六本木ヒルズライブラリー
広報のプロが教える「成熟+ネット社会」におけるPR基本の「き」
Roppongi Learning Community 2012年5月の定例会
メンバーズ・コミュニティ
更新日 : 2012年06月26日
(火)
開催日 2012年5月26日(土)15:30~17:30
PR=Public Relations 丁寧に和訳すると「“目的や興味を共有する人の集まり”との“つながり”」。
グローバル化とITの普及により、ヒト・もの・お金・情報の流通スピードは飛躍的に増大しています。広大な情報の海の中で、「意中の相手に、自分の意を伝える」にはどうしたら良いのでしょうか?「自分(自社)の創ったものを買ってほしい」「ボランティアで行っている活動を知ってもらいたい」「社内での自分のシゴトを評価してもらいたい」・・・誰かと自分の間に橋を渡したいと思った時の効果的な「つながり」の作り方とは。
本定例会では、「つながり」をつくるプロ、複数の国際的ブランド企業で長年PRに従事されている清水良子さんを講師に迎え、PRの要についてお話いただきました。
グローバル化とITの普及により、ヒト・もの・お金・情報の流通スピードは飛躍的に増大しています。広大な情報の海の中で、「意中の相手に、自分の意を伝える」にはどうしたら良いのでしょうか?「自分(自社)の創ったものを買ってほしい」「ボランティアで行っている活動を知ってもらいたい」「社内での自分のシゴトを評価してもらいたい」・・・誰かと自分の間に橋を渡したいと思った時の効果的な「つながり」の作り方とは。
本定例会では、「つながり」をつくるプロ、複数の国際的ブランド企業で長年PRに従事されている清水良子さんを講師に迎え、PRの要についてお話いただきました。
1.コミュニケーションとは
コミュニケーションの目的は「人に必要なアクションを取ってもらうこと」です。言いっぱなしはコミュニケーションとは言えず、情報の受け手を考えてメッセージをつくり、送り出すことが重要です。
2.PRとマーケティング
混同されがちな「PR」と「マーケティング」。それぞれの意図は以下のように異なります。
・PR=純粋想起を意図するコミュニケーション
例:チョコレートといえば明治!明治のチョコが食べたい!→明治のチョコレートを買うために、わざわざコンビニに出向く(能動的なアクションを誘発する)
・マーケティング=助成想起を意図するコミュニケーション
例:明治、ロッテ、森永・・この中なら明治がすき!→スーパーのレジ前に並ぶ3社のチョコレートの中から明治を選ぶ(受動的なアクションを誘発する)
3.「愛される」ための戦略がPR
「あの人のこと、大好き。いつも考えちゃう!」(恋愛)・・・それがPRの基本です。人は、好きだからこそ「覚えている」「すぐ思い出す」もの。相思相愛になるための方法は、好きな人へのアプローチと同じです。具体的には
・誠心誠意、虚飾はなし
・美点をわかりやすくアピール
・競合比較は当たり前
・・・まるで婚活のセオリーのようですね。
4.スキルより中身が大事
3.をふまえて整理すると、PRの要は「とっておきの美点を重点訴求し、欠点は隠さない」ということです。これはネット民主主義のアプローチとも共通しています。もう少し平たく言うと以下のようにまとめられます。
・正直 is best policy:インターネットの普及で虚飾はすぐに明らかになってしまいます。虚飾が発覚してイメージダウンになるよりは、正直に言うことを選択するほうが合理的です。
・競合優位性がないならPRしない:情報化により比較が容易になっています。比較された結果負けてしまうのであれば、PRしない方が得策です。
・1000人中1人がファンならそれでいい:ニッチなファンを集めて1つの商圏に育てましょう。
5.PR文のスタイル
今回は、「一般的著述」「マーケティング的著述」「PR的著述」の3つの観点で文章を整理します。
・一般的著述:一般的な事象、データ、事実・概念などから対象を説明する
・マーケティング的著述:耳障りのよい言葉で修飾し、情報の受け手にポジティブな印象を持たせるように対象を説明する
・PR的著述:「とっておきのエピソード」「小ネタ」などを用い、情報の受け手と目線を合わせながら、論理的に対象の美点を説明する
6.演習
テーマは「自分の名前」もしくは「好きな食べ物」の2つから選択しPR文を作成し、発表をしていただきました。 当日の参加者を代表し、メンバーさんの演習課題を掲載させていただきました。
好きな食べ物:題材 「ホヤ」
1)一般的著述
東北地方では夏の味覚としてなくてはならないホヤですが、独特の臭いの為、好き嫌いがはっきり分かれ西日本に行くほど食したことのない人の割合が増えます。
宮城県牡鹿半島が主要な養殖の産地で、今回の大震災大津波で大きな被害を受けています。
2)マーケティング的著述
その形状から海のパイナップルと称され、平安初期から続く千年以上の「ほや文化」があります。独特の磯の風味が刺身、酢の物に合い、東北ならではの珍味です。
吸収の速い動物性炭水化物の供給源として貴重で、リン/鉄/亜鉛などのミネラルやビタミンE、B12を多く含み、カキと並ぶ優れた海産栄養品といえます。
3)PR的著述
オテル・ドゥ・ミクニ オーナシェフの三國清三氏は北海道であまり裕福とは言えない子ども時代に、浜辺で拾って食べたホヤによって五味「甘み、酸み、塩み、苦み、うまみ」を教えられたことで、使命感を持って食育活動に従事しています。
あなたも、「ミクニの舌で作ったフレンチを食べる前に、ミクニの舌を創った『ほや』を食べてみませんか」。
3つの文章の違いを感じていただけましたでしょうか?
