六本木ヒルズライブラリー
建築とアートの聖地「直島」~地域と歩んだ20年&直島の楽しみ方~
Roppongi Learning Community 2012年6月の定例会
メンバーズ・コミュニティ
更新日 : 2012年10月12日
(金)
開催日 2012年6月15日(金)19:00~21:00
今やいくつもの雑誌で特集が組まれるアートの聖地「直島」。2000年には「コンデナスト・トラベラー」というアメリカの旅行誌で「次に見るべき世界の7つの地」として紹介されるなど、海外からの注目も集まっています。
かつて過疎化と産業廃棄物に悩まされていた直島が、アートの聖地としての今の姿になるまでには、元町長であった三宅親連氏と福武書店(現 ベネッセ・コーポレーション)、そして地域住民によって築き上げられた20年の歳月がありました。
本定例会では、株式会社 直島文化村 代表取締役の堤雅之氏をゲストスピーカーに迎え、ベネッセアートサイト直島の活動が、地域の中でどのように展開されてきたのか、これまでの20年を探りながら、直島の魅力をレクチャーしていただきました。
かつて過疎化と産業廃棄物に悩まされていた直島が、アートの聖地としての今の姿になるまでには、元町長であった三宅親連氏と福武書店(現 ベネッセ・コーポレーション)、そして地域住民によって築き上げられた20年の歳月がありました。
本定例会では、株式会社 直島文化村 代表取締役の堤雅之氏をゲストスピーカーに迎え、ベネッセアートサイト直島の活動が、地域の中でどのように展開されてきたのか、これまでの20年を探りながら、直島の魅力をレクチャーしていただきました。
☆レクチャー内容
1.直島の紹介
・香川県直島町
・面積:本島約8㎢
・人口:約3,300人 (一番多い時で7,800人/1960年代)
※毎年、年間約20万人のゲストが訪れる。2010年の瀬戸内国際芸術祭の年歳には93万人のゲストが来島。海外ゲスト比率20%(1位:アメリカ 2位:韓国 3位:フランス)。
・産業:工業中心 漁業(はまち、海苔などの養殖業も盛ん)
※島の方は自分で魚を釣るので、島内には魚屋がないそうです。
2.直島のまちづくり (三宅元町長の構想/1959年~直島文化村構想/1989年)
連続9期当選36年在職という記録をもつ三宅親連氏(在任1959~1995年)が長年にわたり直島町長として町づくりに尽力。三宅元町長の構想により、島内を3つのエリアに分け発展を目指しました。
・北部:三菱マテリアル直島製錬所を中心とした産業エリア
大正時代から銅の製錬所として約90年にわたって操業。
・中央:生活&教育エリア
「産業の少ない島だから、子供たちはいずれ都会に出て行ってしまう。その時に都会出身の子供たちにまけないような文化的な環境を用意したい」という三宅元町長の考えにより建築家の石井和紘氏の設計による学校(幼稚園・小学校・中学校)が建立されました。
・南部:瀬戸内国立公園を活かした文化・リゾートエリア
直島南部一帯を総合的に「清潔・健康・快適」な観光地として開発したい!という三宅元町長の構想により、一緒に取り組めるパートナーを模索していたところ、岡山出身であるベネッセコーポレーション創業社長、福武哲彦氏の「瀬戸内海の島に世界中の子供が集い、楽しめるキャンプ場をつくりたい」という夢が合致。1985年より直島町とベネッセがタッグを組む事となり、1988年「直島南部一帯を人と文化を育てるエリアとして創生する」との「直島文化村構想」が発表されました。
3.子供たちのキャンプ場(1987年~2005年)
1987年より小学校高学年の子供を対象とした「チャレンジ・ザ・サマーin直島」(1987年~1999年) を開催。
1989年には建築家の安藤忠雄氏監修のもと、パオ+テント施設を有する「直島国際キャンプ場」(1989年~2005年)を設置。
多くの子供たちに、直島の自然を楽しみつつ他の子供たちと触れ合いながら成長する機会を提供する場となりました。
4.ベネッセハウスと現代アート(1992年~)
「“自然”と“アート・建築”と“人”をコンテンツとし、“Benesse(よく生きる)”を考え、体験する場所を創る」をテーマに、ベネッセハウス ミュージアム(1992年 設計:安藤忠雄/現代美術館+ホテル)、1995年 ベネッセハウス オーバル(1995年 設計:安藤忠雄/ホテル)が建設され、「現代アートの島」へと徐々に変貌していきました。
