六本木ヒルズライブラリー
【アペリティフ・ブックトーク 第49回】
書物の‘エスプリ’(19:15~20:45)
【スピーカー】澁川 雅俊 (ライブラリーフェロー)
ブックトーク
【ライブラリーメンバー・一般対象】事前のお申込みは不要です。当日会場へお越しください。
※ライブラリーメンバー以外の方もビジターチケット3,000円(税別)にて、ご参加いただけます。
【会 場】アカデミーヒルズ (六本木ヒルズ森タワー49階)
日時
2019年12月20日
(金)
19:15~20:45
内容
エスプリ(esprit)はフランス語で「精神」「知性」の意味ですが、さらにその意味はひろがり、批評精神に富んだ軽妙・洒脱で、辛辣なことばで端的に、当意即妙な「才気、機知」のことも含みます。古来数多くの読者や愛書家が「書物とは何か」を問いかけ続けてきたが、未だにその本質、あるいは実体を言い当てた人はいません。しかし人びとはそれぞれ「本は孵化器だ」、「本は憩いだ」、「本は子守唄だ」などと、身近にある他のものごとに ‘見立て’ て親密な関係を続けてきました。
書物に関する私たちの想いは人それぞれです。また、それぞれの時と所と、それに対する期待によっても異なってきます。しかし総じて言えることは、書物は生活の拠り所となるものです。少しばかり難く表現するならば、書物は、生活の糧とも言えます。この場合の「生活」は、突き詰めれば日本国憲法の生存権(すべての国民は健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する…」であり、「糧」は、生活を営む上での諸活動の根源となるものです。第一義では食物ですが、それと 同位で精神活動の根源をも意味します。
私たちの心を力づけるのはさまざまでしょうが、書物もそのひとつです。このことについて、一万円札の顔・福沢諭吉(近いうちに別の人の顔に変わるようですが)は、いまから150年ほど前にこんなことを言っています。
「天は人の上に人を造らず、人の下に人を造らず…」。これは『学問のすゝめ』の冒頭にある有名な文言です。彼は問いかけます。それなのに現実に貧富の差があるのは何故か? そしてそれに応えてこう述べました。その差は「学ぶと学ばざる」ことに由来する。では、何を学ぶか? まず日常生活に役に立つことを学ぶべきである。ではそれらをどう学ぶか? 他人の話しを良く聴き、自分でもよく考え、考えたことは他人に伝えることである。そしてさらに言うならば「本を良く読む」ことであろう。
相変わらず書物にかかわる本が少なからず出版されています。今回のブックトークでは、標題にあるようにエスプリを滲みだしている新刊書を集めてみました。
▼ 澁川 雅俊 (ライブラリーフェロー) プロフィール
参考図書
書物のエスプリ
山田登世子藤原書店
世界で最も美しい12の写本—『ケルズの書』から『カルミナ・ブラーナ』まで
クリストファ−・デ・ハーメル : 加藤磨珠枝 : 松田和也青土社
世界の書店を旅する
ホルヘ・カリオン : 野中邦子白水社
図書館巡礼—「限りなき知の館」への招待
スチュアート・ケルズ:小松佳代子早川書房
奇書の世界史
三崎律日KADOKAWA
書物のある風景
ディヴィッド・トリッグ : 赤尾秀子創元社(大阪)
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