六本木ヒルズライブラリー
【ライブラリーイベント】開催レポート
自分を表現する印象学
更新日 : 2018年03月19日
(月)
突然ですが、「0.5秒」は何を表す時間かおわかりですか?実は、人が誰かに一目惚れするの必要な時間なのだそうです。これは、アメリカの心理学のある研究結果によるもので、私たちは五感を使って色々な判断をしていますが、五感の中でも視覚から得る情報が全体の8割ほどを占めているのだそうです。そんな大事な「印象」をトータルにコンサルティングするプロフェッショナル、国際イメージコンサルタントの石川陽子さんをお迎えして、お話を伺いました。
石川 陽子(いしかわ ようこ)
国際イメージコンサルタント
一目ぼれの他にも、他人に魅力を感じたり、この人と仲良くなるんじゃないか?といような判断に人は0.5秒ほどしかかからないのだそうです。石川さんによると、その判断の元となる印象を作り出しているのは、服装やカラーコーディネイト、表情、姿勢、立ち振る舞い、話し方などで、人に与えるそれぞれのイメージをコントロールすることで、より良いコミュニケーションを目指したり、仕事に役立てたりすることが可能だと言います。
このような印象に関わってくる『Appearance=外見、表情、Behavior=立ち居振る舞い、行動、Communication=話し方、聞き方』の3つの要素は、「印象を上げるABC」と言われているそうです。
>まずは自分の印象を知ることから
まずは、ウォーミングアップ。この日の参加者のほとんどが初対面でしたが、隣の人同士で相手の職業や趣味、家族構成、出身地などを受けたイメージから想像して伝え、さらに相手の素敵な部分、必ずポジティブなこと1つをお互いに言い合ってもらいました。最後にはお互いに自己紹介をして種明かしします。当たっている部分、当たっていない部分は人それぞれですが、自分の印象を客観的に知ることが出来て、自分自身についての新たな発見となったようです。
>印象は最初が肝心
では、なぜ第一印象が大切なのか?コンビニで商品を買う時など、商品裏の詳細な情報よりボトルのデザインなどの第一印象で購入を決めてしまう事も多いものです。これを自分自身に置き換えると、見た目の印象は自分のロゴマークのようなもので、とても大事であることが容易にわかります。
さらに心理学では、初めに受けた印象をずっと引きずってしまう「初頭効果」と言う人間の特性があるそうです。最初に印象がよければ、次に違う印象を受けても今日は調子が悪いのかも?とポジティブに受け取り、最初に受けた印象が優先されるのだそうです。逆に最初の印象が悪いと、6~7倍の良いことをしない限り第一印象は変えられないと言います。
学生時代なら最初に印象が悪くても在学中に時間をかけて関わりを持っていくことで、最初の印象を変えていくことも可能ですが、これがビジネスとなると、一度しか会わない場合や一人にじっくり時間をかけることも難しくなるので、第一印象をを良くすることは、仕事上でもプライベートでもとても大事になってきます。
そして、印象のコントロールが上手な方として小池都知事を例に挙げていただきました。緑というカラーには、調和、リーダーシップ、バランス感覚という心理的効果があるそうですが、この緑色の服や小物を毎回身につけてメディアに登場することで、私たちの脳に、その心理的効果が刷り込まれていくのだそうです。
▼印象を良くするためには?
>理想と現実のギャップを埋める
最初のペアワークでは、自分の印象が自身の思っていたことと大きくかけ離れてる人もいたようですが、その印象を良くするための方法をいくつかご紹介いただきました。
まずは、自分のありたい姿、理想の自分をイメージします。理想の自分がぱっと思い浮かばなければ、自分の印象として言われたら嬉しいと思う言葉を10個以上書き留めます。この作業をすると自分がどうなりたいか?どう見られたいと思っているかといことがわかるのだそう。
そして、自分のありたい姿がイメージ出来たところで、先ほどペアワークでの知り合う前の人からの意見などを参考にして現状を把握して、そのギャップを埋めようと意識していくと少しずつありたい姿に近づいていくのだと言います。
>外見を変えると気持ち的な自信にも
また、石川さんがコンサルテーションのお仕事として依頼される際には、あえていつもと外見を変えて写真撮影をすることもあるそうです。決して外見を変えることがすべてではないとした上で、外見をいつもと変えることで、毎日見ている自分への自身の認識が変化し、それに伴って周りからの評価にも変化がでてくる、だんだんと自信がついてくるというポジティブなスパイラルになっていくのだそう。
これまでに、そんな風にしてどんどん積極的に変化されていく事例を実際に数多く見てこられたそうです。
>服装以外で印象を変える
もちろん、服装以外でも表情や姿勢などで印象を変えることも可能です。例えば、背の小さい方はジェスチャーを大きくすると背の低さを感じさせず大きく見えると言いますし、視線も大事です。一対一で話す時には相手の目を見て話すことに心掛けたり、プレゼンなど人前で話すときには、一点だけでなく色々なところに視線を向けながら話すと印象が良くなります。
さらに距離感にも注意が必要です。パーソナルスペースをどう取るか?それは、お互いの関係性によっても大きく変わってくると思いますが、どのくらいの距離感が適切かを判断する事も印象に大きな影響を与えると言います。
>印象アップの簡単トレーニング
印象アップのために、すぐにでも取り入れられるのは表情で、口角を上げるだけでも人に与えるイメージは数段上がります。注意するのは、口角を上げる際には口だけでなく、頬に力をいれて頬から上げるようにすると目も笑って見えるそうです。
他にも、相槌を打ったり、優しい表情で「ちゃんと聞いてますよ」という意思を示し、相手の話に興味があるということを前面に出すことで、驚くほど話が進むのだと言います。当たり前のことのように思いますが、プライベートはさておいても、職場において上司や部下の話を聞く際に、本当にできているか?ということを自問自答してみてください。改めて聞く姿勢に気をつけてることは、印象アップにとても効果が高いと言います。
日本語は他の言語に比べて、比較的表情筋を動かさなくても話せる言語なので、外国人からみると、日本人は無表情だと思われるがち。そのため、人前で話す前などは顔を動かしてから話すなどするとよいということで、簡単な顔ストレッチ方法をレクチャーしてただきました。
口や目、顔全体を極端に動かして「おー・んー・あー・いー・うー」と、一音ずつはっきりと大きな声で口にだします。ちょっと人前では恥ずかしいですが、顔の筋肉がほぐれて表情も良くなり、声も通りやすくなってリラックス効果もあるのでプレゼン前などに是非試してみてください。
石川さんが最初にイメージコンサルタントの勉強を始めたときに、この日と同じ第一印象のワークを体験したところ、自分の印象が自分の思っているものと大きく違っていることに初めて気がつき、とてもショックを受けたのだそうです。その後、自分がどう見られているのかを把握して、将来の自分のありたい姿を明確にして、自分の表現の仕方を勉強したそうです。
比較的小柄な方でありながら、カラダに合ったパンツスーツをすらりと素敵に着こなして、活舌良く堂々とお話しくださる石川さんは、実際よりとても背が高い方という印象を受けました。このように印象は上手にコントロールできるものなのだなと痛感する説得力のあるセミナーでした。
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