(1)直島のアートのキーワード
・sitespecific work:場(site) 固有の(specific)作品(work)
瀬戸内の景観と現代アート
安藤忠雄の建築空間と現代アート
・commission work
依頼をして(commission)作り出された作品
⇒南瓜(草間彌生) 三枚の正方形(ジョージ・リッキー)etc
(2)地域と現代アート
“Benesse(よく生きる)”を考える上で必要なコンテンツを「自然」「アート・建築」「人」+「歴史」「生活」と定義。「“在るものを壊し、新しいものを創る”から“在るものを活かし、無いものを創る”へ」をテーマとした取り組みが始まった。
・家プロジェクト
直島、本村地区に残る古い民家を修復・保存・復元させながら、現代美術の空間として再生させるプロジェクト
第1期:1997年~2001年 4軒 (角屋 Sea of Time’98 南寺など)
第2期:2006年~2007年 3軒
(3)さらなる深化を
2004年、地中美術館(設計:安藤忠雄)の運営を開始。安藤忠雄、クロード・モネ、ジェームズ・タレル、ウォルター・デ・マリアの4名の芸術家による直島におけるアートの核が誕生。2006年にはベネッセハウス パーク&ビーチ(設計:安藤忠雄)もオープンし、「よく生きるとは何か」をじっくり考えるための時間を提供する場が生まれた。
(4)地域での出来事
島内での様々な動き
・屋号プロジェクト(屋号表札&屋号マップ)
・トイレボランティア(ボランティアで島民の方の家のトイレを貸していただけます)
・観光案内ボランティア
その他、カフェや飲食店、民宿などオープン。
・・・・ゆっくりと島民の方との話し合い、住民も参加してのアートプロジェクト等を経ながら、拡大を続けています。
・香川県直島町
・面積:本島約8㎢
・人口:約3,300人 (一番多い時で7,800人/1960年代)
※毎年、年間約20万人のゲストが訪れる。2010年の瀬戸内国際芸術祭の年歳には93万人のゲストが来島。海外ゲスト比率20%(1位:アメリカ 2位:韓国 3位:フランス)。
・産業:工業中心 漁業(はまち、海苔などの養殖業も盛ん)
※島の方は自分で魚を釣るので、島内には魚屋がないそうです。
2.直島のまちづくり (三宅元町長の構想/1959年~直島文化村構想/1989年)
連続9期当選36年在職という記録をもつ三宅親連氏(在任1959~1995年)が長年にわたり直島町長として町づくりに尽力。三宅元町長の構想により、島内を3つのエリアに分け発展を目指しました。
・北部:三菱マテリアル直島製錬所を中心とした産業エリア
大正時代から銅の製錬所として約90年にわたって操業。
・中央:生活&教育エリア
「産業の少ない島だから、子供たちはいずれ都会に出て行ってしまう。その時に都会出身の子供たちにまけないような文化的な環境を用意したい」という三宅元町長の考えにより建築家の石井和紘氏の設計による学校(幼稚園・小学校・中学校)が建立されました。
・南部:瀬戸内国立公園を活かした文化・リゾートエリア
直島南部一帯を総合的に「清潔・健康・快適」な観光地として開発したい!という三宅元町長の構想により、一緒に取り組めるパートナーを模索していたところ、岡山出身であるベネッセコーポレーション創業社長、福武哲彦氏の「瀬戸内海の島に世界中の子供が集い、楽しめるキャンプ場をつくりたい」という夢が合致。1985年より直島町とベネッセがタッグを組む事となり、1988年「直島南部一帯を人と文化を育てるエリアとして創生する」との「直島文化村構想」が発表されました。
3.子供たちのキャンプ場(1987年~2005年)
1987年より小学校高学年の子供を対象とした「チャレンジ・ザ・サマーin直島」(1987年~1999年) を開催。
1989年には建築家の安藤忠雄氏監修のもと、パオ+テント施設を有する「直島国際キャンプ場」(1989年~2005年)を設置。
多くの子供たちに、直島の自然を楽しみつつ他の子供たちと触れ合いながら成長する機会を提供する場となりました。
4.ベネッセハウスと現代アート(1992年~)