この情報の受け手の感情・行動をそれぞれ想像してみると・・・
1)一般的著述:「なるほど。参考になるな~。」
2)マーケティング的著述:「おもしろい食べ物だな。機会があったら食べてみよう。」
3)PR的著述:「食べにいってみよう!」「東京だったらどこで食べられるのかな?googleで検索してみよう。」
自分(メッセージの送り手)が、情報の受け手にどのようなアクションを期待するかによって、メッセージの送り方を工夫することが大切であることがわかります。
7.定例会を終えて
20名超の盛況であったにも関わらず、とてもアットホームな雰囲気の中、PRの最前線でお仕事をされていらっしゃる講師の経験豊かなknowledge sharingをしていただきました。
今回の演習テーマに「自分の名前」があったことで、その方のお名前の由来やご両親の思いを聞かせていただいたりといったことで、メンバーをより身近に感じられる会になりました(これも「とっておきのエピソードや小ネタなどを用い、情報の受け手と目線を合わせせる」というPRのテクニックの1つです)。メンバーからは「PR技術の話よりも、ビジネスにおいてPRを使ったfacilitationが如何に重要かということを講師より教えてもらった」といった感想も寄せられました。
コミュニケーションの目的は「人に必要なアクションを取ってもらうこと」です。言いっぱなしはコミュニケーションとは言えず、情報の受け手を考えてメッセージをつくり、送り出すことが重要です。
2.PRとマーケティング
混同されがちな「PR」と「マーケティング」。それぞれの意図は以下のように異なります。
・PR=純粋想起を意図するコミュニケーション
例:チョコレートといえば明治!明治のチョコが食べたい!→明治のチョコレートを買うために、わざわざコンビニに出向く(能動的なアクションを誘発する)
・マーケティング=助成想起を意図するコミュニケーション
例:明治、ロッテ、森永・・この中なら明治がすき!→スーパーのレジ前に並ぶ3社のチョコレートの中から明治を選ぶ(受動的なアクションを誘発する)
3.「愛される」ための戦略がPR
「あの人のこと、大好き。いつも考えちゃう!」(恋愛)・・・それがPRの基本です。人は、好きだからこそ「覚えている」「すぐ思い出す」もの。相思相愛になるための方法は、好きな人へのアプローチと同じです。具体的には
・誠心誠意、虚飾はなし
・美点をわかりやすくアピール
・競合比較は当たり前
・・・まるで婚活のセオリーのようですね。
4.スキルより中身が大事
3.をふまえて整理すると、PRの要は「とっておきの美点を重点訴求し、欠点は隠さない」ということです。これはネット民主主義のアプローチとも共通しています。もう少し平たく言うと以下のようにまとめられます。
・正直 is best policy:インターネットの普及で虚飾はすぐに明らかになってしまいます。虚飾が発覚してイメージダウンになるよりは、正直に言うことを選択するほうが合理的です。
・競合優位性がないならPRしない:情報化により比較が容易になっています。比較された結果負けてしまうのであれば、PRしない方が得策です。
・1000人中1人がファンならそれでいい:ニッチなファンを集めて1つの商圏に育てましょう。
5.PR文のスタイル
今回は、「一般的著述」「マーケティング的著述」「PR的著述」の3つの観点で文章を整理します。
・一般的著述:一般的な事象、データ、事実・概念などから対象を説明する
・マーケティング的著述:耳障りのよい言葉で修飾し、情報の受け手にポジティブな印象を持たせるように対象を説明する
・PR的著述:「とっておきのエピソード」「小ネタ」などを用い、情報の受け手と目線を合わせながら、論理的に対象の美点を説明する
6.演習
テーマは「自分の名前」もしくは「好きな食べ物」の2つから選択しPR文を作成し、発表をしていただきました。 当日の参加者を代表し、メンバーさんの演習課題を掲載させていただきました。
好きな食べ物:題材 「ホヤ」
1)一般的著述
東北地方では夏の味覚としてなくてはならないホヤですが、独特の臭いの為、好き嫌いがはっきり分かれ西日本に行くほど食したことのない人の割合が増えます。
