ブルック・ヒッチング
どうやっても人類がたどり着けなかった世界の地図……それは天空の地図でした。惑星の配置図や月面世界、あるいは雲の上の海の地図。そこには想像と観測によって築かれた驚くべき世界があります。古代の天文学から21世紀の惑星探査まで、空を巡って人類が繰り広げた空想と科学の歴史を、美しい図版と共に辿ってみませんか?

地名の世界地図
21世紀研究会
地図を語る上で切っても切れないのが「地名」です。世界各地で名づけられた地名には、土地の成り立ち、歴史、あるいはそこに暮らす人々の想いが込められています。たとえば、ナポリは「ニュータウン」、リオデジャネイロは「一月の川」、ナイル、インダス、ドナウは全て「川」。世界地図の地名を知れば、人類の5000年にわたる歴史が見えてきます。

最新世界紛争地図パスカル・ボニファスアフガニスタン、トルコ、ウクライナ……21世紀に入って以来、世界各地で紛争や武力衝突が勃発しています。外国の影響を受けて発生し、激化するこれらの危機は国際社会とも密接な関わりを持ち、私達と決して無関係ではありません。本書は、今、現在進行形で起きている紛争をまとめ、その背景から予測されるシナリオ、その対策までを解説した「最新」の世界地図です。

地図で読むアメリカジェームス・M.バーダマン他民族国家であり、様々な価値観、文化が寄り集まった国アメリカ。移民や信仰、あるいは産業といった観点から50の州を10の地域に分けて見てみれば、その歴史や経済状況の多様さにきっとあなたも驚くはず。決して一面からは捉える事の出来ない「全アメリカ」の景色……今なお連帯と分断に揺らぐ大国の「ほんとうの姿」が、ここにあります。

地図で楽しむ本当にすごい千葉都道府県研究会東京の右隣、人口600万を超えるベッドタウンでありながら、意外と知られていない「千葉県」に迫ります。地質学界隈で話題となったチバニアンから、幻となった成田新幹線まで、観光やスポーツ、所得に教育……あらゆる千葉県の情報をまとめて地図から読み解く本書は、千葉県民の方も驚きの新しい千葉の姿を教えてくれるはずです。

GoogleMapで待ち合わせ場所に向かい、食べログのマップでお店を探す、そんなことが当たり前となった現代は、もしかすると歴史上最も人類が地図を見ている時代なのかもしれません。当たり前だからこそ見過ごしてしまう地図に刻まれた「世界」と「歴史」を、今一度見つめ直してみてはいかがでしょうか。


地図の博物図鑑

ベッツィ・メイソン 、グレッグ・ミラー
日経ナショナルジオグラフィック社

宇宙を回す天使、月を飛び回る怪人

エドワード・ブルック・ヒッチング
日経ナショナルジオグラフィック社

地名の世界地図 カラー新版

21世紀研究会
文藝春秋

最新世界紛争地図

パスカル・ボニファス
ディスカヴァ−・トゥエンティワン

地図で読むアメリカ

ジェームス・M.バーダマン : 森本豊富
朝日新聞出版

地図で楽しむ本当にすごい千葉

都道府県研究会
宝島社