「“自然”と“アート・建築”と“人”をコンテンツとし、“Benesse(よく生きる)”を考え、体験する場所を創る」をテーマに、ベネッセハウス ミュージアム(1992年 設計:安藤忠雄/現代美術館+ホテル)、1995年 ベネッセハウス オーバル(1995年 設計:安藤忠雄/ホテル)が建設され、「現代アートの島」へと徐々に変貌していきました。
(1)直島のアートのキーワード
・sitespecific work:場(site) 固有の(specific)作品(work)
瀬戸内の景観と現代アート
安藤忠雄の建築空間と現代アート
・commission work
依頼をして(commission)作り出された作品
⇒南瓜(草間彌生) 三枚の正方形(ジョージ・リッキー)etc
(2)地域と現代アート
“Benesse(よく生きる)”を考える上で必要なコンテンツを「自然」「アート・建築」「人」+「歴史」「生活」と定義。「“在るものを壊し、新しいものを創る”から“在るものを活かし、無いものを創る”へ」をテーマとした取り組みが始まった。
・家プロジェクト
直島、本村地区に残る古い民家を修復・保存・復元させながら、現代美術の空間として再生させるプロジェクト
第1期:1997年~2001年 4軒 (角屋 Sea of Time’98 南寺など)
第2期:2006年~2007年 3軒
(3)さらなる深化を
2004年、地中美術館(設計:安藤忠雄)の運営を開始。安藤忠雄、クロード・モネ、ジェームズ・タレル、ウォルター・デ・マリアの4名の芸術家による直島におけるアートの核が誕生。2006年にはベネッセハウス パーク&ビーチ(設計:安藤忠雄)もオープンし、「よく生きるとは何か」をじっくり考えるための時間を提供する場が生まれた。
(4)地域での出来事
島内での様々な動き
・屋号プロジェクト(屋号表札&屋号マップ)
・トイレボランティア(ボランティアで島民の方の家のトイレを貸していただけます)
・観光案内ボランティア
その他、カフェや飲食店、民宿などオープン。
・・・・ゆっくりと島民の方との話し合い、住民も参加してのアートプロジェクト等を経ながら、拡大を続けています。
☆編集後記
60名近い聴講者一人一人に話しかける様にお話をしてくださった、直島文化村代表取締役社長の堤氏。堤氏が最も強調されたメッセージは「すばらしい建築やアートもすべては地域のよりよいコミュニティのためにある」というものでした。地方の過疎化が問題視され、過疎地での産業創造が命題となる中での本質を改めて定義し、体現しているのが直島であるように感じられました。
☆RLCについて
RLCでは毎月の定例会での活動の他、目的別に別れたspin-offスタディグループの活動が行われています。spin-offスタディグループとは、同じ分野について「勉強したい!」という意志を同じくする有志による勉強会です。現在活動するスタディグループは8つ。これまでに累計12のグループが活動してきました。
スタディグループには、MBA出願のためといった目的にフォーカスし英語で知識を研鑽するといったストイックなグループから、美術見学など一般的な教養を深めることを目的とした穏やかなグループ、1冊の本をみんなで仕上げる「夏季集中講座」等、内容・雰囲気・期間など多岐に渡っています。同時に「○○を一緒に勉強する仲間を集いたい」等、スタディグループの立ち上げも積極的に支援しています。スタディグループに関する情報は、RLC_MLにて配信中です。
MLへの参加をご希望になる方は、運営アドレス(rlc.academyhills@gmail.com)までお問い合わせください。
スタディグループには、MBA出願のためといった目的にフォーカスし英語で知識を研鑽するといったストイックなグループから、美術見学など一般的な教養を深めることを目的とした穏やかなグループ、1冊の本をみんなで仕上げる「夏季集中講座」等、内容・雰囲気・期間など多岐に渡っています。同時に「○○を一緒に勉強する仲間を集いたい」等、スタディグループの立ち上げも積極的に支援しています。スタディグループに関する情報は、RLC_MLにて配信中です。
MLへの参加をご希望になる方は、運営アドレス(rlc.academyhills@gmail.com)までお問い合わせください。
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