宮城県牡鹿半島が主要な養殖の産地で、今回の大震災大津波で大きな被害を受けています。
2)マーケティング的著述
その形状から海のパイナップルと称され、平安初期から続く千年以上の「ほや文化」があります。独特の磯の風味が刺身、酢の物に合い、東北ならではの珍味です。
吸収の速い動物性炭水化物の供給源として貴重で、リン/鉄/亜鉛などのミネラルやビタミンE、B12を多く含み、カキと並ぶ優れた海産栄養品といえます。
3)PR的著述
オテル・ドゥ・ミクニ オーナシェフの三國清三氏は北海道であまり裕福とは言えない子ども時代に、浜辺で拾って食べたホヤによって五味「甘み、酸み、塩み、苦み、うまみ」を教えられたことで、使命感を持って食育活動に従事しています。
あなたも、「ミクニの舌で作ったフレンチを食べる前に、ミクニの舌を創った『ほや』を食べてみませんか」。
3つの文章の違いを感じていただけましたでしょうか?
この情報の受け手の感情・行動をそれぞれ想像してみると・・・
1)一般的著述:「なるほど。参考になるな~。」
2)マーケティング的著述:「おもしろい食べ物だな。機会があったら食べてみよう。」
3)PR的著述:「食べにいってみよう!」「東京だったらどこで食べられるのかな?googleで検索してみよう。」
自分(メッセージの送り手)が、情報の受け手にどのようなアクションを期待するかによって、メッセージの送り方を工夫することが大切であることがわかります。
7.定例会を終えて
20名超の盛況であったにも関わらず、とてもアットホームな雰囲気の中、PRの最前線でお仕事をされていらっしゃる講師の経験豊かなknowledge sharingをしていただきました。
今回の演習テーマに「自分の名前」があったことで、その方のお名前の由来やご両親の思いを聞かせていただいたりといったことで、メンバーをより身近に感じられる会になりました(これも「とっておきのエピソードや小ネタなどを用い、情報の受け手と目線を合わせせる」というPRのテクニックの1つです)。メンバーからは「PR技術の話よりも、ビジネスにおいてPRを使ったfacilitationが如何に重要かということを講師より教えてもらった」といった感想も寄せられました。
☆RLCについて
RLCでは毎月の定例会での活動の他、目的別に別れたspin-offスタディグループの活動が行われています。spin-offスタディグループとは、同じ分野について「勉強したい!」という意志を同じくする有志による勉強会です。現在活動するスタディグループは8つ。これまでに累計12のグループが活動してきました。
スタディグループには、MBA出願のためといった目的にフォーカスし英語で知識を研鑽するといったストイックなグループから、美術見学など一般的な教養を深めることを目的とした穏やかなグループ、1冊の本をみんなで仕上げる「夏季集中講座」等、内容・雰囲気・期間など多岐に渡っています。同時に「○○を一緒に勉強する仲間を集いたい」等、スタディグループの立ち上げも積極的に支援しています。スタディグループに関する情報は、RLC_MLにて配信中です。
MLへの参加をご希望になる方は、運営アドレス(rlc.academyhills@gmail.com)までお問い合わせください。
スタディグループには、MBA出願のためといった目的にフォーカスし英語で知識を研鑽するといったストイックなグループから、美術見学など一般的な教養を深めることを目的とした穏やかなグループ、1冊の本をみんなで仕上げる「夏季集中講座」等、内容・雰囲気・期間など多岐に渡っています。同時に「○○を一緒に勉強する仲間を集いたい」等、スタディグループの立ち上げも積極的に支援しています。スタディグループに関する情報は、RLC_MLにて配信中です。
MLへの参加をご希望になる方は、運営アドレス(rlc.academyhills@gmail.com)までお問い合わせください。
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